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AlphaGoを開発したGoogleの人工知能研究部門が「機械学習によって書き順を考えながら文字を描くAI」を開発


書道や似顔絵に見られるように、私たち人間は絵画・書・立体の作品を見た時、デザインに感動するだけではなく、筆運びや構造などを考えて理解した上で作品を再現することができます。与えられた画像を再現する人工知能(AI)は今までも発表されてきましたが、最強の囲碁AI・AlphaGoを開発したGoogle DeepMindが発表した「Synthesizing Programs for Images using Reinforced Adversarial Learning」(敵対的強化学習を用いた描画プログラム合成)、略して「SPIRAL」は、対象となる文字や画像の書き順や構造を考えて学習しながら、自ら描画プログラムをアップデートしていくフレームワークだとのことです。

Learning to write programs that generate images | DeepMind
https://deepmind.com/blog/learning-to-generate-images/


「SPIRAL」は2つのニューラルネットワークで構築されています。1つ目はコンピューターのペイントソフトからブラシサイズ・圧力・色の変更を学習し、実際に絵を描くプログラムを合成するエージェントです。もう1つは出力された画像が元の画像のコピーか、プログラムによって出力されたものかを判断する「識別者」と呼ばれるニューラルネットワークです。画像が出力されたものかどうかが判断できないものであればあるほど、エージェントは多くの報酬を受けるというシステムになっています。


エージェントは識別者の目を欺くために、プログラム合成を行い、描画プログラムの精度を上げていきます。以下の画像は、手書きのアラビア数字を「SPIRAL」のエージェントに学習させて出力させた結果です。最初に再現を図った一番左はぐちゃぐちゃで数字とはいえないものですが、2500万回以上の試行を重ねた一番左の結果を見てみると、ほとんど問題なく読める文字を書けていることが分かります。


このフレームワークではペイントソフトのブラシ制御モーションを生成するため、シミュレートした描画プログラムをロボットアームとプログラムで連携させ、実際にキャンパスで文字を書くことも可能だとのこと。「SPIRAL」によって生成されたプログラムとロボットアームを使って実際に文字を書く様子は以下のムービーで見ることが可能です。

Synthesizing Programs for Images using Reinforced Adversarial Learning - YouTube


また、数字や文字といった図形だけではなく、有名人の似顔絵を学習させた場合は、まだ細かい部分まで描写はできないようですが、まるで似顔絵アーティストが書く時のように顔の形・色調・髪型などといった大きな特徴を捉えて描いています。以下のサムネイルをクリックすると、実際に「SPIRAL」によって生成されたプログラムが似顔絵を描いていく様子のgifアニメーション(約8.6MB)が表示されます。


「SPIRAL」を開発したGoogle DeepMindは「『観察によって構造化された表現を再現する』という、私たち人間がよく使う能力をプログラムで再現し、普段私たちが使うツールにもアクセスできるようにすることで、AIにも私たち人間と同じような表現が再現できるということを示しています。今回の『SPIRAL』は柔軟なプログラム合成を目指した小さなステップですが、同様の技術によってAIが人間に似た認知能力・コミュニケーション能力を持つことができるようになると考えられます」と主張しています。

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in ソフトウェア,   サイエンス, Posted by log1i_yk