ニュル最速をたたき出した世界最速スーパーカー「ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ」試乗レビュー、クルマ好きを虜にする魔の魅力とは?


最高出力640馬力を誇るランボルギーニ史上最強のV10エンジンを搭載し、車体、空力、制御システムに至るまでチューニングを施したスーパーカー、それがランボルギーニ「ウラカン ペルフォルマンテ」だ。最高時速は325kmを超え、スポーツカーのベンチマークとなっているニュルブルクリンク・ノルトシュライフェ(北コース)で「6分52秒01」という脅威のタイムをたたき出すというホットカーを、日本が世界にほこる本格的国際サーキットの一つ、富士スピードウェイを舞台に試乗することができたので、その魅力をお伝えしたい。

ランボルギーニ Huracán Performante - スペック、写真、ビデオ
https://www.lamborghini.com/jp-en/モデル/huracan/huracan-performante

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテは、ベースとなる「ウラカン」のハイパフォーマンスモデルとして2017年3月のジュネーブ国際モーターショーで発表されたモデル。英語で「パフォーマンス」の意味を持つ車名のとおり、エンジンの出力アップとサスペンションチューニング、車体制御技術の向上と、アクティブエアロダイナミクスを採用することでシリーズ最強の性能を備えている。


今回は、富士スピードウェイを舞台にその性能を思う存分確かめることができた。当日は、ウラカン ペルフォルマンテ(右)に加え、V12ランボの最新型「アヴェンタドールS」(左)も用意されており、両車のパフォーマンスを一挙に比べられるというまたとない機会となった。外観的によく似た2台だが、ドア後方に空気を取り入れる開口部、エアスクープがあるのがアヴェンタドールと覚えておけばまず間違いはない。


ランボルギーニらしい、低く構えて獲物に飛びかかろうとするようなボディシェイプを持つウラカン ペルフォルマンテ。大きなリアスポイラーが追加されているのが特徴。


フロントバンパーの下部には、空力をコントロールするための電動フロントスポイラーを装備。これは、アクティブに空力をコントロールする「エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)」と呼ばれるシステムの一部を成すもので、車体の走行条件に応じて0.5秒で変化して最適な空力特性を実現する。


ドライバーが車体のほぼ中央に座るレイアウト。


ランボルギーニといえばガルウイングドア(正確には「シザーズドア」)を連想してしまうが、V10エンジンを搭載する「ベビーランボ」であるウラカンは一般的な横開きタイプを採用。内張の素材には、全面にダークカラーのアルカンターラ生地が用いられており、ボディ同色のステッチ(縫い目)が入っている。


緑のペルフォルマンテには、オプション設定されているというカーボンファイバー製のフルバケットシートが装備されていた。


シート高を限りなく低くするために、シートを横からボルトで固定する横留めタイプのシートレールが用いられている。


ノーマルのシートはこんな感じ。日本人にはやや大ぶりな気もしたが、サポート感はおおむね良好。


ドライバーの目線とほぼ同じ位置に小ぶりなステアリングが収まるレイアウト。ステアリング下部には「ストラーダ」「スポルト」「コルサ」の走行モードを切り替えるための赤いスイッチが配置されている。また、ステアリングの裏側には、ギアをシフトするためのシフトパドルが取り付けられている。


ペダルはアクセルとブレーキだけの2ペダル構成で、もちろんクラッチペダルは存在しない。アクセルペダルは床面を支点とするオルガンペダルタイプで、ブレーキペダルは上部からぶら下がる吊り下げタイプとなっている。


センターコンソール最上部には、水温や油温などの情報を表示できるディスプレイが埋め込まれている。その下にはドアのガラス開閉、ESC(横滑り防止)機能、ハザードランプなどのスイッチが並び、さらにエアコン、カーナビ、カーオーディオなどのスイッチが続く。センターコンソール中央部にある赤い部分がエンジンスタートスイッチで、赤いレバーを持ち上げてからスイッチを押すという、儀式めいた操作がドライバーの気分を高揚させる。その下にある「R」「P」「N」のボタンはシフト選択スイッチで、画面の下で赤く光っている「マニュアルモード」のスイッチを押すと、ほぼ全てのギアシフトをハンドル裏のパドルで行えるようになる。


