あなたと友人は遺伝子的に似ている、なぜか?


誰にでも気の置けない友人がいるものですが、仲良くなるきっかけはさまざまです。しかし、人間は無意識のうちに「自分と遺伝的に似た人」を友人に選ぶことで、生き残ってきた可能性が指摘されています。

[1308.5257] Friendship and Natural Selection
https://arxiv.org/abs/1308.5257

Friends Are Genetically Similar | Accumulating Glitches | Learn Science at Scitable
https://www.nature.com/scitable/blog/accumulating-glitches/friends_are_genetically_similar

カリフォルニア大学のジェームズ・ファウラー博士とエール大学のニコラス・クリスタキス博士の研究チームは、長期的な心血管病の研究データから「ある人とその友人との間には遺伝的な共通性がある」という事実を発見しました。類似性の程度はわずかに1%ですが、これは同じ高祖父(祖父の祖父)をもつ親族と同じくらいの類似性で、他人の中から遺伝的に似ている人を友人として無意識のうちに選択していることがわかっています。

ファウラー博士たちが用いたのは「Framingham Heart Study(フラミンガム心臓研究)」と呼ばれる研究データ。Framingham Heart Studyは、心臓病の危険因子を突き止めるためにフラミンガム研究所による1948年から続く長期的な調査で、フラミンガムという小さな町の住民を対象にした大規模な調査です。フラミンガムが選ばれたのは、人の往来が少なく危険因子の発見に適しているからだとのこと。大規模な調査であるフラミンガム心臓研究は、社会的な関係と遺伝子データを兼ね備える、意味のある規模としては世界で唯一の研究であることから、友人と遺伝子の関係を調べるために研究チームは用いたそうです。


「友人とは共通のゲノムを持ちやすい」という傾向がわかると、次に研究者たちはどのような遺伝子が共通するのかという遺伝子の類型を調べました。すると、非常に興味深いことに嗅覚に関係する遺伝子で共通性が見られたそうです。

他の研究でも、潜在的な仲間の免疫反応を評価するのに臭いを用いていることが指摘されていますが、フラミンガム心臓研究から見いだした「友人と間にある嗅覚に関する遺伝情報の共通性」は、人間が潜在的な仲間を見分けるのに臭いを使っている可能性が考えられます。


人間が進化してきた背景には、物理的・生態学的な要因だけでなく社会環境も大きな要因としてあります。親族だけでなく、遺伝的に近い他人と協力する能力は、社会性のある動物である人間に利益をもたらしてきた可能性がありそうです。クリスタキス博士は、「私たちの持つ適応力は、自分自身の遺伝的構成だけでなく、友人の遺伝的構成にも依存しているように見えます」と述べ、人間が遺伝的に類似した「友人」を探す方向で進化してきた可能性を指摘しています。

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