イーロン・マスクの「AI脅威論」はマーケティング戦略だという指摘

By Steve Jurvetson

テスラやSpaceXを率いるイーロン・マスクCEOは、「人工知能(AI)が将来、人類に深刻な影響を与えかねないため規制が必要だ」という、いわゆる「AI脅威論」を採ることで知られています。しかし、マスクCEOによるAI脅威論は、単なるマーケティング戦略であり、真に受けるのは賢明でないという指摘がなされています。

Elon Musk and Mark Zuckerberg's thoughts on AI are sensationalizing automation instead of solving it — Quartz
https://qz.com/1061404/we-need-to-shift-the-conversation-around-ai-before-elon-musk-dooms-us-all/

AIの扱いを巡っては、テスラのマスクCEOと、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグCEOとの間で繰り広げられた「バトル」が話題になりました。

「AI脅威説は無責任」というマーク・ザッカーバーグに対してイーロン・マスクが反論するバトル - GIGAZINE


しかし、ハイテク業界の有名人である両者の意見交換は、センセーショナルなものとしてこぞってメディアに取り上げられましたが、両者の考えはいずれもAIの正しい全体像をとらえるにはほど遠く、いずれの意見にも与することなくAI技術を考えるべきだと起業家のチャド・スティーグバーグ氏は苦言を呈しています。

スティーグバーグ氏によると、マスク氏が喧伝するようなAI脅威論はAIのもつパワーや潜在的な危険性に関する本質的な対話を促進するものではなく、自分や自身の会社に利益をもたらすためのいわば「マーケティング戦略」にすぎないと批判的です。「AIを規制すべき」というマスクCEOは、AIがもたらす技術革新に最も期待を寄せる一人であることは、SpaceXやテスラで積極的にAI技術を開発していることからもよくわかり、「AIを規制すべき」とする意見は、他のライバル企業の技術開発を邪魔して競争で優位に立とうとする行為に過ぎないとのこと。


AI技術は複雑で技術的な理解が困難であることから、AI脅威論のようなメッセージのおかげでAIを正しく議論することが難しくなってしまうと考えるスティーグバーグ氏は、漠然とした仮定で議論するのではなく、現実に実現しているもしくは実現しようとしているAIを利用したアプリケーションやサービスに則して議論すべきと考えています。AIがどのようなことをしているのかという現実的な技術について理解することが、世界を破壊するのではなく、世界を改革していくためにAIを開発する最初のステップだとのこと。

スティーグバーグ氏によれば、AI技術の真の革新者とはマスク氏やザッカーバーグ氏ではなく、AIによってジカ熱の流行を回避するための予測モデルを作ったり、人身売買の犠牲者を減らそうと顔認識技術を開発したり、データ分析で癌をより正確に識別して人類の癌戦争に向き合ったりする技術者だとのこと。「AIは私たちの未来を変えます。しかし、正しい教育や協調的な議論の場を提供することなく、『世界を破滅に追い込む恐怖』ばかりを訴えるのは不公平です」とスティーグバーグ氏は述べています。

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