Safariに搭載されるプライバシー機能「ITP」で広告会社は何百万ドルもの収入を失う

by Philms

Appleはウェブサイトの運営側が訪問ユーザーの行動をサイトを越えて追跡することを防ぐ「Intelligent Tracking Prevention(インターネットの追跡回避/ITP)」を2017年に導入しました。このITPの影響で、大手広告配信企業の収益が最大22%も減少すると予測されており、広告業界が受けるダメージの大きさが報じられています。

Criteo Provides An Update On Its Q4 2017 Outlook And On The Impact On Its Business From Apple's ITP | Markets Insider
http://markets.businessinsider.com/news/stocks/Criteo-Provides-An-Update-On-Its-Q4-2017-Outlook-And-On-The-Impact-On-Its-Business-From-Apple-s-ITP-1011390212

No tracking, no revenue: Apple's privacy feature costs ad companies millions | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2018/jan/09/apple-tracking-block-costs-advertising-companies-millions-dollars-criteo-web-browser-safari

Ad firms losing 'hundreds of millions' after Apple clamps down on Safari tracking
http://appleinsider.com/articles/18/01/09/ad-firms-losing-hundreds-of-millions-after-apple-clamps-down-on-safari-tracking

Appleが2017年6月に開催したWWDC 2017では、インターネットユーザーのプライバシー保護の観点からSafariに新機能「Intelligent Tracking Prevention(インターネットの追跡回避/ITP)」を導入することが発表されました。ウェブサイトのオーナーは、サイトを訪れたユーザーの行動を、同一ドメイン以外のサイトにおいても追跡することが可能ですが、ITPは広告配信等を目的とする追跡用Cookieを識別すると一定期間後にCookieの利用制限やアクセス遮断を行います。

ユーザーのCookieを利用してクロスサイトトラッキングされるのを防ぐ機能「Intelligent Tracking Prevention」がSafariに導入される - GIGAZINE


ITPは広告サービスを提供する企業に大きな影響を与えるもので、Google AdWordsもコンバージョントラッキングの仕組みを変更を余儀なくされました。

また、広告配信企業の大手・Criteoが公開した2017年第4四半期の決算書から、2018年、Criteoの収益はITP導入以前に比べて最大22%の影響を受けるだろうと予測されています。2016年のCriteoの収益は過去最大の7億3000万ドル(約820億円)であり、ITPのもたらす損失は何百万ドルにも上りそうです。IAB Tech LabのゼネラルマネージャーであるDennis Buchheim氏は「Apple・Safariにおけるトラッキングの変更によって、同様にネガティブな影響を受ける企業は広範な分野にわたって存在すると考えています。その上、我々の予想ではAppleはITPを維持することに加えて彼らにフィットするよう何度も進化させていくでしょう」と語りました。

実際に、ITPが導入されてすぐCriteoは抜け穴を利用した対策を行いましたが、2017年12月に行われたiOS 11.2アップデートでAppleは広告会社たちの新しい戦略に対応して抜け穴を使えなくしています。Appleの対応を受けて、当初「収益の減少は9~13%に収まるだろう」と予測していたCriteoは、収益減少予測を22%に下方修正。Appleのこのような姿勢について「一方的で高圧的」「今日のデジタルコンテンツやデジタルサービスを支えるデジタル広告のエコシステムを脅かすものである」として批判の声も上がっています

Buchheim氏はITPを出し抜く各社の努力は今後も続いていくだろうと見ていますが、短期的な持続可能・確実なアプローチはもちろんのこと、ユーザーフレンドリーでクロスデバイスターゲティングやデータ測定が可能である長期的な解決策も探っていく必要があることを示しました。

ただし、Criteoは「我々はAppleのユーザー、ウェブサイト側、広告主の関心に沿うユーザーのプライバシー標準を基礎としつつも、代替となる長期的に持続可能な解決方法の開発に注力しています」「この解決策はまだ開発の初期段階でどれくらいの効果があるのかはまだわかりませんが」と前向きな姿勢を示しています。

by rawpixel.com

一方、Googleは広告ブロック機能をChromeに標準搭載することを検討していると2017年に報じられており、2018年2月には広告ブロック機能が実装されるというウワサもあります。Googleの広告ブロック機能は広告会社と提携をもとに作られているのでITPのような形ではないという見方もされていますが、広告配信側としては厳しい状況が続くと予測されています。

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