サイエンス

ホーキング博士が死の2週間前に「最後の論文」を完成させていたことが判明


車いすの物理学者として知られていたスティーヴン・ホーキング博士が2018年3月14日に亡くなりましたが、その2週間前に最後の論文を書き上げていたことをThe Timesが報じています。ノーベル賞は生存者にしか与えられませんが、ホーキング博士が生きていればノーベル賞受賞もあったのではないかと論文の共同著者は語っています。

[1707.07702] A Smooth Exit from Eternal Inflation?
https://arxiv.org/abs/1707.07702

Stephen Hawking’s parting shot is multi-cosmic | News | The Sunday Times
https://www.thetimes.co.uk/article/stephen-hawkings-parting-shot-is-multi-cosmic-nbg0t6t9j

ホーキング博士の代表的な宇宙理論の一つに、1983年に発表された、宇宙の始まりに関する仮説「ハートル=ホーキング境界条件(無境界仮説)」があります。ホーキング博士は、この仮説とインフレーション理論から、我々の存在する宇宙とは別の多元的な宇宙とビッグバンの存在を予測していました。

ホーキング博士が最後に発表した論文「A Smooth Exit from Eternal Inflation?」は、ルーヴェン・カトリック大学のトーマス・ハートグ博士との共同著作で、インフレーション仮説を崩壊させる「永久インフレーション」という数学的パラドックスを解消し、複数の宇宙が存在するというアイデアを実証可能な科学的フレームワークにのせる理論を示すものだとのこと。ハートグ博士はホーキング博士が亡くなる2週間前に会談して論文を完成させ、2018年3月4日に改訂版として論文が科学誌に投稿されました。なお、この論文は主要な科学誌において査読されているところです。

宇宙理論に大きな影響を与えたホーキング博士ですが、その大きな功績にもかかわらず、ノーベル賞を受賞していません。これは、ノーベル物理学賞には「実証された理論のみを対象にする」という暗黙のルールがあるからで、ホーキング博士の壮大な宇宙理論は実証不可能なものばかりであり、ノーベル賞の対象にならなかったためです。しかし、ハートグ博士は、自身も論文共同執筆者として研究したホーキング博士の最後の論文は、ホーキング博士の宇宙理論を実証するものであり、仮にホーキング博士が生きていればノーベル賞を受賞したはずだと考えていると述べています。

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in サイエンス, Posted by logv_to