ハードウェア

Appleが完全新開発の「ARヘッドセット」を開発中と報じられる

By Roger Luo

Appleが独自の技術を開発してAR(拡張現実)ヘッドセットを近い将来に登場させる予定とBloombergが報じています。

Apple Is Ramping Up Work on AR Headset to Succeed iPhone - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-11-08/apple-is-said-to-ramp-up-work-on-augmented-reality-headset

内部関係者からの情報に基づいてBloombergが報じた内容によると、Appleは2020年に新OS「rOS」を搭載したARヘッドセットを市場に投入する計画を立てているとのことです。ARヘッドセットやVRヘッドセットの多くはスマートフォンを使った仕組みを採用していますが、Appleはこのような方法を用いず、チップセットを含む独自のハードウェアを新たに開発して完全に新しいデバイスを作る方針で開発を進めていると報じられています。


すでにApple内部では数百名規模の開発チームが組織されており、コードネーム「T288」の名の下でカリフォルニア州クパチーノとサニーベールの開発拠点をエンジニアが忙しく行き来する状態になっているとのこと。rOSはApple Watch向けの「watchOS」やApple TV向けの「tvOS」などと同じようにiOSをベースにしたARヘッドセット専用のOSとなるものとみられます。

この開発チームは数年前に立ち上がっていたもので、2017年6月に発表されたAR技術のフレームワーク「ARKit」もこのチームによって開発されています。ARKitはiPhoneやiPadのカメラの映像に仮想現実の光景を合成することができる技術で、すでにiOS 11から多くの端末で利用できるようになっています。実際に体験した人ならその能力の一端をすでに垣間見ていると思いますが、以下の記事のように便利なツールになったり、現実と空想の境界線がなくなるような表現が可能になったりと、ARの可能性は実に奥深そうなものとなっています。

AppleのARプラットフォーム「ARKit」ではどんなことができるのか - GIGAZINE


AppleのARヘッドセットがどのような形態になるのかは不明ですが、現段階ではHTC製VRヘッドセット「Vive」やiPhoneを使った研究開発が進められているとの情報。しかし最終的には他のサプライヤーの既製品ではなく、独自で開発したハードウェアを使ってARヘッドセットを完成させる方針であるとも伝えられています。これは情報の処理を担うチップセットについても同様で、小型で省電力消費のチップを開発することで、限られたバッテリー容量でも長く動作するデバイスの実現を目指している模様。これは、まったくゼロの状態からApple Watchが開発された状況と同じものといえそうです。

また、サングラスタイプのデバイスになるのであれば、操作方法がどのようになるのかも重要なポイント。この点については不明な部分が多いのですが、現在はタッチセンサーを使った操作や、音声アシスタント「Siri」に話しかけることでアプリの起動や指示を行えるようになるとも見られています。

なお、Bloombergの取材に対してAppleはコメントを拒否。しかしティム・クックCEOはAR技術の将来性を高く評価している模様で、業績発表会の中で「我々はすでに、人々が仕事し、楽しみ、つながり、そして学習する方法を新しくするモノを見据えています。簡単に言うと、ARは私たちがテクノロジーを使う方法をこれまでとはまったく違ったものにするだろうと信じています」と語っています。

新ARヘッドセットの開発スケジュールについて、Apple内部では「かなりアグレッシブなプラン」が立てられているとのこと。予定では2019年に実機を完成させ、2020年の市販を目指しているとのことですが、新しい製品を開発するには短すぎる時間であるとも思われると同時に、まだAppleが必要としている仕様を実現する技術開発も追いついていない状況もある様子。今後の周辺開発にも左右されそうなAppleのARヘッドセットが本当に予定どおり登場するのか、Appleファンはもちろん社会全体からも期待がつのる日々が訪れることになりそうです。

ARヘッドセットに関しては、Googleが2010年代前半に「Google Glass」を登場させていたのが記憶に新しいところ。しかし開発および普及の進み具合がそれほど芳しくなかったことから、2015年には販売がストップしています。その後、GoogleはGoogle Glassを法人需要向けのデバイスとして開発を進める方針を2017年に発表しています。

死んだはずのGoogle Glassに3年ぶりのアップデートが突如として登場、Googleの意図は何なのか? - GIGAZINE


また、MicrosoftはMR(合成現実)を実現するHololensの開発を進めており、開発者向けキットなどを入手することが可能。まだ開発が続けられている分野ですが、現実の風景に情報を追加して表示できるという能力のポテンシャルは計り知れないものがありそうです。

拡張現実ヘッドセット「Microsoft HoloLens」はどうすごいのかが一発で分かるアプリまとめ - GIGAZINE

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
AppleがVR技術開発のため秘密計画始動、スタッフ数百人で何かやっている模様 - GIGAZINE

Googleが普通のスマホでAR体験できる「ARCore」を発表、Appleの「ARKit」との覇権争いスタート - GIGAZINE

現実世界にホログラムを重ねてリアルとバーチャルを融合する「Microsoft HoloLens」の開発者キットがいよいよ登場 - GIGAZINE

SamsungのWindows MRヘッドセット「Odyssey」は視野角110度の有機ELディスプレイで他社を上回る性能を持つ - GIGAZINE

AR活用で未来の歯医者はこうなる - GIGAZINE

スマホをかざすと動き出すAR対応ラベルをビール会社が採用 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.