名作SF映画「ブレードランナー」のシンセサウンドはこのようになっている


1982年に公開されたSF映画の金字塔「ブレードランナー」に欠かせない要素の一つが、ギリシャ出身のミュージシャンヴァンゲリスによって作曲された楽曲の数々です。同作にとって切っても切れないと語られることもあるサウンドトラックは全編がシンセサイザーによって作られているのですが、その楽曲がどのようにして生みだされたのかが解説されています。

The Synth Sounds of Blade Runner | Reverb.com - YouTube


「ブレードランナー」を特徴付けた楽曲の音色の作り方を実演しながら細かく解説するのは、音楽機材ウェブサイト「Reverb」のジャスティン・ディレイさん。


音楽を担当したのは、言わずとしれたヴァンゲリス。ギリシャ出身のミュージシャンで、ブレードランナー以外にも1981年に発表した映画「炎のランナー」に提供したサウンドトラックで第54回アカデミー賞の作曲賞を受賞しています。


そんなヴァンゲリスが多用したのが、楽器メーカー・ヤマハが1977年に発表したアナログシンセサイザー「CS80」です。当時のシンセサイザーでは高級機種のみが可能としていた和音の演奏が可能なモデルで、幅広い表現の幅を備えることで数々のミュージシャンに使われた名機の1つ。当時128万円という価格は一般的な自動車を大きく上回るもので、一部のミュージシャンだけが使えるものでしたが、ヴァンゲリスはこのCS80を7台もスタジオに所有して創作活動を行っていました。


このムービーでは、いくつかの機材や……


CS80をコンピューター上で再現するプラグインを使ってその音作りを解説。


また、DAWソフト「Ableton」に内蔵される音源を使って楽曲を再現する方法も解説されています。


まずはメインタイトルの作り方


メインタイトルの音色を作る際にまず設定するのは、「ノコギリ波」と呼ばれる基本波形。この波形はブラス系やストリングス系のサウンドを作る時に多く用いられるもので、音色を再現する際にはCS80に搭載されている2基のVCO(オシレーター)を両方ともノコギリ波に設定。


この時、双方のピッチを微妙にデチューン(ずらす)しておくことで、複数人で演奏しているような厚みをプラスしています。


次に、特に印象的なメロディーを奏でるストリングスサウンドの作り方。


ここでは、複数の音が重ねられており、メインメロディーのうち音程の高い領域をCS80のストリングスサウンドが担当。そして低い領域は、こちらもCS80のシンセサウンドが割り当てられています。


ムービーでは、複数の音を切り替えながらサウンドメイキングの秘密を解説しています。


CS80のストリングスサウンドの後ろで鳴らされているのが、ローランドのオルガン/ストリングス・キーボード「RS-09」によるコード演奏。


Abletonにはこの機種の音をモデルにしたパッチ「VP330_Dark_Strings」が搭載されており、ムービーでは実際にその音や、コーラス隊を再現したパッチの音をプラスして、楽曲に厚みを加える様子が収められています。


次に、淡々と刻まれるベースサウンドの秘密。


16分音符のフレーズを奏でるのは、シンセサイザーに内蔵されたシーケンサーの仕事。


シーケンサー本体の7セグメントに表示される数字を見ながら、ベースのフレーズを打ち込み。あとはシーケンサーを走らせれば、自動でフレーズを演奏してくれます。


もし、このようなシーケンサー付きのシンセサイザーがなくても、PCのDAWソフトがあれば画面に演奏を打ち込めばOK。


再現する際には、少し古めかしい感じを出すために、フィルタやビット数を減らしてローファイなサウンドにあえてグレードダウンさせると効果的だとのことです。


次は、ドラムを含むパーカッションサウンド


ここで使われているのは、ローランドのリズムボックス「TR-606」をシミュレートした音源。あえて名機「TR-808」ではない機種を選ぶ理由は、ハイクオリティすぎないローファイなサウンドが必要だったからだそうです。


そしてそこに、ラテン音楽などでよく使われるカバサのシャカシャカと細かく刻むフレーズをプラス。ここにリバーブ(残響)やディレイで余韻をプラスすることで雰囲気をかもし出していきます。この他にもムービーでは、Abletonにプリセットされているティンパニの音を少し加工してプラスしています。


最後に、宇宙っぽさや未来感を感じさせる「ハープ」の音をプラス。


ディレイさんは、オーケストラなどで使われるハープの音を加工して追加することで、「ここが最も好き」というパートを再現。ハープの音に、「シュワシュワ」という効果を生みだすフランジャー をかけて、生楽器ではない機械的なサウンドに加工して使っています。


自身も映画「ブレードランナー」の大ファンだというディレイさんは、このムービーを作ることができて光栄とのこと。「ぜひ新作も見てほしい」と語りつつ、ムービーで使われている音源のサンプルをサイト「Reverb」を訪れてゲットしてほしいと語っています。

The Synth Sounds of Blade Runner | Reverbニュース
https://reverb.com/news/the-synth-sounds-of-blade-runner

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