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複数の分野にわたる知識を持つダヴィンチのような「博学者」は現代に必要なのか?

by Evan Long

専門家とは反対に、多くの分野に通じていてさまざまな知識を有する人を博学者と呼びます。音楽・建築・数学・解剖学・天文学などあらゆる分野で顕著な業績を残したレオナルド・ダ・ヴィンチがその典型と言えますが、「専門家」であることが重視される現代において博学者は必要なのか、BBCが解説しています。

Does the world need polymaths?
http://www.bbc.com/news/magazine-40865986

ケンブリッジ大学の文学・歴史学の教授であるStefan Collini氏によると、「研究者は特定の分野に専門的であるべき」という考えは19世紀前半に大学で研究が行われるようになってからとのこと。この頃から研究者らは所属する大学や何を専攻しているかに意識を置くようになり、自身にラベルを貼るようになりました。

しかし、それまでの時代には、複数の分野において業績を残す博学者が存在しました。博学者を意味する「polymath」という言葉は、ギリシャ時代の「polus(たくさんの)」と「mathe(学習)」という言葉を語源としています。17世紀、ダヴィンチの活躍したルネッサンス時代にはpolymathという言葉が使われ、次第にpolymathと同じ意味合いの「ルネッサンス・マン」という言葉も使われるようになります。


18世紀に活躍したルネッサンス・マンにトマス・ヤングという人物が存在します。ヤングは作家のアンドリュー・ロビンソンによって「The Last Man Who Knew Everything(全てを知っていた男)」という本が記されているように、多くの分野に通じていた人物です。Wikipediaでは「物理学者」となっていますが、医学の分野では乱視や色の知覚などを研究し、光学の研究では干渉現象を再発見して光の波動説を主張。エネルギー (energy) という用語を最初に用い、その概念を導入したほか、鍵盤楽器の調律法のひとつであるヤング音律を考案しました。

このほか、作家のステファン・リーコック、生化学者のジョゼフ・ニーダム、作曲家のヒルデガルト・フォン・ビンゲン、詩人のラビンドラナート・タゴールなどが博学者として知られています。

しかし、近年は、学ぶべき知識が大量にあるため1つの分野をマスターするにも数年単位の時間が必要になり、多くの分野に大きな貢献をすることは現実的ではありません。そのため、今日の博学者は、当時の博学者と同様に好奇心が旺盛でワーカホリックな傾向はあっても、「さまざまな分野に貢献する」というよりは「知識の宝庫として人々の役に立つ」という役目になるとのこと。


また、Collini教授によると、西洋の社会にはコミュニケーション・スペシャリストとしての役目を持った博学者が存在するとのこと。さらに、さまざまな分野について広い知識を持っていることで、複数の分野にわたる情報をつなげる役目を果たす博学者も必要になっています。

現代の博学者の1人としてはジャレド・ダイアモンド氏が挙げられます。ダイアモンド氏は進化生物学者・生理学者・生物地理学者でありながら、ノンフィクション作家として活躍しており、学者としてユーラシア大陸や北アフリカの文明はどのように他の文明を征服したのかを説明する理論を説きながらも、「銃・病原菌・鉄」というベストセラーを出版しています。ダイアモンド氏は自身のことを博学者だと認識しており、博学者のことを「知りたがり」だと説明。「多くの知識を持っている人は、好奇心が強いのです。『知ること』に対する衝動があり、だからこそ知識がつきます」「私は知ることに対して異様に貪欲なのです」と語っています。

by Stewart Butterfield

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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