乗り物

音速の5倍、時速6000kmで飛ぶ超音速偵察機「Son of Blackbird」の構想をボーイングが発表


アメリカ空軍で運用されていた超音速・高高度戦略偵察機「SR-71 ブラックバード」の後継機種として、ボーイングがマッハ5で飛行できる超音速機「Son of Blackbird」の構想とコンセプトモデルを発表しました。

Boeing's 'Son of Blackbird' hypersonic strike aircraft could go five times the speed of sound | Fox News
http://www.foxnews.com/tech/2018/01/15/boeings-son-blackbird-hypersonic-strike-aircraft-could-go-five-times-speed-sound.html

このコンセプトモデルは、アメリカ航空宇宙学会が開催するフォーラム「SciTech」の中で発表されたもの。最高時速がマッハ3だったSR-71を上回るマッハ5、時速約6000kmで飛行することを前提に構想が練られており、動力源としてはジェットエンジンに加えて超音速飛行に適したスクラムジェットエンジンが採用されることになっています。

機体底面はフラットな形状で、やや変則的なデルタ翼を持つ形状。そして底面に大きく張り出したエアインテークの中には、2基のスクラムジェットエンジンが収まる構造となっています。

Boeing Unveils Hypersonic ‘Son-Of-Blackbird’ Contender | Defense content from Aviation Week
http://aviationweek.com/defense/boeing-unveils-hypersonic-son-blackbird-contender


機体を上面から見ると鋭くとがった機首を持ち、表面は滑らかな曲線で構成されていることがわかります。これは、超音速飛行時の抵抗を減らすと同時に、断熱圧縮による機体の加熱を最小限に抑えるため、そしてレーダーに捕捉されにくい「ステルス性」を高めるため。また、平らな底面は超音速飛行によって発生した衝撃波によって揚力を得るための形状で、このタイプの航空機は衝撃波の波に乗るという意味で「ウェイブライダー」とも呼ばれます。


ボーイングでは、2004年にマッハ9.68(時速1万2144 km)を達成した試験機X-43およびそれに続くX-51Aなどをもとにこの機体の構想を打ち立てています。特に、通常のジェット機の速度域であるマッハ1前後に達し、そこからマッハ5までの超音速域で加速する機体を開発することは非常に難しい課題となっているとのことで、ボーイングはこの課題に立ち向かうために、設計者がすべての関連分野を同時に組み込むプロセスであるMDD(Multidisciplinary Design Optimization:多専門的デザイン最適化)を採用することでX-51Aを開発。そしてそのノウハウが今回の「Son of Blackbird」にも反映されています。

この構想は、SR-71ブラックバードを開発・生産したロッキード・マーティンの先進開発計画部門「スカンクワークス」が開発を進めているSR-72と競合するもので、ともに国防高等研究計画局(DARPA)の援助によって研究が行われています。仮にボーイング案が選択された場合、まずはエンジンを1基だけ搭載したF-16戦闘機サイズの実証機を製作して研究開発を行い、その後に実際の機体に近い機体を製作してさらなる研究開発を行うという2段階のプロセスが想定されています。最終的な「Son of Blackbird」の機体サイズは、SR-71ブラックバードの107フィート(約37メートル)とほぼ同じになることが予定されているとのこと。

防衛上大きな役割を果たすとみられる高高度超音速偵察機ですが、一方では過去に比べて性能が大きく向上している偵察衛星やドローン機を使った諜報活動などの進化により、その存在意義が見直されるという動きも存在しています。また、特殊な構造を持つことになるSon of BlackbirdやSR-72の場合、機体製造コストや運用コストが大きく膨らむため、予算に見合った結果が得られるかどうかの議論も行われています。

America’s Fastest Spy Plane May Be Back—and Hypersonic - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-01-16/america-s-fastest-spy-plane-may-be-back-and-hypersonic

・関連記事
マッハ5超で飛ぶ超音速機の2030年までの実用化を目指してしのぎを削っているのはアメリカと中国 - GIGAZINE

極秘の任務を終えた米軍のシャトル型無人宇宙機「X37-B」が718日ぶりに地上に帰還 - GIGAZINE

将来の戦闘機は「人間パイロットの親機+複数のドローン戦闘機」になるという可能性 - GIGAZINE

東京~ハワイを30分で結ぶことも可能なスペースXの新型巨大ロケット「BFR」とは? - GIGAZINE

in 乗り物, Posted by logx_tm