ランボルギーニのオーラを身にまとう「アヴェンタドールS」に富士スピードウェイで全開試乗、身をもって感じとった「ランボルギーニの世界」とは?


ランボルギーニの神髄ともいえるV型12気筒エンジンを搭載するフラッグシップモデル、それが「アヴェンタドール」だ。2016年12月には、エンジン出力を40hp(馬力)アップさせて740hpとし、サスペンションの改良や同社初となる四輪操舵を採用したステアリング制御を搭載するなど、各部を大幅にレベルアップさせた次世代モデル「アヴェンタドールS」が登場している。今回は、ニュル最速のウラカン ペルフォルマンテと同日に富士スピードウェイで試乗することができたので、その実力の一端をレポートする。

ランボルギーニ Aventador S Coupé - スペック、写真、ビデオ
https://www.lamborghini.com/jp-en/モデル/aventador/aventador-s-coupe

赤いウラカン ペルフォルマンテの手前が、アヴェンタドールS。ランボルギーニ史上最速と言われる特別モデル「アヴェンタドールSV」に次ぐ性能を持つモデルで、740hpを生みだす6.5リッターV型12気筒エンジンをミッドシップに搭載している。


ランボルギーニのトップモデルの伝統を踏襲し、ドアは上に跳ね上がる「シザーズドア」を採用。これぞランボルギーニ、といった雰囲気をこれでもかと醸し出すのに一役買っている。


左右のドアとエンジンフードを開けてみた。


ドライバーと同乗者が車両の中心に座り、かつ完全に前後のタイヤの内側に収まっていることがよくわかる。


エンジンルームでは、大きなX状の補強バーの下に、V12ユニットの一部が顔を覗かせている。手前には2本のショックアブソーバーが横向きに配置されており、左右のタイヤからの入力を金属製のプッシュロッドを介して受け止める構造になっている。その仕組みは、まさにレーシングカーそのものといったところ。


ドア後方には、ラジエーターへとつながる巨大な開口部が設けられている。これもランボルギーニのデザインアイコンの一部だ。


車内をのぞいてみる。


この車両は、内装全面にレザーを用いるパッケージが施されていた。


センターコンソールには、上からインフォメーションディスプレイ、その下にドアガラス昇降やハザードランプなどのスイッチがあり、空調コントロール、走行モード切り替えスイッチ、エンジンスタートボタン、インフォテインメント操作ダイヤルなどがレイアウトされている。いずれも、ドライバーが手を伸ばせばすぐ届く場所に配置されている。


走行モードは、もっともベーシックな「ストラーダ」、スポーツ走行向けの「スポルト」、速さを追求する「コルサ」の3つに加え、アヴェンタドールSでは自分の好みを自由に反映できる「エゴ」モードが追加され、4つのモード構成となっている。


ディスプレイは液晶タイプのマルチインフォメーションディスプレイへと変更されている。「ストラーダ」モードでは、画面中央にタコメーターを表示し、その右下にスピードを数字で表示している。


「スポルト」モードに変えても大きな変化はないが、ギア数表示の色が黄色になってより視認しやすくなっているようだ。


「コルサ」モードでは、エンジン回転数と選択しているギアをより視認しやすいレイアウトに変化している。これに加え、車体の前後左右にかかるGの強さも表示されるようだ。


ハンドルの奥には、変速用のパドルが配置されている。パドルはハンドルの回転と連動しない固定タイプだ。そのさらに奥にはウインカーやワイパーを操作するレバーがあるが、パドルの操作に干渉しないよう、通常よりも少し低くなっていることがわかる。


ペダルはアクセルとブレーキだけの2ペダル構成で、左足を置くためのフットレストが装備される。アクセルはオルガンペダル式、ブレーキは吊り下げ式となっていた。


前輪にはタイヤサイズ255/30の20インチのピレリPゼロを履く。ホイールの中に見える巨大なブレーキローターは、口径400mmのカーボンセラミック製ディスクを採用して耐フェード性を高め、対向6ポッドのブレーキキャリパーで強力なストッピングパワーを発生させる。


