一絞りでクリームが立体の花になるという「3D口金」を使えばお菓子作り初心者でもお花畑が作れるのか実験してみました


ロシア口金とも呼ばれる「3D口金」は、ホイップクリームの絞り袋の先端に金具を取り付ければ、一絞りで立体のお花やフリルが作れてしまうという魔法のようなアイテム。YouTubeやInstagramで絞り出しムービーが多数公開されており、あっという間にお花畑のようなケーキが作れそう……に見えたので、「手作りチョコって溶かして固めればいいんでしょ?」レベルの編集部員が「本当に3D口金は簡単に使えるものなのか?」ということを確かめてみたところ、お菓子作りの奥深さを身をもって感じることになりました。

3D口金は、ケーキのデコレーションをする時に使う絞り袋に装着する金具。使っている様子はこんな感じです。


実際の絞り出しの様子は以下のムービーから見ることができます。

3D口金/ロシア口金でクリームを絞ってみた - YouTube


まずは口金を絞りたい部分に近づけます。絞りたい部分までの距離は1~2mmで大丈夫です。


クリームを押し出すと、ぶにゅっと隙間からクリームがはみ出ます。絞り出したい部分にクリームをしっかり押しつけて接着させたいので、ここはガッツリはみ出るくらいでOK。


クリームを押し出すことで生じる抵抗感を感じながらゆっくりと口金を上げていき……


後半はクリームに押されるような感じですーっと上げます。


最後はクリームをねじ切るか、多方向に小さく揺らすことで口金からクリームを離します。ここでねじ切るか揺らすかの選択をすることで、仕上がりが変わってくるのも面白いところ。


うまくクリームが切れると、一絞りで以下のようなバラの花が完成するわけです。


……と、上記のような成功ムービーが多数ネットに上がっているので、「とても簡単にできそう!」と思っていたのですが、お菓子作りの世界はそんなに甘くありませんでした。

ということで、これがAmazonで購入した3D口金のセット。


箱の中身はこんな感じ。3D口金が10種類と、通常の口金、取り替えキャップ、絞り袋が10枚入っていました。


3D口金はホイップクリームの絞り出しに使う一般的な口金よりもかなり大きめ。絞り口の直径は実測で2.3cm、高さは3.8cmくらいです。


花が絞れるタイプの3D口金は7種類。


別の形の3D口金もありました。これは花がそのまま絞れるのではなく、クリームなどをフリルのような形に絞れるタイプ。


「ホイップクリームで3D口金の力を確かめてみよう……」と、意気揚々と生クリームを泡立てていきます。


しっかりツノの立つ状態になったら……


口金をセットした絞り袋の中にホイップクリームをイン。


わくわくしながら初絞り。


おっ……?


おお……?


花ができあがるはずが、何とも言えない物体が完成してしまいました。調べてみたところ、3D口金の使い方という説明の中には「ホイップクリーム」と記されているものもあるのですが、基本的にホイップクリームは柔らかすぎてうまく形を出すのが非常に困難です。クリームの理想の固さや絞りのコツなどを知っている熟練であれば可能なのかもしれませんが、素人が手を出すのはかなり危険。


3D口金で使われているクリームの多くはバタークリームなのですが、「そもそもバタークリームとかあまり食べないし……」ということで、何か方法を探していたところ、「ゼラチンをホイップクリームに混ぜるとダレずにデコレーションしやすい」という情報を入手。このレシピを使って実際に試してみました。生クリームを八分立てしたところに粉ゼラチンを溶かしたものを投入し……


さらに泡立て器でかき混ぜ。


すると、ややプヨンとした感じのホイップクリームが完成します。正直なところ、口溶けや滑らかさはゼラチンなしの方がよいのですが、プルプルとしているので、確かに形は保ちやすそうです。


