脳は「時間」や「タイミング」をどのようにして認識しているのか?

by bzztbomb

人間は意識しなくとも常に時間をカウントしており、だからこそ「気まずい沈黙」や「おやつの時間」を認識することができます。しかし、脳がどのようにして時間を認識しているのかは、まだまだ解明されていない点が残っている状態です。一方で脳スキャンを行ったこれまでの研究から、脳の複数の灰白質が、時間やタイミングに関する個別のタスクを担っていることがわかってきています。

How your brain tells time | Popular Science
http://www.popsci.com/how-your-brain-tells-time

音楽に合わせてドラムをたたくという行為から、講義がどのくらい遅れているのかを認識することまで、日常のあらゆる行為にタイミングや時間が関わっています。そんな時間の認識に関わる機能を担っているのは、脳のうち、以下のようなパート。各分野は得意とすることが異なり、それらが一緒に働くことで人は時間を認識できています。

◆タイマー機能
脳のうち補足運動野(SMA)は脳が外界から刺激を拾った時にタイマーとして機能する部分。過去の研究で、SMAは「好きなタイミングでボタンを押してください」と言われた被験者が実際にボタンを押す5秒前に活動したことが確認されており、人間の順序動作を制御するものと考えられています。外界からの刺激が長く続くほどにSMA内の神経細胞の活動は活発になります。そして外界の刺激が続く限り、脳の神経細胞の発火は続き、脳の他の部位に送るための情報を保持し続けることになるとのこと。

◆記憶中枢

by Heather Zabriskie

赤ん坊が泣いている時間の長さを測るには、「赤ん坊はいつ泣き始めたのか?」ということを覚えておく必要があります。「赤ん坊の泣き始めと泣き終わり」といった短期記憶を行うのは前頭葉の右下にある部位で、この部位がなくなってしまった場合、赤ん坊が泣き始めてから数秒後には「泣き始め」という記憶が消えてしまうため、時間を把握することは不可能になります。

◆順序の認識
人間が生産的に動くには、連続する行為の順序を認識することが必須。ダンスのステップを覚えるのも、朝起きて服を着るという行為も、複数の動きの連続でできているためです。過去に行われたMRIを使った研究では、人間が連続する動作の分類を行っているとき、脳のうち海馬が活性化することがわかっています。

◆ビート・キーパー
「ビートを刻む」といったタイミングに関するタスクを含めた、筋肉の動きを調整する働きを担うのが小脳。これまでの研究で、小脳エリアは「リズムを取る」といったタイミングを予測する作業の際に活動を示すことがわかっており、「次のタップまでどのくらいの時間ホールドするのか」といった決定を行うものと見られています。

◆報酬カウンター

by Pete Wright

チョコレートが好きな人が「チョコレートをもらえる」ということを知っている場合、その人はチョコレートがもらえるまでの間「待つ」ことができます。この働きは動機付けや学習を担う脳の大脳基底核という分野が行っていること。「現在の1万円と1カ月後の3万円」のどちらを選ぶのかという問題には時間割引率が関係してきますが、大脳基底核は時間割引のプロセスに関して注意喚起を行い、どれくらいの時間であれば待つべきかを判断します。

脳がどのように時間を把握しているのか、という問題は科学者によって意見が分かれるところ。2010年に発表された研究では、脳の中央にある灰白質だけではなく脳全体が継続的に時間を刻んでおり、「仕事に行かないと」と発言するなどトリガーとなる事柄が存在することで神経細胞が特定のパターンで発火し、このパターンを解読することで時間の経過やタイミングを認識することができるとする考えもあります。

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in サイエンス, Posted by logq_fa