後輪には、タイヤサイズ355/25で21インチのピレリPゼロを履く。口径380mmのカーボンセラミック製ローターを採用し対向4ポッドキャリパーがあてがわれている。


空力性能が高められているのもアヴェンタドールSの特徴だ。というより、むしろ近年のスーパースポーツは高度な空力テクノロジー抜きでは成り立たない次元に突入しているので、空力性能アップは当然といえる。アヴェンタドールSでは、よりシャープで攻撃的なノーズ形状に変更され、フロントスプリッターによって分割された空気をラジエーターに当てることで冷却効率を高めつつ、フロントタイヤへの空力干渉を抑えながら、ボディサイドに空気を流してリアラジエーターへと導く設計が取り入れられている。


リアのバンパー下には垂直のフィンを持つ巨大なディフューザーが追加されており、車体下部を流れる空気によるダウンフォースを生みだす。同時に、上部に装着された可動式のアクティブリアウイングが、車速やドライブモードに応じて3つのポジションに変化し、最適な空力特性を得られるようになっている。ディフューザーの中央からは、3本のエグゾーストパイプが顔を覗かせている。


アヴェンタドールには三角形や六角形のモチーフがあちこちに取り入れられており、その様子はステルス戦闘機のようにも見える。リアのエンジンフードもそのテイストが用いられており、3枚の透明パネルを通じて外からでもエンジンが見えるようになっている。


アヴェンタドールを富士スピードウェイで走らせてみた。先導車のペースにあわせた走行のため、ところどころでペースダウンしているが、幅2メートルを超える巨体でありながらアヴェンタドールSはとてつもないペースでストレートやコーナーを駆け抜けていく。また、V12気筒エンジンが奏でる澄んだ「V12サウンド」は、クルマ好きの心をわしづかみにしてくるものだ。

ランボルギーニ最高峰のV12エンジン搭載「アヴェンタドールS」に富士スピードウェイで試乗 - YouTube


740馬力を発生するアヴェンタドールSは車重1.5トン、車幅2メートル超というモンスターマシンだが、走行中はその大きさや質量を感じることはほとんどなかった。最終コーナーから約1.4kmのストレートを全開で加速すると、背後のV12ユニットが「クォォォ」という軽やかなエンジン音を放ちながらとてつもない加速Gで車体のスピードを上げていく。アヴェンタドールでは変速機構にロボット制御型のISR(インディペンデント・シフティング・ロッド)を採用している。これは軽量かつコンパクトなギアボックスを実現するためのものであるが、クラッチが近年の主流となりつつあるデュアルクラッチではなく、シングルクラッチとなっている。そのため、特に全開加速を行う際にはシフト時に加速力が途切れてしまう場面もあった。

しかし、快音をとどろかせながら全開加速する、この場面がアヴェンタドールSの真骨頂といえるのだろう。先に試乗したウラカン ペルフォルマンテのV10ユニットのエンジン音が「ガァァァ」というガ行だとしたら、アヴェンタドールSのそれは「クォォォ」という濁音の取れたカ行である。この濁音の有無は実に大きい。より澄んだ、ピュアなエンジン音に関しては、やはりV12ユニットに勝るものはないのだろう、そんなことを感じながらストレートを駆け抜けた。


有り余るほどのパワーに加え、アヴェンタドールSのブレーキ性能も素晴らしいものだった。ストレートエンドで時速約290kmに達した1.5トンの車体を150メートルほどの制動距離で一気に減速してしまえるストッピングパワーは一級品である。ハードブレーキングを行うと、たまらずお尻が左右にムズムズと揺れを見せるが、タイヤ幅335mmという超ワイドなピレリPゼロと、アクティブリアウィングによりダウンフォースのおかげでコントロールを失うことはなかった。ブレーキングでヌルヌルと車体が揺れ始め、「滑るぞ?滑っちゃうぞ?」と意志を示してくるリアタイアの動きを押さえつつ、コーナーに向けて減速するブレーキングは快感以外の何物でもない。そして、そんなハードなブレーキングを行っても、熱ダレでフェードする兆候すら感じさせないブレーキはさらに素晴らしい。

