優れた上司だけがたどり着く「昇進のパラドックス」とは?

by JD Hancock

人より優れた成績を出し続けるトップ・パフォーマーは平均的な従業員の何十倍もの生産性を発揮します。しかし、トップ・パフォーマーが昇進した時にぶつかるのが「立場が高くなるにつれ、称賛や栄光が減る」という事実。人の上に立ってチームを動かすということは、優秀な成績を出し続けていた時とは異なる考え方が必要であり、多くの人にとって受け入れがたいこの事実を受け入れられる人だけが優秀な上司・経営者になれるとのこと。

The best bosses realize that the higher they rise, the less glory they get — Quartz
https://qz.com/1063717/the-best-bosses-realize-that-the-higher-they-rise-the-less-glory-they-get/

広告会社Droga5のCEOであるサラ・トンプソン氏がNew York Timesのインタビューで「立場が上がるにつれ、栄光は減っていきます」と語っていることに表されるように、多くの人が目標にする「昇進」は、外からはわからないパラドックスをはらんでいます。トンプソン氏は自身のマネージメント哲学について「エネルギーを外側に注ぐこと」だと説明しており、「チームをよりよくするには、無私にならなければいけません。ミーティングで勝ったり、『自分なしではチームは勝てない』と感じることは重要でないのです」と語っています。

by Darren Coleshill

「立場が上がるにつれ栄光が少なくなる」という事実は、トップパフォーマーたちにとって居心地が悪いもの。過去の研究では子ども時代に正しい方法で褒められると人はより知的に、幸福になり、成功を収めやすいということが判明していますが、一方でマネージメントでは「褒められること」ではなく「褒めること」という逆の立場からの働きを行います。昇進において評価されることが「難しい仕事を成し遂げたこと」ではなく「判断力」であるということは、昇進した後の立ち位置において人がすべきことが「トップになること」ではなく、「人の話を聞き、よい組織戦略を立て、チームを前進させること」であることを意味します。

ソフトウェア会社の15FiveのCEOであるデイビット・ハッセル氏も、「リーダーは自分のことをチャンピオンと考えるのではなく、指揮者だと考えなければならない」という考えを持っています。ハッセル氏は同社の組織の形としてトップダウンではなくボトムアップを採用しており、「CEOは、組織の中の人々が成長できるようサポートし、ビジョンを生き生きしたものに保つ『木の幹』だと考えてください」と語っています。また、MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラ氏も、ビジネスリーダーは「知ったかぶりをする人」ではなく、「全てを学ぼうとする人」を目指すべきだという考えを明らかにしています

by Tee Cee

発達心理学者のエリク・H・エリクソンは、人間が有意義な人生を送るためには、各発達段階において特定の技術や価値観を身につけなければいけないと説きました。エリクソンによる発達段階は乳児期・幼児前期・幼児後期・学童期・青年期・成人期・壮年期・老年期に分けられていますが、成人期における最も重要なタスクは「次世代を育て、他人が目標を達成するのを助けて、彼らの潜在的可能性を導くこと」だとされています。つまり、人は子ども時代の利己的な態度を脱却した時に、成功した大人になれるのであり、子育てや後輩の世話、世界にとって有益なものを作ることによって「人生は自分の進路を計画するものではなく、人を助けるものなのだ」と気づくのだと作家のEmily Esfahani Smith氏は語りました。「このような人々は自分自身を巨大なタペストリーの一部だと見ており、このタペストリーを保存する方法を模索します。そして次世代の人々にとって、このタペストリーが生きる意味になるのです」とSmith氏。

これまで「優秀な成績を上げること」「困難なタスクを成し遂げること」を重視していた人にとって、「立場が上がるにつれ、栄光は減っていく」という考えを受け入れるのは難しいもの。しかし、この「考え方の変化」を受け入れることで、より優れた結果や生産的なチームを生み出すことができます。「人々は自分とは別のやり方で物事を進めるのだということに気づくのには時間がかかりました。私が学ばなければならなかったのは、求める結果や質のためのセットアップ、そして目標を達成するための自由を人々に与えることだったのです」とトンプソン氏は語っています。

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