牛を飼わずにミルクを生み出すという農家の試み

by Bertalan Szürös

スウェーデンで農家として働くAdam Arnesson氏は、2016年まで家畜用飼料としての穀物を作っていたのですが、人が消費するミルクを作るためのオーツ麦を育てるようになりました。今農家がどのような転換点を迎えているのか、オーツ麦からミルクを作ることで「地球を救える」とはどういうことなのか、イギリスのニュースサイトThe Guardianが取材しています。

'Wow, no cow': the Swedish farmer using oats to make milk | Guardian Sustainable Business | The Guardian
https://www.theguardian.com/sustainable-business/2017/aug/26/wow-no-cow-swedish-farmer-oats-milk-oatly

家畜を育てて肉を消費することは、グリーンハウスガスの排出原因の14.5%を占めており、森林伐採とともに、メタンや一酸化窒素を排出する人為的な理由の1つとなっています。肉の消費量が上がるにつれ、家畜のエサとなる穀物の需要も増えるため、2050年には人間が食べるための穀物よりも家畜を飼育するための穀物の製造量の方が多くなると見られているとのこと。これは、人が入手可能な食料に大きな変化をもたらすと見られています。

家畜を育て、肉を食べることが地球にどのような影響を与えているのかは、以下の記事を読むとよくわかります。

世界中の人間が菜食主義者・ベジタリアンになると何が起きるのか? - GIGAZINE


この問題を解決しとようとしているのが「Oatly」というスウェーデンの企業。Oatlyは「牛を捨て、オーツ麦製のミルクを飲み、地球を救おう」といったことをマーケティングのメッセージとして掲げており、CEOのToni Petersson氏が麦畑の中で「Wow, no cow(何てことだ、牛がいない)」と歌うコマーシャルも公開しています。

Toni TV - Wow No Cow - YouTube


Oatlyと協力して事業を行っているのがミルク農家のAdam Arnesson氏。しかし、ミルク農家といっても、Arnesson氏は家畜としての牛を所有していません。2016年まで、Arnesson氏は豚・羊・牛といった家畜のエサとして出荷するためのオーツ麦を育てていましたが、Oatlyのサポートを受けるようになってからは、オーツ麦から代替ミルクを作るようになったとのこと。

Arnesson氏とパートナーシップを結んでいる両親は牧畜によって収益を得ており、2017年現在Arnesson氏が所有する畑から得られる多くの収益は牧畜によってもたらされています。しかし、農家にとって「収益を上げるために家畜の数を増やす」というアイデアは自然なことではあるものの、Arnesson氏は工場のような形で家畜を管理することを望んでおらず、牧畜によって収益を上げるという形を変えたかったそうです。そこで、家畜に与えられるオーツ麦ではなく、人間が消費するためのオーツ麦を育てるという目的のもと、Oatlyと協力関係を結びました。


スウェーデン国立食品局も、乳製品の過剰消費は、牛から排出されるメタンガスを増やし、地球環境に影響を与えるということを警告しています。しかし、Arnesson氏によると、スウェーデンの農家の多くが「Oatlyは乳製品を製造する農家を悪者にしている」と考えているとのこと。2015年、牧畜から転向したいと考えたときにOatlyに連絡を取ったArnesson氏は「ソーシャルメディア上で多くの農家と議論しました。私はOatlyがやっていることによってよりよい機会を得たと考えているのですが」と語っています。

Oatlyのコミュニケーション部代表のCecilia Sjoholm氏は「非常に多くの農家の方々が私たちに悪いイメージを持っており、憎んでいる人々さえいます。しかし、私たちは農家たちを支持する立場にあります。我々は触媒として、地球保護のために牧畜から離れようとしている農家たちを手助けすることができるのです」と語っています。

一方で、Arnesson氏の近隣の農家たちはOatlyとの協力関係について好意的な目を向けており、「乳製品を作る農家が私のお店にやってきてオーツ麦のミルクを好んでくれたのは驚きでした。その中の1人は『牛のミルクもオーツ麦のミルクも好きだよ。オーツ麦を摂取するのはスウェーデン人らしいことだ』と語ってくれました。Facebook上で見る怒りよりも、実際の怒りは大きくないみたいです」ともArnesson氏は語っています。


一方で、Arnesson氏がオーツ麦農家として成功できたのはOatlyのサポートがあったからこそだというのは、Arnesson氏も認めるところ。しかし、Oatlyの成長はめざましく、2020年にはより多くの需要が生まれているという可能性も考えられます。

Oatlyは、今後、Arnesson氏のように牧畜から穀物作りに転向したがっている3人の農家と協力関係を結ぶ予定であるといいます。しかし、Arnesson氏によると「オーツ麦農家への転向は誰にでもできることではなく、大規模なビジネスで乳製品を作っている人には向きません」とのこと。一方で、農家たちは問題について語るだけでなく、別の方法で農業をすることについて話をする必要があるとも述べています。

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