一方、コーナーへのターンインや、長いコーナーではクルマの大きさを少しだけ感じることもあった。車重1200kg台というウラカン ペルフォルマンテに比べて約300kgも重いアヴェンタドールSは、ごくわずかだがステアリング操作に対する反応がゆったりしている様子が感じられた。また、時速130km前後で大きく回り込むコーナーでも、やや外側へ膨らもうとする動きが感じられた。しかしこれは、ハンドリング安定性を高めるために導入された、ランボルギーニ初の四輪操舵システムの働きによるものなのかもしれない。この動きを「ゆっくり」ととるか、「安定している」ととるかは個々の主観に委ねられるだろうが、V12ユニットを積むスーパースポーツカーとしては、総合的に見てこれが正解といえるのかもしれない。


ウラカン ペルフォルマンテと比較してしまうと、絶対的な速さそのものはウラカン ペルフォルマンテが勝るのかもしれない。しかし、アヴェンタドールSには「ランボルギーニのV12マシン」という、抗しがたい魅力、あるいはオーラが漂っている。スーパーカーの歴史を常に先導してきたランボルギーニの最高峰モデルとしての位置づけや価値、そして実際に走らせてみると非常に高い走行性能を備える、それこそがランボルギーニのフラッグシップモデルたるアヴェンタドールに与えられた使命ということなのだろう。今回は短時間ではありながら、V10スポーツのウラカン ペルフォルマンテとV12モンスターのアヴェンタドールSを乗り比べるという幸運に恵まれたわけだが、こうやって比較することで、両車の存在意義のようなものを肌で感じることができたことが、最大の発見だった。

最後に、試乗の前に行われたプレゼンテーションの中身で、本文で触れられなかった部分をお伝えしておきたい。アヴェンタドールSでは、ランボルギーニの代表作の一つ「カウンタック」のモチーフを随所に取り入れている。低く構えたウェッジシェイプや、ドア後ろのエアスクープ、リアタイヤのフェンダーアーチの特徴的な形状などがそれにあたる。


アヴェンタドールSの高い走行性能を実現するため、「4つのマスターピース」という考え方が取り入れられている。


一つめは「4ホイールステアリング」、つまり4つのタイヤを操舵することで、車体の運動性能を変化させるという手法。低速時ではステアリングの動きに合わせて後輪が前輪と逆方向(=逆相)に切れることで車体の動きを機敏にする一方、高速走行時には前輪と同じ方向にわずかに後輪をステアすることで、安定性の高い走りを実現している。


「4ホイールドライブ」は四輪駆動のこと。状況やモードに応じて前後輪へのトルク配分を変化させることで、楽しくスポーティーなドライビング体験を可能にしている。


パワーを受け止めるタイヤもより進化している。新型ピレリPゼロでは、旧型を完全に上回る性能を実現。


「4ドライビングモード」では、従来の「ストラーダ」「スポルト」「コルサ」に加え、オーナーがカスタマイズ可能な「エゴ」モードが追加されている。


そして、「4アクティブサスペンション」では、磁気によってダンパーの粘性を制御するシステムをRWS(後輪操舵)にあわせて一新している。


◆「ランボルギーニ アヴェンタドール S」主要諸元

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4797×2265×1136mm (ミラーを除く全幅 2030mm)
ホイールベース:2700mm
車両重量:1575kg(乾燥重量)
最小回転径:11.5m(直径・平均値 LRS搭載による変化あり)
ステアリングホイール(ロック・トゥ・ロック回転数):2.1~2.4 (可変)
乗車定員:2人
駆動方式:AWD(電子制御全輪駆動)
エンジン:60°V型12気筒 DOHC48バルブ
総排気量:6498cm³
トランスミッション:7速シングルクラッチAMT (乾式ダブルプレートクラッチ)
最高出力:740hp(544kW)/8400rpm
最大トルク:690Nm/5500rpm
パワーウェイトレシオ:2.13kg/HP
オイル潤滑:ドライサンプ方式
タイヤ:(前)ピレリPゼロ 255/30 ZR20/(後) 355/25 ZR21
加速 0-100km/h:2.9秒
加速 0-200km/h:8.8秒
加速 0-300km/h:24.2秒
価格:4490万4433円(税抜)

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