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第三次世界大戦が起きたときに一番安全な場所が「スイス」になるのはなぜか?


様々な教育的映像コンテンツをYouTubeで公開しているRealLifeLoreが、「第三次世界大戦が起きたとして、一番安全な場所がスイスなのはなぜなのか」の理由がわかるムービーを公開しています。

Why Switzerland is the Safest Place if WW3 Ever Begins - YouTube


スイスはフランス、ドイツ、オーストリア、イタリアの4国に囲まれた、ヨーロッパの小国です。面積は4万1290平方キロメートルで、だいたい九州と同じぐらいの大きさです。


「EU加盟国一覧」という地図を作ると、ヨーロッパの中央あたりに未加盟の塊が1つできます。これがスイス。


スイスはとにかく「中立国」として有名。EUに加盟していないだけではなく、NATO(北大西洋条約機構)にも入っておらず、2002年まではUN(国際連合)にも加盟していませんでした。


「中立国」を名乗るのは伊達ではなく、ここ200年以上は単独で戦争状態に陥ったことがありません。


最後に戦争に巻き込まれたのはナポレオンの時代にまで遡ります。1815年というのは、ナポレオン戦争後のウィーン会議で、スイスが「永世中立国」として承認された年です。


なぜ、ヨーロッパの中央という位置にあり、周囲を好戦的な国に囲まれた時でも「安全な土地」でいることができたのか。


その答えは地理的要因にあります。スイスはその国土を3つに分けて考えることができます。


南部には険峻なアルプス山脈(スイスアルプス)があり、イタリアやオーストリアとの国境に大きな山が立ちはだかっています。


北西部にはアルプスほどではないものの1000m級の山々が連なるジュラ山脈があり、フランスとの国境を形成しています。


その間に挟まれているのがスイス高原


丘陵や河川があり、スイスの人口のほとんどはこの地域に居住しています。


首都のベルン、そして主要都市であるチューリッヒ、ジュネーヴはいずれもこの高原にあります。しかし、決して防衛には向いていません。


スイスは他国の侵略にかなり神経を尖らせている部分があります。


その理由の第一が、第二次世界大戦のとき、ドイツがフランスを攻撃するにあたって優位を得るため、中立国だったベルギー領内を通過したこと。


第二に、その第二次世界大戦で、スイスは完全に枢軸国に包囲されてしまい、ナチス・ドイツの侵略の脅威にさらされたこと。


結局、ナチス・ドイツによるスイス侵攻は起こりませんでしたが、冷戦期にはソビエトによる侵攻に備える必要がありました。


そのため、スイスがあらゆる侵略に備えるための計画として打ち出したのが「国家要塞(The National Redoubt)」でした。ちなみに、第二次世界大戦末期にナチス・ドイツが考えた「アルプス国家要塞」とは異なります。


これは「スイスを攻めるぐらいなら他へ行こう」と諦めさせるという考えです。


そのために徴兵制が義務づけられていて、スイスの男性は全員、170日間の基礎訓練を受けることになっています。


訓練を終えたあとも、ライフルは家に置いておくことになっていて、有事の際には72時間以内に20万人以上の予備役兵士を動員できる体制が整えられているとのこと。


また、橋や道路、トンネルなどのインフラ設備は、侵略者に活用されないように遠隔で破壊できるように作られています。その数は実に3000カ所以上。


曲がりくねった山道は、爆破によって地滑りを起こし通行不可能にするとのこと。


スイスの基本戦略は、スイス高原にある主要都市は放棄して、南部のスイスアルプスでの「籠城戦」にあります。


アルプスには2万6000カ所以上の掩体壕や要塞化された陣地が設けられていて、対戦車砲や対空砲などが備え付けられています。


ゲリラ的な戦いを想定しているので、対戦車砲はカムフラージュされた状態で設置されています。


この建物は左側が機関銃陣地、右側が対戦車砲陣地で、2つは地下でつながっています。


こうした施設がアルプス地方全体に存在している……ということは、スイスという国自体が大きなブービートラップのようなものであり、ヨーロッパ中央の「難攻不落の城」であると表現できます。これが、スイスが「永世中立国」を名乗り、実際に中立を保ってこられた理由です。


ところが、いまやスイスの周囲の国々はいずれもEU加盟国となり、スイスを侵略してくることはまずないと考えられます。


そのため、スイスでは頑なだった方針を転換し、「国家要塞」として設置した壕や陣地を博物館化したり、2020年までに動員可能兵士数を20万人から8万人に減らすことを決めています。


一方で、これまでの備えは、世界規模の核戦争が起きたときでもスイスを安全に保ってくれるものとなっています。


全人口を収容可能な核シェルターを保有している国はスイスだけ。その収容能力は、実に人口の114%に相当します。


1978年以降の建物は「12メガトン級の核爆発が700mで起きても耐えられるシェルターを作ること」と定められています。


2006年時点でのシェルターの数は、普通の家の大きさから2000人が4ヶ月以上籠もれる地下鉄のトンネルまで、860万人分にも上ります。


そのため、もし世界規模の核戦争が起きたとしたら、生き残るのはゴキブリとスイス国民なのではないか、とRealLifeLoreは語っています。

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in 動画, Posted by logc_nt

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