抗生物質が効かない淋病が中国で増加中

By NIAID

淋病(りんびょう)」は比較的感染頻度が高い性病で、自然治癒することがなく、放置すれば男性は精巣上体炎、女性は腹膜炎を引き起こすなど重篤化する危険があることが知られています。世界中で毎年7800万人が感染する最も一般的な性感染症である淋病について、現在の医療現場でよく用いられる2種類の抗生物質に抵抗性を持つ菌が中国国内で増えていることが確認されました。

Susceptibility of Neisseria gonorrhoeae to azithromycin and ceftriaxone in China: A retrospective study of national surveillance data from 2013 to 2016
http://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1002499

Untreatable gonorrhea is on the rise in China - The Verge
https://www.theverge.com/2018/2/6/16975556/gonorrhea-std-untreatable-antibiotic-resistance-china-us

淋病の治療にはアジスロマイシンセフトリアキソンという2種類の抗生物質が用いられています。中国科学院の研究チームの淋病を引き起こす淋菌の感受性を調べた研究で、これら2種類の抗生物質に耐性を持つ菌の割合が増加し続けていることが明らかになりました。

研究者たちは中国全土の7州において2013年1月1日から2016年12月31日までの期間に淋病に感染した3849人の患者から集めた淋菌を用いて、最小発育阻止濃度(MIC)による抗生物質への抵抗性試験を行いました。

その結果、淋病患者の約19%がアジスロマイシンに耐性があり、約11%がセフトリアキソンに耐性を持つことが分かりました。また、アジスロマイシンとセフトリアキソンの両方に耐性を持つ淋菌の割合は、2013年に1.9%だったものが2016年には3.3%に増加していることが確認されました。


淋菌の抗生物質に対する抵抗性が高まっているという事実について、アメリカのPublic Health Ontarioの医学微生物学科長のヴァネッサ・アレン氏は、「セフトリアキソンは最新の抗生物質です。現在、セフトリアキソンの代替薬はありません。これは、細菌の活動のスピードが、安全で効果的な抗生物質の開発ペースを上回っているということです。」と述べ、今回の研究で発表された数字は重大な関心事であると指摘しています。

中国で抗生物質が効かない淋病が増加しているという事実が明らかになりましたが、この現象は中国に限ったものではありません。2016年にアメリカで発生した淋病は46万9000件にも及び、抗生物質への抵抗力が高まっている事実も確認されているとのこと。「もしも新しい抗生物質が開発されなければ、次に何が起こるのでしょうか?それは本当に不透明です」とアレン氏は述べています。

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