視覚的な認識能力はIQとは一致しない

by londinrikard Fröberg

認知にまつわる能力はこれまで知能と関連があると考えられてきましたが、ヴァンダービルト大学心理学科のIsabel Gauthier教授らが視覚的な認識能力を測定するテストを考案して実施したところ、その結果はIQとは一致しないものであることがわかりました。

General object recognition is specific: Evidence from novel and familiar objects - ScienceDirect
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0010027717301361

Visual intelligence is not the same as IQ | Research News @ Vanderbilt | Vanderbilt University
https://news.vanderbilt.edu/2017/11/07/visual-intelligence-iq/


「顔」「車」「鳥」など、すでにわかっている特定種類のオブジェクトであれば、学習時間が長くなればなるほど識別能力は上がっていくことがわかっていますが、完全に未知の物体だとどれぐらい識別できるようになるかは予測がつきません。

Gauthier教授らは、視覚的に物体を識別する能力の測定を行うため、未知の物体を使った「ノーベルム・オブジェクト・メモリー・テスト(NOMT)」を開発しました。識別対象となる未知の物体はコンピューターで生成した「greebles」「ziggerins」「sheinbugs」と呼ばれる3種類の物体で、被験者はAmazonクラウドソーシングを利用して集めた完全な「素人」100人です。

これが「greebles」「sheinbugs」「ziggerins」。ここには一例として3種類が3つずつ並んでいますが、被験者は3種類×2つの合計6つを学習。

by Isabel Gauthier / Vanderbilt

テスト本体では、各オブジェクトは被験者が学習したもの1つと、未知の姿2つという3つがセットで出題され、被験者は3つの中から学習したものを選ばされました。

2000件以上のオブジェクトで識別テストを行った結果、「greebles」「sheinbugs」「ziggerins」のうち1種類での識別結果は、ほか2種類の識別結果と似通ったものになり、「異なる未知のオブジェクトがあっても、それぞれをどれぐらい識別できるようになるのかは予測可能である」ことがわかりました。この結果は、NOMTが未知のカテゴリーを学習するときの視覚的能力を測るテストとして機能することを示しています。

また、IQ関連のテストも同時に行われたことによって、NOMTで測定された視覚的認識能力とIQとの間に関係がないこともわかりました。認識能力は知能と関連づけて考えられてきたため、Gauthier教授も結果に驚いたとのこと。

視覚的認識能力は仕事に限らずいろいろなところで必要になってくる力なので、Gauthier教授は今後、NOMTが現実世界の中でいかに応用していけるかを探っていく予定だと語っています。

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in サイエンス, Posted by logc_nt