メーターパネルは液晶ディスプレイを用いたマルチインフォメーションディスプレイになっており、走行モードに最適化された表示を行うことが可能。この画面は、最も走りに特化した「コルサ」モードの時のもので、エンジン回転数を最も視認しやすいデザインとなっている。


最もベーシックな「ストラーダ」モードの時は画面中央に円形のタコメーターが表示され、その左右に水温やガソリン残量、速度などが表示されている。


液晶ディスプレイを用いたマルチインフォメーションディスプレイには、このようにカーナビの画面を表示させることや……


「ほぼ全面カーナビ」の状態にすることも可能。


「スポルト」モードでは、メーターの一部が黄色く表示され、「ストラーダ」モードよりも走りの雰囲気を感じることができる。画面右には、車体の情報が表示されていた。


リアには巨大なスポイラーが鎮座。そして通常モデルよりも高い位置に持ち上げられた2本の太いエグゾーストパイプは、見た目にレーシーな雰囲気を演出するほか、排気効率を向上させてパワーアップに繋がっているとのこと。よく見れば、バンパー下部の黒いスポイラーもウイング形状になっている。


バンパーの一部、灰色の模様が浮き出ている黒い部分には、軽量化の要ともいえる革新素材「フォージドコンポジット」が用いられている。これは、複合素材の母材となるレジン(樹脂)に炭素の短繊維を埋め込んで成型したもので、従来のカーボンファイバー・コンポジットでは不可能とされた軽量構造の維持と複雑な幾何学形状の両方を実現することを可能としているランボルギーニ独自の素材。ウラカン ペルフォルマンテでは、このフォージドコンポジットをボディやフロントおよびリアスポイラー、エンジンボンネット、リアバンパー、エアロダイナミックディフューザーなどの構造部品に用いることで、車体総重量を40kg削減することに成功している。


ボディに埋まるようにミッドシップに配置された5.2リッターV10エンジン。ターボのような過給器を用いない自然吸気タイプでありながら、8000rpmで640hp(馬力)、6500rpmで600Nmものトルクを発生させるという、ランボルギーニ史上最強のV10エンジン。排気系にも最適化を施し、ハイパフォーマンス時にはレースカーのようなエモーショナルなエンジンサウンドを実現している。写真では確認できないが、駆動系にはデュアルクラッチを採用することで、変速時に継ぎ目の少ない加速を可能にする7速デュアルクラッチ・トランスミッション(LDF)を搭載し、4つ全てのタイヤを駆動する。


画面右側のエンジンルーム後端にエアインテークがあり、吸い込んだ空気は大きなエアクリーナーボックスを通って前方のエンジンへと吸い込まれるレイアウト。エンジン上部には、ドライバー背後の隔壁とリアサスペンションの取り付け部を結ぶように金属製の補強バーが十字に取り付けられ、車体の剛性アップが図られている。


ウラカン ペルフォルマンテを操って富士スピードウェイを全開走行してみた様子は、以下のムービーにて。心地よいサウンドとともに軽く吹け上がるV10エンジンを9000回転付近でシフトアップしているとスピードがどんどんと伸び、最終的には時速289kmをマーク。しかし、その間も車体は極めて安定しており、不安を感じることは皆無だった。むしろ、そんな場面にもかかわらずエアコンのルーバーから心地よい冷気が「さわ~」っと出てくるというところに、商品としての魅力の高さの一端を垣間見た。そして何より、ハンドルとペダルの操作を忠実に受け入れ、ドライバーの意思どおり、時にはそれを上回る挙動を見せてくれるウラカン ペルフォルマンテの魅力をこれ以上なく味わってしまった。

