仮想通貨「イーサリアム」に対応したASIC搭載マシンが登場、マイニングによるグラフィックボード枯渇の歯止めとなるか？

中国・北京に本社を構える世界最大規模のマイニング関連企業「Bitmain」が、仮想通貨「Ethereum(イーサリアム)」「EthereumClassic(イーサリアムクラシック)」などに対応したマイニングマシン「Antminer E3」を発表しました。Antminer E3にはASIC(Application Specific Integrated Circuit：特定用途向け集積回路)が用いられていて、従来のGPUを用いたマシンよりも効率的なマイニングが可能になっているとのことです。

Bitmain Announces Ethereum ASIC Miner, Shipping Mid-July
http://www.tomshardware.com/news/bitmain-antminer-e3-ethereum-miner,36817.html

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仮想通貨のイーサリアムはBitcoinに取って代わる仮想通貨として有力視されていて、2017年初めから相場も高騰しています。イーサリアムやBitcoin(ビットコイン)など多くの仮想通貨は、購入するだけではなく、PCによってマイニングを行うことで入手が可能です。

by John Jones

PCで効率良くマイニングを行うためには高い計算処理能力が必要になるため、本来はゲーム用に開発された高性能グラフィックボードがマイニングに転用され、グラフィックボードの市場価格が高騰してゲーマーの手に入りにくくなっているという事態が起こっています。しかし、GPUを用いたマイニングマシンは電気代などの維持コストも大きくかかります。そのため、マイニングの難易度が高くなると、最新のグラフィックボードを挿した高性能マイニングマシンを用意しても、効率的に利益を得るのは難しいものがありました。

今回Bitmainが発表したAntminer E3は、「Ethash(イーサッシュ)」というアルゴリズム向けに設計されたASICが組み込まれたマイニングマシンです。Antminer E3の消費電力は800ワット、ハッシュレートが毎秒180メガハッシュとのこと。

GPUを用いてAntminer E3と同等の計算処理能力を得るためにはNVIDIA GeForce GTX 1080 Tiが6基必要になるとのことで、実際に電源を含めて構築すると、2018年4月時点で6000ドル(約64万円)を超える値段になってしまいます。しかし、Antminer E3の販売予定価格は800ドル(約8万5000円)で、同等性能のGPUマシンよりもはるかに安価となっています。コストパフォーマンスの高いASICマシンが登場することで、マイニング業界でのグラフィックボードの需要が減れば、マイナーによるグラフィックボードの買い占めを抑制できると期待されます。

しかし一方で、イーサリアムの開発者であるパイパー・メリアム氏が2018年3月30日にGitHub上で、「ASICによるイーサリアムのマイニングを無効化するために、Ethashに大規模な仕様変更を行うべきか」と提案を投げかけていて、記事作成時点で96％が賛成しています。

また、同じく開発に携わるヴラド・ザムフィア氏はTwitterで同様のアンケートを取り、57％の人が賛成に投票しています。開発者2人がアンケートを行った理由はあくまでも「利用者の意見を聞きたいから」ということですが、ASICマシンの登場によって、家庭用のPCでは仮想通貨のマイニングが追いつかなくなり、資金がある企業や組織に独占されてしまう「仮想通貨の中央集権化」が問題視されていることも背景にあるといえます。

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