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テスラ・モデルSの寿命を決め得る「バッテリー」の劣化具合はどれくらいなのか?


電気自動車(EV)の重要なパーツであるバッテリーはリチウムイオンバッテリーを用いるものが主流になっています。しかし、リチウムイオンバッテリーなどのバッテリーは使ううちに劣化することが避けられず、EVの航続距離に直接影響を与えるため、EVの寿命を考える上で重要な要素の一つです。テスラのモデルSのバッテリー寿命がどれくらい持つのかが、EUや北米のユーザーの生のデータを基にグラフ化されています。

Tesla Model S battery degradation data | Steinbuch
https://steinbuch.wordpress.com/2015/01/24/tesla-model-s-battery-degradation-data/

テスラはモデルSのバッテリーについて、距離無制限で8年間の故障に対して製品保証をつけています。しかし、保障されているのはバッテリーの不良に対するサポートであり、バッテリーセル自体の劣化に関してはサポート対象外とされています。


モデルSだけでなく、ほとんどのEVで用いられているのはリチウムイオンバッテリーであり、スマートフォンやノートPCなどでなじみ深い電池です。リチウムイオンバッテリーは、使用しているうちに「バッテリーの持ち」が悪くなる「劣化」が起こることが一般的であることから、多くのEV所有者にとって、バッテリーのへたり・経年劣化は、製品寿命に大きな影響を与える重要な要素と言えます。

オランダのテスラ車オーナーによるファンクラブ「Tesla Motors Club」のフォーラムに挙げられたバッテリー残量に関するデータを基に、縦軸にバッテリーの劣化具合、横軸に走行距離をとったグラフが作成されています。このグラフの目的は、モデルSのバッテリーに関するデータを蓄積させて、バッテリー寿命を予測することにあります。

赤線は、各点を参考にした近似曲線。バッテリーの劣化は走行距離が伸びるに従って緩やかになっています。注意すべき点は、縦軸が85%から始まっているところ。


0から始めると、たとえ25万キロメートル走行した場合でも90%以上のバッテリー残量を維持しているのがよくわかります。走行距離に対するバッテリーの劣化は、予想よりもはるかに少ない模様。


走行距離が24万キロメートルでの残容量の平均値は92%だったとのこと。近似曲線は、6万キロ以降はほぼ直線的な劣化具合を描き、その割合は5万キロメートルごとに1%の減少です。この劣化具合が続くと仮定すると、バッテリーのへたりが気になるであろう容量が80%に減少するまでに必要なのは84万キロメートルということになります。一般的なガソリンエンジン車のICE Carの寿命は23万キロメートルであることを思えば、テスラのモデルSのバッテリーの耐久性の高さはガソリンエンジンカーの比ではない、というとらえ方もできそうです。

モデルSにはグレード別にバッテリー容量が異なるモデルがありますが、いずれのバッテリーも劣化具合のペースは走行距離に対してなだらかな劣化具合であり、目に見えて劣化するという事態は起こらなさそうです。


以下のグラフは、Teslanomicsが作成した、EU、カナダ、イギリス、アメリカのテスラ車オーナーからのバッテリー寿命をデータ化したもので、右にあるメニューから走行距離や充電回数、使用地域などを変更することができます。グラフからは、使用場所にほとんど依存せず、20万キロメートルを超えてもなお残容量が80%以上を維持していることが確認できます。


世界初の量産型EVの日産・リーフは、バッテリーの劣化ペースの速さやバッテリー保障サービスの不十分さなどが話題になっています。

電池寿命に不安。電気自動車の中古価格が暴落中!(国沢光宏) - 個人 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kunisawamitsuhiro/20170707-00073002/

エンジンで駆動する従来型の自動車とはまったく異なるメカニズムで動くEVは量産化がはじまったばかりであり、寿命が予測通りになるのかどうかは、今後のデータの蓄積を待つ必要があり時間がかかりそうです。

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in ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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