コンピューターに学ぶ「時間をより効率的に扱う方法」

by Uroš Jovičić

歯を磨きながらメールをチェックしたり、朝食を食べながら新聞を読んだりと、人間は日常的に複数のタスクを同時にこなしています。しかし、やりたかったことにチャレンジする時間をなかなか作れずにいるなど、うまく時間を管理できていないという人もいるはず。そんな人に役立ちそうな、コンピューターから学ぶ「時間をより効率的に扱う方法」を、TED-Edがムービーにして公開しています。

How to manage your time more effectively (according to machines) - Brian Christian - YouTube


1997年、NASAのマーズ・パスファインダーが火星に着陸しました。


このミッションの中で、マーズ・パスファインダーは約1万6000枚という大量の写真データを地球に送信しました。


しかし、数日でミッションは間違った方向へと向かっていくこととなります。なんと、通信が途絶してしまったのです。


マーズ・パスファインダーには常にタスクが与えられていたのですが、重要なタスクを実行し損ねます。一体何が起こったのかというと、マーズ・パスファインダーのスケジューラーにバグがあったそうです。


全てのOSはスケジューラーと呼ばれるものを備えています。このスケジューラーは、CPUが割り当てられたタスクに「どれだけの時間取りかかれば良いか?」や、「次にどのタスクに取りかかれば良いのか?」などを判断しています。このスケジューラーにバグがあったため、マーズ・パスファインダーは重要な仕事をやり損ねてしまったわけです。


スケジューラーのおかげで、コンピューターは画像を開いたり音楽を聴いたりメールをチェックしたりと複数のタスクを同時に実行しても、優れた応答性を示してくれます。そんなコンピューターから時間管理の術を学んでみよう、というのがこのムービーです。


コンピューターに習うべきひとつ目のポイントは、「タスクの優先順位付けに費やす時間は、それらのタスクをやり遂げるのに費やす時間ではない」ということ。


メールのチェックを例にしてみると、メールボックスの中から「重要なもの」を選び、「内容をチェックするメール」として他と分ける人もいるかと思います。気の利いたメール管理術のように思えますが、これにこそ問題があるとムービーは指摘しています。


なぜ問題があるのかというと、この方法でメールをチェックしていると、受信ボックス内のメールの数が2倍に増えると分類にかかる時間も2倍となり、「メールチェック」という作業全体にかかる時間は4倍になってしまうからです。


Linuxのプログラマーも2003年に同様の問題に直面しています。プログラマーはLinuxのスケジューラーに実行すべきタスクをランク付けしてから処理するようにプログラムしていたそうですが、時にはタスクを実行するよりもランク付けを行うのにかかる時間の方が長くなってしまっていたそうです。


これは人間においても同じで、どのタスクを優先してこなせばいいのかと考えているうちに無為に時間が過ぎていった経験があるという人もいるはず。


そこで、Linuxのプログラマーは直感に反した解決方法として、「ランク付け」をやめて「限られた数の優先バケツを設ける」という方法を選択しました。これにより、システムは「次に何をすべきか?」についてはそれほど正確な回答を出せなくなってしまいますが、タスクを実行するための時間を多く用意できるようになるそうです。


これをメール管理術に置き換えてみると、メールを仕分けすることが最も重要なタスクであるとしていると、肝心のメールをチェックしたり返信したりする時間が足りなくなってしまう可能性があるため、時間順もしくは完全にランダムにメールを返信していくことがオススメとのこと。意外にも、時には完璧な順序で物事を実行していくことをあきらめることが、タスクを実行する上での助けとなるそうです。


そして2つ目のポイントは、現代社会においても頻繁に起こる作業の「中断」について。


コンピューターがあるタスクから別のタスクへと移行する時、「コンテキストスイッチ」と呼ばれる機能を使い、1つのタスクで使う場所をブックマークし、古いデータから新しいデータにメモリの内容を入れ替える作業が行われます。これらの作業にはそれぞれコストがかかり、生産性と応答性の間には基本的にトレードオフの関係があるため、どちらかを重視すればどちらかが犠牲になるという関係があります。


この解決策は、重要なタスクを行う際などにはコンテキストスイッチ(別の作業への移行)を最小限にすることで中断を極力減らすことです。そして、重要ではないタスクをグループ化しておき、まとめて処理することで中断を最小限にすることが可能となります。


コンピューターサイエンスにおいてこういったアイデアは「Interrupt Coalescing」と呼ばれています。「どれくらいの中断タスクを保持しておく余裕があるか?」から逆算して、ある程度の中断タスクをまとめてグループ化し、まとめて消化するそうです。


2013年にはこの「Interrupt Coalescing」により、ノートPCのバッテリー寿命が飛躍的に伸びています。


人間の時間管理においても「Interrupt Coalescing」を取り入れ、重要なタスク以外をまとめて処理することで、、現代社会において貴重となった「休息」をしっかりと確保できるようになるとムービーは主張しています。

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in 動画, Posted by logu_ii