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北半球と南半球で渦が逆回りになるのはなぜかを実際に同条件で実験した映像を同期再生


「トイレを流したときの渦が北半球と南半球で逆になるというのは本当なのか?」という、気になるけれど両方を同時に試すことが容易ではない話を実際に試した2人のYouTuberが、トイレにとどまらない大型実験でその謎に迫っています。

The Truth About Toilet Swirl - Smarter Every Day & Veritasium — Smarter Every Day
http://www.smartereveryday.com/toiletswirl/

企画はYouTubeの人気チャンネル「SmarterEveryDay」のデスティン・サンドリン氏と「Veritasium」のデレク・ミュラー氏によって行われました。3年がかりのコラボで、2つの映像に挿入されているカウントダウンタイマーを利用して同期再生すると、北半球と南半球でリンクした内容が見られるという企画なのですが、なかなか2つを並べて同時に再生するのは難しいということで、有志により2つの映像を同期させて横に並べた映像も公開されています。

まずコレがサンドリン氏による北半球の調査映像。

The Truth About Toilet Swirl - Northern Hemisphere - YouTube


こっちがミュラー氏による南半球の調査映像。

The Truth About Toilet Swirl - Southern Hemisphere - YouTube


そして連結したものがコレです。

The Truth About Toilet Swirl - Both Hemispheres! Both videos synced in one. - YouTube


左がサンドリン氏、右がミュラー氏です。


最初に、映像を別々に開いている人向けに同期タイムがあります。


画面左側、北半球のほうには地球が映し出されています。一方、右のミュラー氏はサンドリン氏とともに南緯34度のシドニーにいます。


やがて、地球が画面右側へ移動。右側のオリジナル映像を見ていると、2人が画面外に消えるとともに地球がにゅっと出てくるような演出です。


地球がなくなった左側にはサンドリン氏が登場。こちらは北緯34度、アラバマ州のハンツビルにいます。


いろいろなドキュメンタリーなどをチェックしたサンドリン氏は「渦の向きはどちらの半球にいるかで決まる」という意見、そして真っ向から対立する「水は流れたいように流れるので半球は無関係」という意見の両方が存在することを確認。ここでサンドリン氏が開いているYouTube映像をミュラー氏も見ているという、両方並べると面白い演出がこのあとも多々登場します。


まずは何よりも「自分の目で確かめること」。実際に2人はトイレやシンクで渦の回転方向を確認するのですが……


必ずしも一定方向にはならないということに、すぐに気付きます。ミュラー氏の手元で、並んだシンクの渦がそれぞれ時計回りと反時計回りになるのはとても象徴的。


これは、トイレでもシンクでもバスタブでも、内側の水をきれいに流すためのデザインが採用されているためです。つまり、トイレの渦の回転方向は「北半球か南半球か」が決めているのではなく、それぞれのトイレがどうデザインされているのかによるわけです。

……と、これでは結論が出ないので、2人は「渦を作り出すデザインの影響を受けない」もので実験を行いました。そのために、まずは台を作成。


続いて出てきたのは半径1.52m×深さ25cmのビニールプール。ここにいったん水を満たし、そして水を抜くことでできる渦を観察するためです。


水を張るときにはホースで水を入れるので、水の流れができます。そのため、流れの影響を排除するため、水を満たしたプールは一昼夜放置。


翌日、栓を抜いて渦を作ります。なお、プールの底に直接栓をつけた場合、栓を抜くときの手の動きで微妙な流れが生じてしまい、その後の渦のでき方に影響を与えてしまうおそれがあるため、プールの底からチューブをつなぎ、その先にバルブを取り付けて水を止めていました。


水を抜きはじめましたが、波もなく穏やかで動きがまったくわからないため、水の動きがわかるように塗料を数滴垂らしました。


すると、渦が生まれていました。北半球のプールでは反時計回り、南半球のプールでは時計回りです。


なぜこのようになるのかという模式図。プールをそれぞれ北極、南極のそばに置いた場合……


地球が自転したときの、プールの内側と外側の移動距離に大きな差が出ます。


プールの水は、中心の排水口に向けて流れていきますが、そこまでに横移動が加わって、排水口からずれた位置に到着することになります。この差が渦を生むきっかけになっています。


渦ができたのを見た2人は「『コリオリの力』を確認できた!」と大喜び。シンクやバスタブで水を抜いたときの渦にもコリオリの力は影響を与えていますが、それよりもシンクやバスタブの形から受ける影響のほうが大きくて打ち消されるため、必ずしも北半球だからといって反時計回りの渦ができるわけではない事例が出てくる、というわけです。

コリオリの力によって、北半球では反時計回り、南半球では時計回りの運動をしているものの事例としては台風(ハリケーン)があります。台風の場合は「排水口に向かう水」を「低気圧に向かう風」と置き換えて考えればOK。


「北半球・南半球でどのように渦ができるか」をそれぞれ見せることは難しくありませんが、同期再生で面白おかしく見せる手法はさすが人気YouTuberといった印象を受けます。

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in サイエンス,   動画, Posted by logc_nt

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