ニュル最速の称号を持つ「ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ」を富士スピードウェイで試乗レビュー - YouTube


実際にハンドルを握ってみると、まず感じられるのが常にビシッと安定した車体の動き。最高速付近でもハンドルが軽くなることは全くなく、まるで地面に吸い付きながら疾走しているような印象を受けたが、これは前述のALAによる空力特性のおかげといえそう。また、最高速からのフルブレーキングでも車体性能の高さを感じることができる。約1.4kmのストレートで時速289kmから「ドン!」とフルブレーキングすると、フロント245/30 R20、リア305/30 R20というピレリPゼロコルサが驚くほどの減速Gを立ち上げる。その時、車体はたまらず左右に暴れようとするが、4本のタイヤがグッと踏ん張り、全てのタイヤがスリップとグリップの境目を行ったり来たりしながらあっという間に減速してしまう様子は「すばらしい!」のひとこと。また、当日は数名のドライバーがひっきりなしにサーキットアタックを繰り返していたが、カーボンセラミック製のブレーキは過熱によるフェードを発生させる兆候すら見せなかった。


そしてもちろん、高い運動性能も文句の付けようがない。ストレートからコーナーに向けて減速し、ブレーキングによる荷重移動とステアリング操作が決まったときには、「パーン!」と弾かれるようにノーズがコーナー内側を向き、巻き込むようなヨーモーメントを発生させながらコーナーのエイペックス(クリッピングポイント)めがけてクルマが自分で動いてくれる錯覚に陥る。そしてコーナーを抜けると、ミッドシップならではの高いトラクション性能と高い空力性能、そして車体姿勢を最適に保つESCが協調して次のコーナーめがけて一気に加速してゆく……その様子は、まさにドライバーと自動車の各部のシステムがオーケストラのように一体となり、官能的なエンジン音を奏でながらコースの上を人馬一体で疾走する、と表現したくなる、いや、表現せざるを得ないものだった。

また、当日はジムカーナコースを使った試乗も行われた。1速だけで走りきれるほどの小さなコースで、640馬力のスーパーカーには狭すぎるのではと感じたが、結果的には杞憂に終わったことを記しておきたい。パイロンが立てられたコースを疾走するペルフォルマンテは最高速で70km/hぐらいは出ていたはずだが、フロントタイヤがガッチリと路面をつかみ、アンダーステアを出してしまう兆候はゼロ。アクセルコントロールだけで加減速を制御し、ヒラリヒラリとコーナーをクリアする様子は「今までのジムカーナはなんだったんだ??」といいたくなってしまうほどの衝撃に襲われた。

いま思い出しても、「スポーツカー」では味わえない、「スーパーカー」ならではの次元の高いドライビングプレジャーの世界がそこに広がっていることを、これでもかというほど体験できるドライブだった。筆者のドライビングスキルでは、「ニュル6分52秒台」の実力をフルに発揮することはもちろんできなかったが、しかし、クルマとタイヤの限界付近を探りながら、圧倒的な性能を持ち、信頼できる機械を操作して思いのままに走るという快感は、他の何物にも代えがたいものである。


このウラカン ペルフォルマンテは、郊外なら新築の家が土地付きで購入できるほどの金額だ。日本全体を見渡しても、その金額を1台のクルマにポンと支払える人はそういないだろうし、ほとんどの人はこの世界を知ることもなく、一生を過ごすだろう。しかし、今回の試乗では、確実にランボルギーニを含めた「スーパーカーの世界」がそこには存在しており、抗うことができないほどの魅惑的な世界が広がっていることに気付かされてしまった。きっとこの性能や快感を街中で開放することはできず、今回のようなサーキットに持ち込むしかその術はないのだが、そのような性能を秘めたクルマを所有し、街中を転がすというのは「究極の贅沢」といえるだろう。ひょっとしたらほとんどの人が知り得ない、別の「幸せ」がこのスーパーカーの世界にはある。「ランボルギーニのある生活を実現するために仕事を頑張る、あるいは起業でもして成功してやるか」というモチベーションが心の底から勝手に沸いてくる、そんな深層心理にさえ訴えかけてくるような魅力に触れる試乗だった。