これでクリームを絞ってみると……


こんな感じ。


並べてみると、かなりそれっぽいというか、これは成功と呼んでもいいのでは……?という気持ちに。


別の口金でも試してみました。口金の穴が小さいとお皿などとの接着面が小さくなるためうまく形がでないことがありますが、何度か繰り返していると成功率が上がっていきます。


角度をつけるとこんな感じ。


調子をつかんできたところで、バレンタインが近いということもあり、チョコレートでも挑戦してみます。


生チョコレートのような感じにすべく、まずは生クリームをお鍋に投入し、弱火にかけます。生チョコレートのレシピは「チョコレート:生クリーム」が「2:1」の量であるものが多かったので、その法則に従ってみました。


生クリームのふちの方が小さく泡だってきたところで火を止め、砕いたチョコレートを投入。


ツヤが出るまで混ぜ続け……


冷まして成形しやすいくらいになるまで固めます。


絞り袋に入れて、少し固い場合は手でもみもみ。いざ絞ってみると……


あっ


あっあっ


……と無残にも敗退。生チョコレートは室温や手の温度の影響を受けてすぐに柔らかくなってしまいます。そして柔らかくなると粘度が高くなってうまく口金からチョコを切ることができずに崩壊するという流れ。かといって柔らかくなったチョコレートをいったん冷やして固めると……


今度は固くてチョコレートが穴から押し出せなくなり、逆に口金が袋から押し出されてしまい、積みます。


チャレンジのほとんどが失敗に終わったのですが、何とかそれらしい形をとどめたものも。


希少な成功作なので、いびつな切り口をハサミでカットしたり、乱れたところをお箸で整えたりして、なんとか形を作ります。


120gのチョコレートからなんとか形になったのは、3輪バラ。


なお、フリルが作れる3D口金の方は、花を絞り出すタイプよりも簡単で、あまり失敗がないのでオススメ。


ただしラストの切るところでやはり少しコツが必要で、うまくねじらきらないとドーナツ型になってしまいます。


そんな時は先ほど作ったホイップクリームを載せれば、何とかそれっぽい見た目になる……かもしれません。


「なんか、もっと楽に絞り出せる素材はないのだろうか……???」と探していたところ、白あんは初心者でも比較的きれいに形が出やすいとのこと。さっそく購入してみました。


普段あまり白あんを使わないのですが、ねっとりずっしりしています。


ということで、白あんもホイップクリームなどと同様に絞り袋の中に入れ、挑戦したものの……


生チョコレートの時と同じく、質感がずっしりねっとりなので押し出すのに力が必要で、かつ力を入れると口金が外れてしまうという状態に。エッジは出やすいようですが、力の入れ方が難しい……。


すると、話を聞いた別の編集部員から「テープで固定したら?」というアドバイスをもらったので、実験。


見た目は美しくないですが、布テープで絞り袋を口金にしっかりと固定します。


すると、なんということでしょう、これまでに見たことがないほどくっきりとした花びらが現れました。


別の口金でもやってみたところ、これも成功。ホイップクリームよりもしっかりと形がでています。


もちろん、白あんとて最初から成功したわけではありません。以下の画像に写っている習作は、真ん中から外側に向かって作っていったのですが、真ん中部分に並ぶ白あんはズタボロで、外側にいくにつれて成功率が上がっているのがわかります。


最終的には、以下のように絞り出せるように。白あんはホイップクリームのように柔らかさの調整がいらず、生チョコレートのように温度の影響を受けにくいため、確かに成功率が高く初心者向けと言えます。白あんで練習を積んでからホイップクリームに移るのもありかも。


