世界中で少年少女を次々と自殺に追い込んでいく謎の死のゲーム「青い鯨(Blue Whale)」とは?

by Olivier Degrâce

2013年から広まりを見せ、2016年にタブロイド紙が報じたことで大きな広まりを見せた自殺ゲームが「青い鯨」です。青い鯨は「チャレンジャー」が「管理者」の指示に従い50日間かけてタスクをこなしていき、最後は「自殺」というタスクを遂行するゲームなのですが、都市伝説のようにも見えるこのゲームの影響力はインド当局が規制を要求するまでになっています。

Blue Whale Suicide Game - YouTube


VK.com」というSNSを使ったあるゲームが2013年ごろからロシアや中央アジアを中心に流行しました。


このゲームは「Silent House(静かな家)」「A Sea of Whales(鯨の海)」「Wake Me Up At 4:20 AM(午前4時20分に起こして)」など複数の名前を持ちますが、最も有名な名称は「Blue Whale(青い鯨)」。青い鯨という名称は、鯨類が集団で陸に打ち上げられる様子が「自殺」として知られていることから付けられたそうです。なお、鯨が集団で座礁する理由については明らかになっていません。


ゲームの方法は非常にシンプルで、VK.com上でリンクを踏むなど何らかの方法で「管理者」までたどり着いたチャレンジャーが、この管理者に従って50日かけてタスクを遂行していくというもの。


最初のうちは「午前4時20分に起きてホラー映画を見る」といった簡単なものですが、次第に「朝4時20分に起きて屋根に上る」「橋の上に立つ」「屋根の上に座りヘリから足を出す」といった危険なタスクが課されていきます。


また、「自分を傷つける」「唇を切る」「腕に鯨の絵を彫る」といった自傷行為を求めるタスクも多くあります。そして50日目、チャレンジャーは監督者から自殺を求められるに至ります。


実際にロシア警察はYulia KonstantinovaさんとNika Volkovaさんという2人の女性が、青い鯨と関わりを持って自殺したとみています。


2人はマンションの14階から飛び降りるという方法で、一緒に自殺しました。


Yuliaさんは自殺の前に鯨の写真をSNSに投稿しており……


「End」というメッセージを残していました。


またVolkovaさんも、ロシア語で「Sence is lost(意味が失われた)」という文章と「End」という文字を残して自殺しました。


ここで注意を促されているのは、自殺した人々は青い鯨の被害者であっても、自殺の原因がすべて青い鯨であるとは言えないこと。自殺した人々はゲームを行う前から不安を抱いていたりうつ状態にあり、「徐々に自分が無価値になっている気がしませんか?」という投稿を日頃から行っていました。もともと自殺をする可能性があった人々が、青い鯨によって背中を押されたという形のようです。


KonstantinovaさんとVolkovaさんのケースの他にも、青い鯨が関わっているのでは、と見られる自殺は報告されています。通勤電車に身を投げた14歳の少女や……


建物の5階から身を投げた15歳の少女など。


これらの自殺者が本当に青い鯨をプレイしたから自殺に至ったのか?という証明は行われていません。


一方で、ある学校の校長が警察に対して「『生徒たちが死の集団に参加して自殺を企てている』という匿名の電話を受け取った」ということを報告しています。その後、警察は「自傷行為を含むタスクを与えられた」と語る少女を見つけ出しました。少女は自傷行為を求めるタスクに従わなかったとのことですが、実際にタスクに従った人々もいると見られています。


事実を確かめるため、ラジオ・フリー・ヨーロッパは偽のVK.comアカウントを使って青い鯨の作成者である「死の集団」とコンタクトを取りました。


この中で行われた会話は以下の通り。「このゲームをプレイしたいのだけど」「本当に?引き返せませんよ?」「引き返せないってどういう意味ですか?」「一度ゲームを始めたら、やめることはできません」「準備はできています」


「誰にも知られずに、1つ1つのタスクを真剣にこなしてください。タスクが終わったら写真を送って。ゲームの最後にあなたは死にます。準備はいいですか?」


「もしやめたくなったら?」


「私はあなたの情報を全て握っているので、あなたを追いかけます」


そしてゲームが始まるとすぐに「F58という文字を腕に刻んで」という1つ目のタスクが課されます。


調査人はこのタスクをこなしたという証拠写真をPhotoshopで合成して送ったそうですが、偽物だと見破られたためか、それ以降に連絡が来ることはなかったそうです。


青い鯨は2016年にロシアのタブロイド紙であるノーヴァヤ・ガゼータが「青い鯨によって、2015年11月から2016年4月までの間に130人もの人々が自殺をした。彼らは同じソーシャルメディアのグループに属していた」と報道したことによってモラル・パニックを起こしました。