最後に、試乗の前に行われたウラカン ペルフォルマンテについてのプレゼンテーションの中身で、本文で触れられなかった部分をお伝えしておきたい。ウラカン ペルフォルマンテは、ベースとなった「ウラカン」に新素材を投入して車体の軽量化を実現し、パワーアップされたV10エンジン、より締め上げられた足回りと、状況に応じて自動で最適化されるアクティブ・エアロダイナミクスを加えることでハイパフォーマンスを実現。


サスペンションはより高いパフォーマンスを実現するためにトラック(サーキット)志向にセッティングされ、スプリングの垂直剛性を10%、ロール剛性を15%アップ。また、アームのブッシュ類の剛性を高めることで、横Gに対する制御性も大幅に強化されている。ステアリングには、スピードに応じて反応特性を変化させるEPS(Electronic Power Steering:電動パワーステアリング)を搭載するほか、ギア比可変の「ランボルギーニ・ダイナミック・ステアリング(LDS)」がオプション設定されており、「コルサ」モードではよりダイレクトなステアリング感覚を実現している。


シャシー制御技術では、目的に応じて駆動力配分や車体姿勢制御(ESC)、ABS制御などを変化させることで技術クルマのキャラクターが変わる「A.N.I.M.A」が新しくなっており、各部においてチューニングが行われている。トラクションと安定性を実現する「ストラーダ」、後輪駆動寄りに特性を変化させ、ドライビングの楽しさを向上させる「スポーツ」、さらに走りに特化し、パフォーマンスおよびハンドリングの挙動を最優先とする「コルサ」の3つのモードも踏襲されている。


また、コーナリング時には、車体左右の空力特性を変化させることで旋回方向の力を生みだす「エアロベクタリング」技術を採用。たとえば、右コーナーの時には右側のスポイラーを動作させることでダウンフォースを生み、タイヤのグリップを上げつつ、空気抵抗を利用して車体が右向きに旋回するヨーモーメントを発生させることが可能になっている。


これらの技術により、ウラカン ペルフォルマンテは0-100km/h加速が2.9秒、最高速が325km/h以上、0-200km/h加速でも8.9秒という、とてつもないパフォーマンスを実現。これにより、ドイツ・ニュルブルクリンクで「6分52秒01」という脅威のタイムをたたき出している。


これは、ポルシェ918スパイダーやランボルギーニ アヴェンタドールSV、日産GT-R NISMOなど、名だたるハイパフォーマンスカーのタイムを上回って2016年10月時点では市販車最速のラップタイムとなっている。


このような性能、そして魅力を備えたランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ、実に罪深いクルマである。


なお、取材当日はランボルギーニのトップモデル「アヴェンタドールS」にも試乗。以下の記事では、両車を乗り比べて感じた興味深いポイントについて記してみた。

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◆「ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ」主要諸元

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4506×2236×1165mm (ミラーを除く全幅 1924mm)
ホイールベース:2620mm
車両重量:1282kg(乾燥重量)
最小回転径:11.5m(直径)
乗車定員:2人
駆動方式:AWD(電子制御全輪駆動) 自動式機械式作動固定装置(後輪)
エンジン:90°V型10気筒 DOHC40バルブ
総排気量:5204cm³ トランスミッション:7速デュアルクラッチAT
最高出力:640hp(470kW)/8000rpm
最大トルク:600Nm/6500rpm
パワーウェイトレシオ:2.15kg/HP
オイル潤滑:ドライサンプ方式
タイヤ:(前)ピレリPゼロコルサ 245/30 R20/(後) 305/30 R20
価格:3163万8800円(税抜)

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