アポロ計画で人類を月へ送り込んだ管制室の復元プロジェクト始動、月面到達50周年となる2019年の公開を目指す


1969年に人類を初めて月面に到達させたアポロ計画など、NASAのさまざまなロケット打ち上げミッションの際に使用されたテキサス州ヒューストンにあるジョンソン宇宙センターの管制室「ミッションコントロール」の復元プロジェクトが、2019年の一般公開を目指してついに始動しました。このプロジェクトはKickstarterでその資金の一部を募っていたもので、クラウドファンディング経由では50万ドル(約5600万円)の出資が集まっていました。

NASA's Apollo Mission control room set to be restored | Daily Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-5138061/NASA-Apollo-Mission-control-room-set-restored.html

今回修復されることになったのが、映画「アポロ13」などで見たこともある人が多いはずのミッションコントロール(管制室)。NASAが行ってきた数々の打ち上げミッションの管制を担ってきた施設で、アポロ計画の1つ前にあたるジェミニ計画や、当時のソ連と共同で実施したアポロ・ソユーズテスト計画、スペースシャトル計画の前身となるスカイラブ計画、そしてスペースシャトル計画の一部に使われ、1992年に「引退」していました。また、1985年にはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されています。


実際にアポロ計画当時に使われている時の様子はこんな感じ。ミッション名は不明ですが、真正面の壁には宇宙船の場所を示す画面が投影されています。


復元されるのは、ミッションコントロールに隣接する4つの部屋を含む施設全体で、特にスペースシャトル用に改装されて新しいテクノロジーを投入されていた管制用のコンソールも、わざわざアポロ計画当時の姿に限りなく近い状態に戻されるとのこと。


管制室のレイアウトはこんな感じ。ちなみに、アポロ13号計画で3名の宇宙飛行士を生還させ、「史上最も成功した失敗」とも呼ばれる対応に成功した主席管制官のジーン・クランツ氏が指揮をとっていたのは、5番の「Flight Director」の席。


復元される設備は製造されてから50年の月日がたつため、当時と同じ部品を入手することはほぼ不可能。そのため、各部は修復を行う専門家のもとに送られて当時の姿を取り戻すことになります。コンソールはカンザス州にある宇宙と科学の施設「Cosmosphere」へと送られ、専門家による修復作業が行われる予定。コンソールのボタンやダイヤルは全て当時そのままの状態に戻され、今ではほとんど見ることもなくなった白黒表示のブラウン管ディスプレイも元に戻されるとのこと。


また、当時使われていたマニュアル類のバインダーやヘッドセット、さらには鉛筆や灰皿に至るまでが徹底的に復元され、1969年の状況をそのまま甦らせることになっているとのこと。ここまで徹底した復元を行うのは、当時の最先端技術を集結させたアポロ計画が成し遂げた偉業を後世に残すことが目指されているためです。


この取り組みに際し、ジョンソン宇宙センター公式ビジターセンターである「スペースセンター・ヒューストン」は500万ドル(約5億5000万円)の資金を募るキャンペーン「Webster Challenge」を2016年に開始。ジョンソン宇宙センターに隣接し、当時の宇宙開発に携わった関係者が多く住んでいる街「City of Webster」は2017年初頭に310万ドル(約3億5000万円)の寄付を申し出ており、さらにその資金の一部を、Kickstarterのキャンペーンで募集したところ、約50万ドル(約5600万円)の資金調達に成功しています。また、Kickstarterの参加者から集まった出資額と全く同一の額が、City of Websterによって上乗せされることにもなっています。


そしてついに、本格的な修復に向けたプロジェクトが始動しました。管制室を含む施設全体の修復は月面着陸50周年となる2019年に完了される予定で、同年には一般向けに公開も開始されるとのことです。Kickstarterキャンペーンの際に作成されていた以下のプロモーションムービーでは、ジーン・クランツ氏本人が登場してその意義を語っているほか、冒頭で聴けるクランツ氏と各部署との掛け合い「RETRO, Go! FDO, Go! GUIDO, Go!...CAPCOM, we are GO for landing」の音声は何度聞いても鳥肌モノです。

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