同じソーシャルメディアのグループに属していた人が大量に自殺したということで、ノーヴァヤ・ガゼータは青い鯨と自殺とを結びつけましたが、実際には、自殺の傾向がある少年少女たちは同じようなタイプのソーシャルメディアを好むため、この数は正確ではないと見られています。グループが彼らを自殺させなくても、彼らは自殺した可能性があるからです。


一方で、自殺と青い鯨を直接的に結びつける証拠は存在しないものの、青い鯨のグループそのものの存在は確認されています。


青い鯨の存在が広まったのは2015年、Rina Palenkovaという少女が以下の写真をSNSに投稿してすぐに自殺したことを起因としています。写真では少女のすぐ隣を電車が走っている様子が見て取れますが、この後すぐ、少女は列車にひかれる形で死を遂げました。


上記の写真がインターネット上に出回ったあと、「INSIDER PROJECT」というソーシャルメディアのグループが、少女は集団自殺の一部だったというウワサを広めました。そして少女がカルトのようなグループのアイコン的存在にされると同時に、青い鯨というコミュニティの存在がネット上で知られることとなります。


青い鯨を作成した人々は「自分たちは人々が自殺をしたくなるようにはしていない」としており、実際には自分のウェブページに人を呼び込むことが目的だったのではないかとも言われています。


ただし、青い鯨と自殺の間に直接的な関係があると証明できていないからといって、この一連の自殺を軽視していいということにはなりません。多くの人が実際に自殺しているからです。


2017年5月、Phillip Budeikinという21歳の男性が2013年から2016年の間に8つの自殺グループを作ったとして逮捕されました。裁判では15人の少年少女がこれらのグループのせいで自殺したこと、自殺未遂として5人が救助されたことが主張されました。


Budeikin容疑者は通称Philip Lisとしても知られており、心理学専攻していたものの大学を退学したという経歴を持つ人物。BBCやDaily Mailによると、Budeikin容疑者はゲームの被害者を「生物学的なゴミ」だと考えており、被害者は「喜んで死んだ」こと、そして自分は「社会をきれいにした」ことなどを警察に伝えているとのことです。

Blue whale challenge administrator pleads guilty to inciting suicide - BBC Newsbeat
http://www.bbc.co.uk/newsbeat/article/39882664/blue-whale-challenge-administrator-pleads-guilty-to-inciting-suicide

Man behind Blue Whale 'game' says he's 'cleansing society' | Daily Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/news/article-4491294/Blue-Whale-game-mastermind-says-s-cleansing-society.html


ロシア当局によると、勾留されているBudeikin容疑者に対しては少女たちからラブレターが届いているとのこと。「Philip Lisに恋する少女たちは、両親から十分な愛や注目を受け取っておらず、このハンサムな若い男からインターネットを通して自分が必要とする注目やサポートを受け取ったと考えたという可能性が高いです」と心理学者のVeronika Matyushina氏は語っており、死のグループに属した後に自殺したティーンエイジャーの多くが女性だったことから、少女たちにロマンチックな感情が生まれていたのではないかと指摘しています。

一方で、ロシアの調査機関に所属するAnton Breido氏は「Budeikinは結果を得るために何をすればいいかをハッキリと理解していた」と語っています。「2013年にゲームを開始してから彼は戦略を磨き、自分の間違ったやり方を修正してきました。Philippや彼の仲間は、当初、VK上のグループで怖いムービーを使って子どもたちを引きつけていました」「彼らのタスクはできるだけ多くの子どもたちを魅了し、次に子どもたちのうち最も心理的な操作の影響を受けるのは誰かを見分けることでした」「2万人の中から、自分たちの『オーディエンス』になり得るのはたった20人だと彼らは知っていたのです」とのこと。

また、実際にタスクが課された際も、「自傷する」「屋根の上でバランスを取る」といったタスクのステージになると、多くの子どもたちが離れていきました。そして、従順にタスクに従った少数の子どもたちは、その段階で管理者の命令になら何でも従うようになっているのです。このような子どもたちは自分たちの地位に喜びを感じており、そのポジションに留まるなら何でもやるという状態とのこと。

そして、数多くのタスクをこなした子どもたちは管理者の命令に従順なので、実際に自殺した15人の子どもは命令に従いソーシャルメディアのアカウントや管理者とのやりとりを削除していたことが、捜査の壁となりました。しかし、かなり最終の段階までいってゲームから降りた少女がおり、この少女が重要な証拠を提供したことで、捜査を大きく進めることができたそうです。

