スパイ活動用ラジオ「乱数放送」の研究者が突き止めた30件の放送拠点などをまとめたフォトブック「Shadows of the State」を出版


スパイ活動のために暗号となる音声を放送するラジオ「Numbers Station(乱数放送)」が、冷戦時代に盛んに行われました。冷戦終結から20年以上経った今なお存在する乱数放送について研究してきた人が、研究成果をまとめたフォトブックを出版するべく、出版に関する資金をクラウドファンディングで募ったところ、見事に目標出資額をクリアし、研究成果が世に出ることになっています。

Shadows of the State by Lewis Bush — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/602932569/shadows-of-the-state

非公式の放送局が、暗号のようなメッセージや音声を流す「乱数放送」が冷戦時代に発達しました。主に短波を使った乱数放送は、外国でスパイ活動する者に向けて送られるメッセージであり諜報活動に用いられるものだと考えられています。前触れなくゲリラ的に放送される乱数放送は、世界中のBCLマニアによって発見されて、暗号の解読作業が行われていたそうです。


乱数放送は、規模の大きさから多額の資金を投じて行われており、各国政府機関が主催しているとみられています。


電波は国境をやすやすと越えられるので、世界中に点在する諜報員に特定のメッセージを伝える用途で利用されました。


放送は盗聴されても大丈夫なように基本的に暗号化されています。秘密にされているが故に、解読しようと試みる人があとを絶ちません。


ただし、ワンタイムパッドを利用することで、事実上、解読が困難なことも多いとのこと。


冷戦時代にはアメリカ・ロシア・中国・キューバなどの国で行われていた乱数放送ですが、冷戦以降は激減しました。ただし、現在も中国や北朝鮮など一部の国で利用されており、完全には消滅していません。


イギリスの写真家・作家のルイス・ブッシュさんは、約2年間、乱数放送について研究を続けてきました。


乱数放送に関する政府公開資料や秘密文書などを解析することで、乱数放送の拠点と見られる30カ所以上の施設を特定したとのこと。


特定した場所は、Google Earthの3Dデータなどを活用してデジタルデータとして保存されています。


以下の衛星画像は、ドイツ国内にある乱数放送の拠点と疑われる施設。


画像をズームインしていくと巨大なアンテナのような物体が確認できます。


さらに、各拠点に関する乱数放送の音声データも収集しています。


音声データは波形として保存され、暗号の解読にも利用できるようになっているそうです。


これまで集めた乱数放送に関するデータをフォトブック「Shadows of the State」として出版することをブッシュさんは計画しています。そのための資金を調達するべく、クラウドファンディングサイトKickstarterでShadows of the Stateプロジェクトを立ち上げました。

プロジェクトへの出資者には、40ポンド(約6000円)の出資でShadows of the Stateのコピー(複製版)が提供されていました。


コピーは乱数放送に関する説明や、これまでの研究について記載されています。


30カ所の乱数放送拠点についての解説もあり。ただし、正確な位置情報については明記されていないそうです。


写真家のブッシュ氏らしく、高精細な写真が大量に収録されたフォトブックになっているようです。


ブッシュ氏は、フォトブックのShadows of the Stateを出版するだけでなく、研究してきた乱数放送に関する情報を掲載するウェブサイトも立ち上げる予定だとのこと。サイトでは乱数放送の拠点と見られる航空写真の画像や乱数放送の音声データなどについても公開する予定です。

なお、2017年12月にBrave Booksから出版される予定の「Shadows of the State」は28センチ×18センチの大きさ、全192ページで解説は英語表記、60枚の高解像度写真が収録されています。ドイツのブックデザイナーTom Mrazauskas氏のデザインで装丁されるとのこと。印刷部数は700冊のみでしたが、Kickstarterプロジェクトのストレッチゴール到達により1000冊に増刷されるとのこと。それでも限定1000部なので、貴重な書籍になりそうです。

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