「女性は男性よりも感情を表に出す」という特徴は本当なのか?

By Luciane Lazzaris

日本に限らず、世界の多くの国では「男性よりも女性のほうが感情を表情などによく表す」と言われているといいます。ヘタをすれば安易なステレオタイプに陥ってしまいそうなこの捉え方ですが、広範囲に行われた調査からは、なかなか興味深い結果が明らかになったようです。

A large-scale analysis of sex differences in facial expressions
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0173942

Are Women More Emotionally Expressive Than Men? - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/are-women-more-emotionally-expressive-than-men/

Microsoft研究所のDaniel McDuff研究員らの研究結果によると、女性は男性よりも感情の表現が豊かであるという結果と、そうではないという逆の両方の結果が浮き彫りになってきたとのこと。女性は男性よりも多くほほ笑み顔の表情を強調するということが過去の研究ですでに明らかになっていたのですが、McDuff氏らによる研究からは、スマイルに代表されるポジティブな感情の表現は全体像の一部だけを切り取ったものであることがわかっています。感情はポジティブな時と同じようにネガティブ状態の時も存在し、その間には恐怖や嫌悪感、怒り、喜び、満足、感謝といったさまざまな状態の感情が存在します。

顔の表情における感情表現の男女の違いを調査すべく、研究チームは感情の刺激に対して顔の表情の変化を評価する独自の評価軸を構築しています。検証では、世界5カ国から2000人以上の被験者を集め、一般に売られているさまざまな商品の広告映像を見せて、その反応をPCのウェブカメラで撮影・録画して調査。そして、撮影が行われた被験者のうち、自分の反応が記録されていることに異論がない人のデータだけを用いて分析が行われています。

By Carl Johan Crafoord

分析にあたっては、チームは映像を自動で解析するコーディングシステムを用い、広告を見た際の男女の表情の変化をデータ化しています。このコーディングシステムは、たとえば笑顔などの表情の変化と、眉の内側及び外側の動き、眉間の状態、口角の状態など、顔の特定の筋肉の動きとを関連づけて記録できるようになっているとのこと。また、それぞれの表情の変化頻度に加えて、その状態が持続された時間の長さも要素の一つとして記録されています。

その結果からは、従来言われてきた「女性のほうが表情が豊か」という内容を裏付けるデータが取れたとのこと。女性は男性よりも笑顔になる回数が多く、その状態も男性よりも長く続いていたとのこと。眉の内側を上に持ち上げる回数も男性より多かったのですが、1回あたりの持続時間は男女間で差異は見られなかったとのこと。これらのデータからは、「女性は男性よりもよく表情にあらわす」という過去の常識が裏付けられたほか、この傾向はポジティブ面だけでなくネガティブ面にもあてはまることが浮き彫りになっています。

一方、研究チームによるデータからは、男女における表現のニュアンス面での違いが明らかになってきているとのこと。女性は男性に比べると感情の表現性は高くないとのことなのですが、これは男性は怒りに対する表現を女性よりも強く表すことが理由となっています。男性は女性に比べて眉間にしわを寄せることが多く、その状態も女性よりも長く続くことが明らかになっています。さらに、口角が下がる状態になる時間も、女性に比べて明らかに長いことも判明しています。

By Nick Gray

このように、女性は幸福面をより多く表現し、男性は怒りを多く表情に出すという行動は、その人が属する文化において男と女にとってふさわしいと考えられる価値観が表れているものと捉えられています。とはいえ、今回の実験に参加した人の国籍はアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、中国の5カ国だったのですが、「ドイツ、イギリス、アメリカの女性は比較的多く笑顔を示したが、フランスと中国はそれほどでもなかった」という細かな差異はあるものの、総じてどの国でも男女間における違いがほぼ共通したものだったことも、興味深い結果として表れているとのこと。

今回の研究では、過去の調査よりも広範囲で、より自然な状態に即した人々の反応が調査されており、科学的価値の高いデータが取得されているとのこと。しかしそれでもなお、「女性が男性よりも喜びを強く表現するのは、喜びの感情が男性に比べて強いからではないのか?」といった疑問が残されています。今回の調査においては、参加者の表情の変化が記録されていましたが、実際に本人がどのような感情を抱いたのかという観点のデータは採取されていません。そのため、今後の調査ではその点を加味したデータを得ることで、男女間における感情表現の違いの謎は明らかにされていくものとみられています。

By Eileen McFall

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