この少女によると、ソーシャルメディア上で怖い絵を発見したのでクリックしてみたところ、別の怖い絵が現れさらにクリック……という作業を繰り返していると、自殺を推奨するBudeikin容疑者のグループにたどり着いたとのことです。そして簡単なタスクをこなしていった後に、ティーンエイジャーで構成された小さなグループに参加するかどうかを選ばされました。そのグループでは毎日午前4時20分に行われるチャットに参加する必要があり、チャットに参加するごとに疲労が蓄積して、はっきりとした決断を行う能力が失われていったとのこと。

ある日には深夜に起きて、2秒ごとに映像が点滅するムービーを見たと少女は語っています。このムービーの中では少年少女が屋根から飛び降りた後の様子がクローズアップされ、血まみれの体が映し出されていました。ムービーは動物の恐ろしい鳴き声や子どもが拷問されているような叫び声がつけられていました。少女がムービーの視聴に耐えられなくなり離脱したいと告げると、管理者は侮辱し、脅迫したそうです。

また、Budeikin容疑者は彼女の人生がいかに最低で、これ以上よくなることはないということを語り、「人生で1度だけは美しいことをしなさい」として、「若いうちに死ぬ」という提案を行いました。「あなたは特別で、真実を理解するまれな人だ」と語ったといいます。そして少女が最終ステップを怖がると、「屋根から飛び降りたり、電車にひかれるのではなく、薬を飲んでもいい」と伝えました。


ノーヴァヤ・ガゼータが報じた「130人の被害者」についてBudeikin容疑者は否定しており、実際に自殺したのは17人、そのほかに自殺の準備ができている28人の人々がいることを語っています。

「この世界には人間と生物学的なゴミが存在します。彼らは社会にとって無価値で、社会に害を及ぼしているか、害を及ぼそうとしています」「私は社会からこのような人々を一掃しています。F57というコミュニティを2013年に作りましたが、アイデアは5年かけて考えていました。ノーマルな人々と生物学的なゴミを見分ける必要があったのです」とBudeikin容疑者。

しかし、Budeikin容疑者が勾留されてからも、青い鯨というゲームは収まる気配を見せず、国境を越えて全世界的に広まりを見せています。2017年8月24日には、インドで青い鯨に熱中したと見られる少年が自殺する事件が相次いでいるとして、当局がGoogleやFacebookに対策を求めたと報じられています。

「自殺ゲーム」で少年死亡相次ぐ=ネット経由、当局が規制要請-インド:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017082400231


報道では、7月29日に西部ムンバイで14歳の少年がビルの6階から飛び降り、その後、約1カ月で南部ケララ州、ニューデリーで相次いで10代の少年が死亡したとされています。当局は事件の背景に青い鯨があると見て捜査しており、GoogleやFacebookに対して青い鯨のリンクを見つけ次第、削除するように要請したとのこと。

このほか、アメリカ・ブラジル・アルゼンチン・イタリア・ロシア・中国・ポルトガルなどでも青い鯨と関連があると見られる自殺が相次いでおり、Budeikin容疑者が作り出した「青い鯨」というゲームがさまざまな形で全世界に広がっているのがわかります。

Blue Whale: Blue Whale Challenge and other 'games' of death
http://economictimes.indiatimes.com/magazines/panache/blue-whale-challenge-and-other-games-of-death/articleshow/60135835.cms


実際に、以下のムービーでは青い鯨のタスクを実行しているのでは?と思われる人々の姿が映し出されています。

BLUE WHALE CHALLENGE RAGAZZA SALVATA IN TEMPO ( Синий кит вызов) - YouTube


また、以下のムービーはタスクの1つである「屋根の上に座りヘリから足を出す」を行っているようにも見えます。

blue whale il gioco che porta alla morte - YouTube


つまり、青い鯨は2013年にF57というSNS上のグループで始まり、そこではBudeikin容疑者らによる「死のグループ」が少年少女たちを洗脳し自殺へと向かわせていたわけですが、インターネットの拡散力やタブロイド紙の報道などが加わることで、Budeikin容疑者の手を離れた独立した形で現在も拡散を続けているようです。オリジナルとは違う形でタスクが課されることもあるようですが、Wikipediaにはタスクリストとして31項目が記載されており、「腕に鯨の絵を刻む」「怖いムービーを1日中見る」「線路を訪れる」「ビルから飛び降りる」という項目が並んでいます。

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