なお、絞りの練習に使った白あんはもったいないのでかき集めて……


このレシピに従い、卵・砂糖・バターをかき混ぜた中にドボン。


さらにベーキングパウダーと薄力粉を振るって……


型に入れてオーブンで焼き上げました。


ということで白あんはパウンドケーキとして再利用。成功したお花型の白あんを添えれば、見た目も華やかです。


白い見た目にも飽きてきたので、食品用の着色料を購入してみました。


これは赤・黄・青・緑の4色がワンセットになったもの。1つ1つは7.25mlと少量ですが、1滴で鮮やかに色がつくので余裕をもって使えます。


今回はクッキーに挑戦。薄力粉・バター・牛乳・砂糖を準備します。


砂糖・牛乳・柔らかく戻ったバターを混ぜたところで……


ほんの1滴、赤色着色料をたらします。


粉をふるって……


まぜるとこんな感じ。


ここで、取り替えキャップが登場。このキャップは3つの絞り袋を1つにまとめて3色の絞り出しを行うものだそうです。


ピンク色のリングを外すと、3つのパーツに分解されます。


このパーツをそれぞれ絞り袋の中に入れ……


3つのパーツを元通り合体させます。


3D口金をかぶせてリングでとめるとこんな感じになり……


別々の色のクリームなどを入れると、3色の花やフリルが作れるというわけですが……


クッキー生地は重すぎるため、絞り出し開始から数秒で崩壊しました。キャップを使えば固定する力が増してクッキー生地でもいけるのでは?と考えたのですが、浅はかな考えでした……。ホイップクリームであれば軽いので、崩壊することなく3色のクリームが作れそうです。


とはいえせっかく複数のカラーがあるので、先ほど別々の絞り袋に入れたものをさらに1つの袋でまとめてみました。


フリルの口金でうにょーんと絞っていき……


ねじりを入れて生地を切ります。ただしクッキー生地も生チョコレートと一緒で粘りがあるのでなかなか切れず、始めは途方に暮れました。上に引っ張りつつ、思い切りよくねじりきるのがポイントのようです。


最後にスプーンなどで形を整え……


焼いてみるとこんな感じです。


ちょっと崩れた部分もありますが、お花っぽくてかわいらしい見た目です。


横から見るとしっかりとエッジが出ており……


後ろはこんな感じ。


……というようなトライ&エラーを繰り返すことで、何となくコツをつかんでいき、冒頭のムービーにあるようなお花の形の絞りが可能になったわけです。なお、冒頭のお花は2色使いとなっているのですが、これはホイップクリームにゼラチンを入れて泡立てて……


ラップに白いホイップクリームを広げた上に、ピンク色に着色したものを載せているため。


これをくるんと巻いたものを絞り出せば、真ん中だけピンク色の花ができるはず。


ホイップクリームのラップ巻は、片方の端だけハサミで切り落としておきます。


これを絞り袋の中に入れればOK。この状態だと口金を外すときにホイップクリームまみれにならないので、「クリームやあんをラップに巻いて絞り袋に入れる」というのは非常に便利な方法でした。


絞ってみると……


こんな感じ。ほんのり真ん中がピンク色になっていてかわいらしい見た目です。


完成したホイップクリームは冷凍庫に入れて固めれば……


形が崩れなくなるので、簡単に移し替えて使えるようになります。


コーヒーに浮かべれば、見た目にも美しいウィンナ・コーヒーが完成。非常にフォトジェニックで、優雅な気分にひたれます。


スーパーを歩いていたらクリームチーズが目に入り、「もしやこれ……3D口金に向いているのでは???」と直感したので購入してみました。


ここで大事なのは「室温に戻して柔らかくすること」。耳たぶくらいの固さにしておかないと、生チョコの二の舞は避けられません。


どれくらいの柔らかさなのか?というのは、以下のムービーを参考にしてみてください。

絞り出しに適したクリームチーズの柔らかさ - YouTube


いざ試してみると……


クリームチーズが、過去最高に絞りやすいという事実が発覚。手でもむなどして柔らかくすれば小さな穴からも出やすく、かつ生チョコレートやクッキー生地ほど粘り気が少ないので切りやすいという、最高の素材でした。


切り方には2通りあり、左がねじって切った方、右が揺すって切った方です。ねじった方が切りやすくはあるのですが、花の先端がややすぼんで、花びらにもねじりが生じます。一方で、揺すって切った方は形にねじれがなく花びらもまっすぐ立っています。


