「私たちは埋葬の方法を新しいものに変えるべきではないか?」という指摘

by Louish Pixel

アメリカでは防腐処理をした遺体を埋める土葬による埋葬方法が一般的ですが、このアメリカ式の土葬は土地と資源を無駄にし、環境にも優しくない、ということが近年指摘されています。「液体窒素で冷却した遺体を振動で粒子状にする」「アルカリ加水分解で骨だけにする」など、最新の遺体処理法を含め、これからの埋葬方法がムービーで模索されています。

We need to change how we bury the dead - YouTube


アメリカで行われるお葬式と聞いて思い浮かぶのは、墓地、棺桶、たくさんのフラワーアレンジメントなど。しかし、この方法は「死体を廃棄する最悪の方法ではないか?」とムービーでは問いかけられています。


ジャーナリストのマーク・ハリス氏によると、棺桶を使った埋葬法はアメリカの埋葬方法として一般的で、防腐処理された遺体が金属製の棺桶に入れられた状態で墓地に埋められます。


アメリカの葬儀費用は平均して1万ドルから1万2000ドル(約108万~130万円)で、より凝った葬儀をするとなると、さらに費用がかさみます。


例えば、ロックバンド「KISS」仕様の棺桶は、棺桶だけで7000ドル(約76万円)。しかも、棺桶の下に置かれているギターアンプのキャビネットが含まれているかどうかは不明。


また、葬儀ビジネスは非常に繊細な状態にある家族に、実際には不要なアイテムやサービスを売りつけていくという、略奪的なビジネスであるとも言われています。


実際より高い値段で棺桶を売ったとして、訴訟が起こることも。


また、このようなアメリカの葬儀スタイルは無駄も多いとのこと。地下埋葬所を作るために毎年大量のコンクリートを使用しており、その量はアメリカを横断する2レーンの高速道路の半分にあたるとのこと。


そして、棺桶の製造には毎年ゴールデンゲートブリッジを再建できるほどの金属が使われています。


加えて、約4万平方メートルの墓地に含まれる棺の木材は家を40軒建てられる量です。


約4万平方メートルの墓地に埋まる死体の防腐処理には、家の裏庭のプールを満たせるくらいの量のホルマリンが含まれているとのこと。


ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液で、生物の組織標本作製のための固定や防腐処理に使用されますが、人体には有害で、毒劇法で医薬用外劇物に指定されています。


過去の研究では、遺体の防腐処理を行う人は脳・結腸・前立腺のがんや白血病にかかる確率が高いことが発表されています。


遺体の防腐処理は、1体につき平均して約1.4kgのホルマリンを使用します。この時、大量の使用済みホルマリンが血液や排泄物、体に含まれる未知の病原とともに下水システムに流される、とのこと。


ではアメリカ式の埋葬から離れるとして、他にどのような選択肢があるのか、と考えた時にまず挙げられているのが日本の99.9%、スイスの85%、イギリスの75%で行われている「火葬」


アメリカでは2015年に初めて火葬の数が土葬を上回りました。このまま火葬を行う人が増加すれば2030年には70%近くの人が火葬を行うものと見られています。


火葬が行われるようになった大きな理由が費用。土葬を行うと平均しても100万円以上のコストがかかりますが、火葬なら1400ドル(約15万円)ほどで済みます。また、遺体を埋めるためのスペースやホルマリンの量が少ないのもメリットとして挙げられています。


なお、灰は海や山にまく、という方法のほか、花火に入れてまくという方法もあるそうです。


一方で、遺体を火葬するには982度にまで温度を上げた状態で2時間も焼き続ける必要があります。この時、天然ガスを使用し、大気に水銀といった汚染物質を放出するということが「環境に悪い」要素として知られています。つまり、火葬はベターな方法であってもパーフェクトとは言えないわけです。


そこで環境を汚染しない方法として、スウェーデンの科学者らによって考案・開発されたのが「promession(冷凍葬)」。


これは液体窒素で遺体を凍らせて……


振動を与えることで、わずか数分のうちに人体を小さな粒子に変えてしまうという方法。


この粒子はフリーズドライ処理をされたあと、歯の詰め物といった金属が取り除かれます。


すると最後には火葬を行った時に生じる灰のような物体が残るそうです。


しかし、この方法を人体に対して用いることは、2017年時点で認められていません。


もう1つの新しい遺体処理方法として挙げられるのが、アルカリ加水分解を行う方法。


これは遺体が入った容器を水とアルカリ液で満たし、圧力をかけて160度ほどにまで温めるというもの。


この処理の中で、人体は自然に分解されるのと同じような感じで分解されていきます。


12時間後に装置から出された時には、骨だけが残る状態になっているとのこと。この方法は有害物質の排出量がゼロであり、カーボンフットプリントも火葬の10分の1となります。


また、棺桶などを用いず、防腐処理のされてない遺体を直接地面に埋めるという方法もアメリカでは増えています。この方法だと自然と体が分解されていき、環境にも優しく、かつ低コストで済みます。


どういう方法が取られるにしろ、遺体の埋葬方法を変えるべき時にきているというのは事実。アメリカでは今後25年以内に7600万人もの人々が平均寿命である78歳を迎えます。これらの人々が死んだ時に典型的な土葬が行われると、ラスベガスの大きさに相当する墓地が必要になります。私たちはいずれ死にますが、死んだ時にどう扱われるか?ということも、生きているうちに決めておく必要があるわけです。

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