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チープな「手作りのドローン」がなぜ各国の軍隊の脅威となっているのか?


テクノロジーの進歩によってドローンが一般化し、身近で手に入るものを使って低コストで作れるようになってきています。しかし、これまでアメリカ軍などはサイズの小さなドローンから一気に攻撃されることを想定しておらず、既存のシステムでは防衛しきれない可能性が出てきています。

Home-made drones now threaten conventional armed forces - Drones and guerrilla warfare
https://www.economist.com/news/science-and-technology/21736498-their-small-size-and-large-numbers-can-overwhelm-defences-home-made-drones-now

2018年1月5日、シリアにあるロシア軍基地が武装した複数のドローンによって攻撃され、2名の兵士が死亡しました。この攻撃に関しては、イスラム国(IS)が小規模のドローン編隊を使って行った可能性も示唆されました。

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攻撃に使われたドローンは全部で13機あり、うち10機はフメイミム空軍基地、3機はタルトゥースの海軍補給処を狙いました。いずれのドローンもクアッドコプター式ではなく、商業用のドローンと同じタイプで、素材は主に木材とプラスチック、エンジンは芝刈り機のもので、翼の下には手製の小型爆弾が設置されていました。


ドローンはGPSによって100km圏内からコントロールされていましたが、ロシア国防省は実際に誰がコントロールしていたのかは不明だとしています。電子部品は全て既存のものが使われており、ドローン1機のコストはおよそ数千ドル(数十万円)と見られています。

ロシアは、これらのドローンが損害を引き起こす前に迎撃を行ったと発表していますが、フメイミム空軍基地の航空機は明らかに攻撃によるダメージを受けている、とThe Economist。ただし、軍が受けたダメージはこの攻撃によるものだけではありません。2015年からゲリラ軍は手りゅう弾の投下にクアッドコプターを利用しており、2017年のISの攻撃だけを見ても、200件もの攻撃ムービーが存在するとのこと。

このような新しい攻撃方法は、テクノロジーの発達により、これまでの軍用品よりはるかに低い価格でドローンを作ることが可能になったために生まれました。アメリカ海兵隊ではこれまで1機あたり300万円以上の偵察用ドローンを使っていましたが、次世代ロジティクスチームが1機あたり10万円以下のドローンを開発。実戦に投入される予定となっています。

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近年の技術は安価なドローンで編隊を組んで攻撃を行うことで相手に大きなダメージを与えることを可能にしており、これは軍にとって大きな脅威となります。生来の決意作戦の司令官であったスティーヴン・タウンゼンド中将は「ISと戦う兵士が面する最大の脅威はドローンである」と語るほどで、既存の防衛方法では小さなドローンに焦点を当てたり追跡を行ったりするのが難しいため、対ドローンの防衛法の開発が急がれています。

この解決法の1つとしては、レーダー波によってデバイスを妨害するジャミングを用いてオペレーターの操作を妨害し、GPSを混乱させる手法が検討されています。シリアでの攻撃に使われたドローンも、DedroneやDroneDefenderといった名前のジャマーなどを使うことによって墜落させているとのこと。ただし、近年は自律型のドローンも数多く登場しており、オペレーターが存在しないタイプのドローンであれば、GPSを阻害するジャマーは解決策として使えません。

また、ドローンのサイズが小さければ撃ち落とすのは非常に難しくなります。ライフルでは狙いを定めきれず、ショットガンならば撃ち落とせる可能性は上がりますが、一方で射程距離が近くなります。さらに、ドローンのサイズが標準よりも小さければ射程距離を測るのも難しくなるとのこと。そこで、軍のマニュアルではドローンを撃ち落とす際に単体のみを狙うのではなく隊全体を狙うよう書かれているそうです。

一方で、対ドローンの迎撃法として低空を飛ぶ飛行機やヘリコプターを撃ち落とすスティンガーミサイルの改良も行われています。ただしスティンガーミサイルはドローンのように小さな対象を撃ち落とすことを想定してないため、近接信管を取り付ける必要などがありますが、この改良コストが高額になってしまうことが問題点として存在しています。

by DIMOC

アメリカ軍によって行われているこの他の対ドローンのアプローチとしては、BLADEと呼ばれるものがあります。BLADEはマシンガンの砲塔とレーダーを搭載した装甲車をコンピューターの管理で動かすというもの。BLADEはある程度の効果が見込まれますが、大量のドローンで攻撃された際に無力化する可能性は残されたままです。

同じ事が船艦に対しても言えます。アメリカ海軍の防空はイージスシステムをメインに据えたものですが、イージスはレーダーやコンピューター、ミサイル、カノン砲などを搭載しているものの、小さなドローンの編隊に対応していません。そのため、海軍は同時に複数のターゲットがやってきても対応できるようにソフトウェアをアップグレードしている最中とのこと。過去の調査によると、一度に全方位から攻撃されれば、わずか8機のドローンであっても艦を圧倒することができると考えられています。


そして対ドローン防衛の開発者の多くが願っているのが、レーザーをドローン迎撃に利用するということ。レーザーは弾薬が不要であり、1発あたりのコストがミサイルなどよりも低くなるためです。2018年現在、さまざまなタイプの対ドローンレーザーが開発されテストを繰り返しているものの、まだ目的とするレベルには達していません。

対ドローンレーザーにおいて特に重要なのが、焦点をすばやく定め、ターゲットをトラッキングすること。そして、ターゲットを破壊するまでにレーザーを照射するのにどのくらいの時間が必要になるのかということです。通常、レーザーでドローンを破壊するには全プロセスを通して数秒が必要で、かつ1機のドローンを破壊するまで別のドローンを攻撃できないという性質上、大量にドローンが押し寄せた場合に対処できないという事態が考えます。

アメリカ軍は2016年から「ドローンが飛び立つ前に止める」ということの重要性を説いており、対ドローンの迎撃法が確立されるまではこの点が非常に重要になってきますが、一方で攻撃が行われる前に拠点を攻撃することは困難を極めるところとなっています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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