横から見るとこんな感じ。


クラッカーに野菜やサーモンと一緒に載せると、どこかのパーティーに出て来そうなアラカルトが完成しました。


鉄板の組み合わせなので、味も問題ナシ。


クリームチーズの結果から、「生チョコレートももう少し固ければいけるのでは?」という気がしたので、今度は生チョコレートの配合を変更して実験してみました。1度目は「チョコレート:生クリーム」が「2:1」だったので、今度は「3:1」で、生クリームを少なめにしてみました。白とピンクのホワイト生チョコレートを冷やして固めたものを……


再び室温に戻して耳たぶ程度にまで柔らかくします。型抜きクッキーの生地っぽいというか、ちょっと粘土っぽい質感です。


ホイップクリームと同様にラップに2色の生チョコレートを広げます。


くるんと巻いて……


片側だけカットしたラップ巻を絞り袋の中に入れ……


絞り出していくと……


こんな感じ。一度目によりも格段に形になる確率が上がりました。もちろん練習を重ねたからというのもありますが、生クリームの量を減らしたのが大きいようです。


また、絞る都度、口金をキレイにしていくと均等にチョコレートが着地するのできれいな形に仕上がります。


◆まとめ
複数の素材で試してみたところ、3D口金で絞り出しやすい素材は以下の通り。上から使いやすい順です。

(1)クリームチーズ
(2)こしあん
(3)ホイップクリームのゼラチン入り
(4)ホワイトチョコレート
(5)クッキー

クリームチーズはダントツに絞りやすく切りやすいので、試した中では最も初心者が練習するのに向いていると感じました。白あん(こしあん)も温度の影響を受けにくく形がきれいに出るという点がナイスですが、ずっしりと重いので口金が絞り袋から押し出されてしまわないように注意しなければいけないのが難点。ゼラチン入りホイップクリームの利点は、試した素材の中では最も軽いこと。力を入れずに押し出すことができ、一度ベストな固さにフィックスすることができればきれいに成形できますが、ゼラチンで固さを調整するのに失敗したり、温度の影響を受けて柔らかくなってしまうことで、お菓子作りに慣れていない人であれば失敗するかもしれません。クッキーもチョコレートも温度の影響を受けやすく、ねっとりすると切りにくくなるので、他の素材で練習を繰り返し「この固さならいける」という判断がつくようになってから試すのがオススメです。

なお、クリームチーズを使って花形口金7種類を絞り出してみるとこんな感じ。3D口金の中でも絞りやすさに差がありました。

スタンダードなバラの花ができる口金は比較的簡単に絞り出すことができました。


5つの花びらの中にめしべとおしべがあるタイプも、成功率が高かったです。外側の花びらに幅があるのに加え、めしべとおしべの間隔が大きいのがいいのかも。


小さめのバラの花も失敗しづらい部類。


一方でこの写輪眼的な口金や……


細かい穴が狭い間隔で並んでいる口金は失敗することが多かったです。


フリルが作れる方の口金はこんな感じ。こっちはいずれも花形口金に比べて形が作りやすいと感じました。


3D口金できれいにサクサクとクリームを絞っているムービーを最初に見ていたので、お菓子作りに慣れていない人がおっかなびっくり始めると、正直なところ想像以上に難しいと感じました。ただし「最初に押しつける」「終わりの方は少しスピードを上げる」「最後はねじりきる」といったコツをつかむと、口金なしでは作れないであろうフォトジェニックすぎるお菓子や料理ができ、「何というインスタ映え……」と感動も大きかったです。達成感もかなりあるので、お菓子作りをする機会があるなら、挑戦する価値が十分にあります。

なお、今回購入したのはコレ。以下のものの他にもオンラインショップで数や組み合わせが違うものが扱われているので、ニーズにあったものを探してみてください。

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