Intelがクラウドに依存せずチップ単体で自律的に学習していけるAIチップ「Loihi」を開発中


AI技術をさらに進歩させるべく、クラウドへの依存を減らしてAI処理をチップ内で可能な専用のAIチップの開発競争が行われ始めています。すでにHuaweiの「Kirin 970」やAppleの「A11 Bionic」など、モバイル端末向けのAI内蔵SoCが発表されていますが、半導体メーカーの雄・Intelも、人間の脳の仕組みを模倣するNeuromorphic(神経形態学的)なシステム「Neuromorphic Computing」と、それを実現するAIチップ・コードネーム「Loihi」を開発しています。

Intel’s New Self-Learning Chip Promises to Accelerate Artificial Intelligence | Intel Newsroom
https://newsroom.intel.com/editorials/intels-new-self-learning-chip-promises-accelerate-artificial-intelligence/

Neuromorphic Computingがどのような技術なのかは以下のムービーで説明されています。

Neuromorphic Computing: The Future of AI and Computing - YouTube


AIの未来とは?


高性能なAIを実現するために、AI専用の半導体チップの開発は不可欠です。


AI技術は人間の脳の構造に着想を得る形で、ますます進化するはず。


AIによって実現すると期待される技術は多種多様です。例えば、高度な周辺認識力を持つ「自動運転カー」


赤ちゃんにスマートフォンを向けるだけで……


健康状態を一発で把握できる「ヘルスケアシステム」


作物の生育具合をエリア別に精緻にチェックできる「農業用ドローン」


箱をどこに移動させれば良いかをアドバイスする「AR技術」など。


人間の脳の構造を応用したAI半導体技術を「Neuromorphic Computing」とIntelは名付けています。


脳のニューラルネットワークは、電気信号によって情報を伝達します。


網の目のように張り巡らされたニューロン間に生じる「スパイク」は、シナプス強度や「重み」を調節して、それらの変化を局所的に保存できます。つまり、人間の持つ知性は、脳の神経回路とその相互作用によって生まれています。


人間の脳のように「自己学習」できる半導体の開発によって、AI技術はさらに進歩するはず。


例えば顔認識技術が進歩すると……


町行く人の中から、行方不明者や指名手配犯を即座に探し出すことが可能になります。


製造や救急などの現場でもロボットが人間を手助けできるようになります。


よりスマートな都市が実現するはず。


では、その未来はいつ到来するのか?Intelの答えは「すでに到来している」というもの。


Intelは半導体チップ単体で自己学習できるNeuromorphic Computingを開発中です。


現在、AI技術はディープラーニングによって実現する試みが世界中で行われています。しかし、「トレーニング」と「推論」を組み合わせるディープラーニングでは、既知の学習データが大量に必要なためクラウドとの連携が避けられず、また、学習データセットがない未知の状況に対応することは難しいという欠点があります。

これに対してIntelがNeuromorphic Computingで行うアプローチは、クラウドを使うことなくチップ単体で完結する自己学習型の半導体チップの開発だとのこと。周辺環境のさまざまな情報からフィードバックを得て、人間の脳のように学習するそうです。

Intelは半導体の専門家だけでなく、物理学、生物学などの専門家とも協力してNeuromorphic Computingに関する研究・開発を6年間行ってきたそうで、すでに試験用のチップ(コードネームLoihi)を試作しています。Intelによると脳の構造を模したメカニズムで動くデジタル回路を備えるLoihiは、トレーニングと推論の過程をチップ内で結合できるため、クラウドからの更新を待つことなく、自律的かつリアルタイムに環境に適応するべく性能を高められるとのこと。


Loihiチップには、以下の特徴があります。

・完全に非同期な神経回路類似のコアメッシュを持ち、各ニューロンは数千もの他のニューロンと通信可能
・各Neuromorphicコアにはネットワークパラメーターを調整できるようにプログラム可能な学習エンジンを含み、監督あり/なし・強化その他の学習パラダイムをサポートする。
・Intelの14nmプロセス技術で製造される
・13万のニューロンと1億3000万のシナプスで構成される
・経路計画、制約充足、スパース符号化、辞書学習、動的パターン学習などを含む問題に対応するアルゴリズムの開発

試作されたLoihiチップでは、従来型の典型的なニューラルネットワークと比較して100万倍の学習向上率を記録しており、さらに、一般的なトレーニングシステムに必要なコンピューティングに比べて1000倍もエネルギー効率が高いとのこと。2018年前半にLoihiのテストチップが大学や研究機関に提供されAI開発の情報共有が行われる予定だとIntelは述べています。

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