ヴィクトリア朝時代の握手は現代の握手とは違うルールが存在していた

by Vincent Diamante

19世紀の人々のあいさつと言われると、片足を斜め後ろに引き、もう片足の膝を少し曲げ、頭を下げるというお辞儀の一種「カーテシー」を思い浮かべる人もいるはず。しかし、ヴィクトリア朝時代においても「握手」はあいさつの方法として認められていました。しかし当時の握手は、現在の握手とはまた違った規則が存在したとのこと。

The Etiquette of the Victorian Handshake: Advice on Opposite Sex Greetings | Author Mimi Matthews
https://www.mimimatthews.com/2017/09/05/the-etiquette-of-the-victorian-handshake-advice-on-opposite-sex-greetings/

ヴィクトリア朝時代における握手のルールとして、現在と最も異なるのは男女間で行われる握手の方法。1877年に出版された「The Ladies’ and Gentlemen’s Etiquette(男女におけるエチケット)」によると、当時、男女間で握手が交わされる場合が女性から手を差し出さなければならないとされていました。また1898年に出版された「Manners and Rules of Good Society(よい社会のためのマナーとルール)」という本には、「女性が握手すべきかどうかは、その女性が誰に対して紹介されたのか、誰が女性を紹介されたかに左右されます。全くの他人を軽く紹介された場合、女性は相手と握手するべきではありません」と記されています。


さらに、「紹介された男性が明らかに年上か著名な人物でない限り、女性は握手をしません。もし、目の前の男性が側にいる女性の夫や兄弟だった場合は握手に応じることは自然ですが、男性が知り合いではなかった場合はよいマナーとは言えません」と記述する本もあります。しかし、女主人はこの限りではなく、ゲストが男性であっても女性であっても、全てのゲストと握手しなければならないとされていました。

また、「誰の手を握るべきか」ということだけではなく、「どのように手を握るのか」ということも重要でした。The Ladies’ and Gentlemen’s Etiquetteの著者であるEliza Duffey氏は「フランス人は心臓に近い左手を差し出すが、差し出す手としては右手が好ましい」と記しています。また、手は胸と並行ラインというやや高い位置で差し出され、指は握られるものの、手のひらは握ったり触れたりしない方がよいとされていたそうです。しかし、実際に指だけを交わすタイプの握手が行われていたかは議論のあるところで、「しっかりと手を握るべき」と書いているマナー本も存在するとのこと。また、握手の際に視線を交わすことも重視されており、しっかりと握手を交わしながら目を見ることで、「今握手をしている相手は温かい心の持ち主だ」と伝えることができたとされています。


そして、ビクトリア朝時代の人々は熱くてじっとりした手のひらを毛嫌いしていたため、「グローブを外してから握手すること」というルールが存在していたものの、「ただし手のひらがじっとりしている場合はそのままでよし」という例外も存在しました。

一方で、強すぎる力で手を握ったり、手を振るアクションが強すぎたりすると、「思いやりがない」と捉えられることも。かといって力が弱すぎたり、動作がもたついたり、相手の目ではなく肩の後方に向けられたりしていると、「信頼できない」と見なされたりするので、握手1つといっても、かなり細かな気遣いが必要だったようです。

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