「ウェブサイトの利用規約に反することは犯罪ではない」と判決

by LoboStudioHamburg

2010年から始まったオラクル対リミニストリートの裁判で、オラクルはリミニストリートが「オラクルの利用規約に違反したこと」を理由にコンピューター犯罪制定法違反であると主張していました。電子フロンティア財団は、この理論が認められるなら多くのインターネットユーザーが犯罪者に仕立てられてしまうとしてオラクルの主張に反対していたところ、2018年1月8日(月)に「ウェブサイトの利用規約に反することは犯罪ではない」という判決が下されました。

Ninth Circuit Doubles Down: Violating a Website’s Terms of Service Is Not a Crime | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2018/01/ninth-circuit-doubles-down-violating-websites-terms-service-not-crime

企業向けのソフトウェアを使うにはライセンス費用に加えて、導入後にアフターサービスを受けられるようにする保守サポートも必要となり、費用は大きくなります。そこで、近年は公式の保守サービスよりも安くサービスを提供する第三者保守サービス会社が登場しています。リミニストリートもそんな第三者保守サービス会社の1つで、オラクルの製品について「バージョンアップはできないが、現行バージョンの保守サポートを最低15年間約束する」というサービスの提供を行っていました、

これに関してオラクルはリミニストリートを告訴。2億4600万ドル(約270億円)の損害請求が行われていたところ、2015年10月にラスベガス連邦裁判所がリミニストリートによるオラクルの知的財産侵害を認め、リミニストリートに5000万ドル(約60億円)の支払いを命じました。

このとき、オラクルは利用規約でサポート素材をウェブサイトから自動ダウンロードすることを禁じていたのですが、当時リミニストリートはファイルを1つ1つダウンロードするのではなく、ダウンロードを自動化するスクリプトを使用していました。そこでオラクルはリミニストリートに対して自動化スクリプトの使用をやめるよう要請していましたが、一方でリミニストリートがファイルにアクセスする権利は止めていませんでした。つまり、リミニストリートは顧客にサービスを提供できたものの、手動ダウンロードを行う必要があるため、サービスの提供速度を落としていったわけです。

1年間にわたってリミニストリートは手動でダウンロードを行っていたものの、負担が増えていったためか、その後再び自動化スクリプトを使用しだします。2016年のオラクル対リミニストリート訴訟ではこの点についても争われたところ、陪審員はリミニストリートがカリフォルニア及びネバダのコンピューター犯罪制定法を犯していると判断。裁判官も両州において、ウェブサイトの利用規約を侵害することはコンピューター犯罪制定法に反するという判断を支持しました。

しかし、「利用規約に違反することはコンピューター犯罪制定法を犯すことになる」という判断は、何百人もの無害なインターネットユーザーを犯罪者に変えてしまう恐れがあります。「どの行いをどのタイミングで、どのウェブサイトで行うことが違法となるのか」を明確にしないことは刑罰法規の「慈悲の原則」に反するものであり、電子フロンティア財団は裁判所に対して上記の内容を準備書面として送っていました。利用規約は基本的に企業やサービスの提供側が自分の利益に沿って決めるものであり、法に違反するかどうかの判断に用いられるべきではないとのこと。


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2017年に行われた口頭弁論で、スーザン・グレーバー裁判官は「自動化スクリプトはコンピューター犯罪制定法に違反する」というオラクルの主張に対して反対の意を示しました。そして、2018年1月8日(月)、連邦第9巡回区控訴裁判所の3人の裁判官は全員一致でオラクルの主張を却下。「利用規約で禁止されるデータ使用方法を用いること自体は一般的に認められるものであり、コンピューター犯罪制定法に違反するものではない」という旨が述べられました。

オラクルが用いた理論は、天才プログラマーと言われながらも連邦当局に逮捕され、後に自殺したアーロン・スワーツ氏に対して課された罪の法的根拠となった理論と同じもの。スワーツ氏は自動化スクリプトを用いて論文データベースから学術雑誌の記事をダウンロードした計画的な犯行に関与したとされました

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電子フロンティア財団は、この決定が係争中の他の裁判にも影響を与えることを願っています、と語っています。

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