弁護士をロボットに置き換えようとするベンチャー企業をシリコンバレーの著名起業家が興す


Twitchの共同創業者で次々と事業を興しては売却してきたシリコンバレーの著名な起業家が、弁護士を人工知能で代替することを目指してスタートアップを設立しました。シリコンバレーの技術革新の波は、法律実務にも押し寄せているようです。

This Silicon Valley start-up wants to replace lawyers with robots - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2017/09/14/this-silicon-valley-startup-wants-to-replace-lawyers-with-robots/

シリコンバレーで近い将来、競争が激化すると考えられている分野は法律実務だと言われています。端的に言えば、弁護士などの法律実務家をロボット(人工知能)に置き換えようというわけです。

Twitchの創業に関わるなど、スタートアップを設立しては次々と巨額で売却するのに成功してきたシリコンバレーの若き起業家ジャスティン・カン氏は、弁護士業務をロボットで行うスタートアップ「Atrium」を設立し、着々と準備を始めています。

シリアルアントレプレナーとして著名なカン氏がどんな人物なのかは、以下の記事を見ればわかります。

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なお、弟のダン・カン氏もバリバリの起業家です。

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Atriumの狙いは弁護士を人間からAIに置き換えること。金のかかる弁護士を格安のAIに置き換え、人間よりも正確なサービスを提供することで、クライアントに単一かつ透明性の高い報酬を求める効率的な法律実務を実現しようというわけです。

カン氏は起業し成長させた企業を売却する過程で何度も弁護士と仕事をする中で、法曹界の古い慣習に対する不満を募らせて、弁護士をAIで代替する需要があると感じたそうです。カン氏は「私はシリコンバレーのあらゆる法律慣習の中で非自発的で力のないユーザーでした。資金を調達する、合併を行う、企業を買収する、訴えられる。そのたびにお金が必要になりましたが、私は何に対して報酬を支払っているのかわかりませんでした」と述べています。

サンフランシスコに拠点を構えるAtriumにはすでに34人の従業員が働いており、その中にはパラリーガルはもちろん弁護士も参加しています。多くの従業員は、シリコンバレーの流儀に従ってTシャツにジーンズというラフなスタイルで業務をしているとのこと。

写真右端がカン氏。カン氏以外の共同創業者の3人のうち2人は弁護士です。最も左にいるオウギー・ラカウ弁護士は、シリコンバレーではすでに大企業に成長したOrrick・Herrington・Sutcliffeなどのシニアパートナー弁護士を務めていた人物です。弁護士のキャリアとしては最上位の地位に到達したとも言えるラカウ氏は、「Atriumのビジネスは法律業界の未来であることは誰もがわかっています。私は、Uberについて不満を漏らすタクシー運転手のような形で、キャリアの後半を過ごしたくないのです」と述べ、弁護士としての自身の将来を導く挑戦だとAtriumに加わった理由について語っています。


これまで、法的知識や経験がものを言い参入障壁が極めて高い法律実務においては、法律事務所は弁護士が費やした時間に対して費用を徴収するというローテクな運用が行われてきました。つまり、時間単位で報酬を請求する弁護士にしてみれば、効率化することで得られる対価が減るため、効率化はほとんど魅力がなかったわけです。効率化の進まない旧態依然とした法律実務は、テクノロジーで効率化を推し進めるシリコンバレーにとってみればビジネスチャンスのある領域であり、しかも3000億ドル(約33兆円)という規模の法律サービスは魅力十分です。

すでに文書の審査や駐車違反チケットの作成や少額訴訟の代行業務など、一部の法律業務に取り組むスタートアップは登場していますが、弁護士が関わる法律業務に本格的に切り込む企業はAtriumなど少数だとのこと。しかし、JPモルガンが弁護士や融資担当者が毎年36万時間も費やしていた契約書チェックをわずか数秒で完了させる「COIN」というプログラムを開発するなど、機械学習を利用した技術は、知識労働者の仕事をも陳腐化させつつあります。人工知能技術の発展のペース次第で、法律業務がシリコンバレーの「草刈り場」となる未来は意外と早く訪れるかもしれません。

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