人の命を救うグラフィックデザインあれこれ


強烈なインパクトを持つグラフィックは、時に練られた文章よりも大きな説得力を持つもの。人間の命に関する部分でもグラフィックデザインはさまざまな役目を果たしてきたということで、かつて作られ、多くの人々の命を救ったデザインがBBC Futureにまとめられています。

BBC - Future - The graphic design that can help save lives
http://www.bbc.com/future/gallery/20170927-the-graphic-design-that-can-help-save-lives

◆ウイルスの広告
2014年、エボラ出血熱が流行しているさなかに描かれた、ストリートアーティストStephen Doeさんによる作品。2014年3月にギニア南東部の小さな村で感染者が確認されてから数カ月後の2014年9月時点には、5カ国で2296人の死者が報告されていました。多言語が話され人口の43%しか読み書きができないリベリアでは、どのように病気について人々を教育していくのかという課題があり、イラストやポスターといった方法で知識が広められていったとのこと。そんななか描かれたのが、エボラ出血熱の症状を壁に描いたDoeさんの作品だというわけです。


◆「醜い」デザイン
オーストラリアは2012年に、世界で初めてタバコの箱のデザインを規制しました。この時、保健・高齢化省は市場調査会社に「世界で最もみにくい色を見つける」というイレギュラーな調査を依頼。合計1000人もの喫煙者を対象とした7つの研究によって、「パントン448C」というカラーが死やタール、泥などを連想する色として選ばれ、タバコの色として使われるようになりました。


◆ポスターのパイオニア
以下のポスターはアーティストであり教育者であるBiman Mullickさんによって作成されたもの。Mullickさんは1972年に反喫煙組織「Cleanair」を設立した人物です。当時のイギリスでは人口の約半数が喫煙していたと言われており、能動喫煙の影響を心配したMullickさんは自分のクラスでタバコに火を付けないよう訴えるポスターを作成しました。Mullickさんが勤めていたアート学校はMullickさんにポスターを取り下げるよう伝えましたが、Mullickさんはメッセージを伝え続けたそうです。1984年までにMullickさんは18万6000枚ものポスターを配布し、最終的にWHOによってその功績が認められることとなりました。


◆楽しさという治療法
19世紀まで小児科・小児病院という概念は存在せず、子どもの患者は大きすぎるベッドに寝かされ「大人のミニチュア版」として扱われていました。しかし今日の医学では、子どもは大人と生物学的に異なり、大人とは異なる治療や薬だけでなく、異なる「環境」が必要であることがわかっています。デザイン会社のRubio Arauna Studioは病院をデザインするプロジェクトを行っており、トラやクラゲ、象などで部屋を分け、病院をかくれんぼができそうなインタラクティブなデザインにしました。子どもにとっての病院を孤独や恐怖を感じる場所ではなく、温かみがある、社会的な遊び場に変えたわけです。


◆フラストレーションを緩和する
イギリスでは患者から医療スタッフへの暴力が問題となっており、国民保健サービスは問題への対処のため毎年9300万ドル(約100億円)の費用を費やしています。ただえさえ病を抱えて不安な患者のイライラが、待ち時間が長引くことでさらに増加しているのが問題の一因となっているということで、病院内にある「デザイン」が取り入れられることに。デザインスタジオのPearsonLloydは治療の流れが一目でわかるようなパネルを壁に取り付けることで、不安な患者を落ち着かせるように働きかけました。実際に、パネルが取り付けられた病院では暴力事件が50%減少したとのことです。


◆四角い見た目
2016年、スウェーデンのSwedish Cancer Societyが打ち出した「乳がんのサインを自分でチェックする方法」というアニメーションが「不適切である」としてFacebookのアルゴリズムによって削除されました。

Swedish Cancer Society "Breast School" - YouTube


Swedish Cancer SocietyはFacebookの検閲に引っかからないようにするため、乳房を四角で描くという方法を提案しました。Facebookはその後、Swedish Cancer Societyに対して謝罪しています。


◆緊急事態を示すもの
優れたデザインは、時に日常生活の中に溶け込みすぎて、見つけるのが難しいもの。ピンクと黄色の生地が市松模様を描くイギリスの伝統菓子「バッテンバーグ・ケーキ」から名前を取ったのが「バッテンバーグ・マーク」です。バッテンバーグ・マークはヨーロッパの救急車両に描かれる市松模様を指し、色は車両によって異なるものの、遠くから見ても「あれは救急車両だ」というのがすぐにわかるようになっています。


◆郵便サービス
これまでに数多くの研究が、タバコのパッケージに腫瘍や死体、黒ずんだ肺などの写真をつけることが禁煙の手助けになると結論づけてきました。他方で、喫煙の恐ろしさをイラストにした切手も登場しています。2000年時点で65カ国が反喫煙の切手および郵便アイテムを作っており、目を引くデザインは「広告板のミニチュア」として機能すると言われています。


◆マラリアのメッセージ
グラフィックデザイナーのアブラム・ゲームズさんは第二次世界大戦中に政府と協力して仕事を行いました。グラフィックとタイポグラフィを組み合わせて強いメッセージを発することで知られていたゲームズさんのデザイン。以下のポスターは兵士に対して蚊への注意を促すことを目的として作られています。


◆ナイチンゲールの死亡率マップ
近代看護教育の母と言われるフローレンス・ナイチンゲールは、教育的な図表のパイオニアとしても知られています。人口統計学を用いて兵士たちの死亡原因を示した以下のグラフは、兵士たちが傷そのものではなく病院における感染症で死亡していることを説明しています。このグラフは情報デザインにおいても非常に重要な位置を占めており、「ローズ・ダイアグラム」として現在も使われています。

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in 動画,  デザイン, Posted by logq_fa