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従来の7倍高速で早送りかと思うレベルの超高速3Dプリントが可能となる「FastFFF」が登場


マサチューセッツ工科大学のJamison GoさんとJohn Hart教授が、信じられないくらい高速で出力可能な3Dプリンターを作成し、これが立体物を出力する様子を映したリアルタイムムービーを公開しています。3Dプリンターは倍速でムービーを再生しているのかと思うレベルの高速出力が可能で、プラモデルの壊れたパーツを3Dプリンターでサクッと出力、といったような未来を実現するためのテクノロジーとなる可能性を秘めています。

Fast Desktop-Scale Extrusion Additive Manufacturing - ScienceDirect
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214860416303220

3Dプリンターにおける出力時間の短縮は、コスト効率や従来型の3Dプリンターとの競争においても不可欠な要素です。何もない状態から材料を積層して加工品を作り出す製造方式は「アディティブマニュファクチャリング(AM)」と呼ばれ、3DプリンターはまさにこのAMの代表格と言えるものです。AMが可能にする一連の製造プロセスの高速化と、複雑な形状の造形加工を可能にする能力を組み合わせることで、製品設計や顧客に特化した製品作りにこれまでとは全く異なるワークフローを生み出すことが可能になる、とGoさんとHart教授は考えています。そんな考えのもと、2人が設計したのがデスクトップサイズのAM式3Dプリンター用システム「FastFFF」で、商用化されている他の3Dプリンターよりもはるかに高速な出力が可能となります。

2人が開発したFastFFFと呼ばれるシステムは、従来のフィラメントを溶かして出力する「熱溶解積層方式(FFF)」の律速メカニズムを分析することで得られた知見をもとに設計されています。FastFFFはナットフィード押出プリントヘッド、レーザー加熱ポリマー液化機、サーボ駆動並列ガントリーシステムを使用することで、高い押出力、急速なフィラメント加熱、高速なガントリー動作を実現し、従来システムの限界を突破しているとのこと。押出・加熱機構はコンパクトなプリントヘッドを採用しているので糸状フィラメントを出力可能で、ファイバー結合ダイオードレーザーを用いているので熱伝達を増大させることが可能となっています。また、優れた加熱機構により、高温熱可塑性樹脂や複合材料の出力にもFastFFFは適しているとのこと。


FastFFFシステムを搭載した試作モデルは、1時間あたり127立方センチメートルの物体を出力可能。これは市販のデスクトップサイズの3Dプリンターと比べて約7倍も大きいそうです。なお、ベンチマーク上では最大1時間あたり282立方センチメートルの物体を出力できるとも記されています。

実際どれくらい出力が早いのかというと、3Dプリンター立体造形出力サービスの「東京リスマチック」では、縦70mm×横120mm×高さ15mm(126立方センチメートル)の物体を樹脂出力サービスで作ると、出力に約4時間かかるとしているので段違いの高速っぷりであることがわかるかと思います。

出力実績|3Dプリンター立体造形出力サービス|東京リスマチックのツールづくりのお手伝い


というわけで、実際にFastFFFシステムの試作モデルが物体を出力している様子を収めたムービーは以下から見られます。

Fast desktop-scale extrusion 3D printing - YouTube


以下のムービーではFastFFFとは異なる従来式の3Dプリンターが物体を出力する様子が見られるのですが、比べてみるとFastFFFのプリントヘッドがいかに高速に動き回っていたのかがよくわかります。

Why This Is the Best 3D Printer - Comparing ALL My Printers!!! - YouTube

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in ハードウェア,   動画, Posted by logu_ii

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