Instagramに投稿された写真から投稿者が「うつ病かどうか」を人間の医師を上回る70%の精度で判定するAI登場

By Naomi August

InstagramやFacebook、TwitterなどSNSにはユーザーのプライベートな写真が多数投稿されていますが、これらを分析し、投稿者が「うつ病かどうか」を70%の精度で特定することに成功する人工知能(AI)が登場しています。調査に関わった研究者によると、うつ状態の人の写真は「より暗く、灰色で、青みがかった傾向がある」とのことで、うつ病患者は「世界が灰色に見える」という研究結果が存在しますが、写真を通しても世界が灰色に見えることが明らかになっています。

Instagram photos reveal predictive markers of depression | EPJ Data Science | Full Text
https://epjdatascience.springeropen.com/articles/10.1140/epjds/s13688-017-0110-z


Depression quite literally colours our view of the world and leaves us feeling blue, according to new study | The Independent
http://www.independent.co.uk/news/science/depression-colour-blue-instagram-filters-social-media-university-vermont-research-study-a7882166.html

Instagram Can Identify Depression Better Than Doctors, Study Says | Fortune.com
http://fortune.com/2017/08/08/instagram-depression-doctors-study/

Instagramに投稿されている写真から投稿した人物がうつ病なのかそうでないのかを判断する実験が行われました。実験ではAIを使用して70%の精度でInstagramに投稿された写真からうつ状態の人々を特定することに成功しました。これに対して、医師がうつ病を診断した際の成功率は42%とのことで、AIがいかに正確にうつ状態の人々を特定したかがよくわかります。

Instagramの投稿写真からうつ状態の人々を特定する、という一風変わった研究を行った科学者たちは、クラウド内での柔軟なオンデマンドの労働力を提供するAmazon Mechanical Turkで募集したボランティアにInstagramのフィードと精神的な病歴を共有してもらいました。被験者の数は166人で、合計4万3950枚もの写真を分析。なお、被験者166人のうち71人が過去3年間で臨床的にうつ病と診断された人物です。

画像を分析するAIは明るさ・色・陰影に関する心理学的研究結果を基にプログラミングされているそうです。具体的に言えば、AIが比較するのはHSV値。HSVとは、色相(Hue)、彩度(Saturation・Chroma)、明度(Value・Lightness・Brightness)の3つの要素を指します。右の写真は左の写真よりも高い色相、低い彩度、低い明度を持っており、うつ病患者がInstagramに投稿する写真は左の写真よりも右の写真に近いHSV値のものになっているとのこと。


この調査を率いたアメリカ・バーモント大学のクリス・ダンフォース教授は、「今回の調査はまだ診断的なテストではなく、長期間行われたものでもありません。しかし、うつ病の人々を助けるための新しい方法を確かめるための概念実証にはなりました」「うつ病や新しい精神病の早期スクリーニングのための新しい方法を探しています」と語っています。

ダンフォース教授の同僚であるハーバード大学のアンドリュー・リース教授は、「我々のデータセットの写真をピクセル分析すると、被験者の中のうつ状態の人々は、健康な人々よりも平均して青色や灰色が強い」と語っています。反対に、健常者はInstagramのフィルターのうち、「Valencia」のような暖かく明るい色合いに写真を加工するものを使用する傾向があったとのこと。なお、うつ状態の人の中で最も人気の高いフィルターは「Inkwell」と呼ばれる写真をモノクロに変換するものです。


また、精神状態が「悲しい」と診断された人は、「幸せ」と診断された人よりも写真1枚あたりに写り込んでいる顔の数が少ない写真を投稿する傾向にあるそうです。これは社会的相互作用の減少がうつ病と結びついている可能性を示唆しており、「うつ病の人がより自撮りを多く行うという事実を反映している」と研究者は語っています。ただし、「『悲しい』と『自撮り』に関する仮説は未検証のままです」と論文には書かれており、今後、さらなる調査が必要であることは明らかです。

研究の一環では、ボランティアの人々にうつ病患者と健常者のInstagramの投稿写真を区別してもらうという取り組みも行われました。ダンフォース教授によると、この調査ではコンピューターよりも明らかに被験者のことをよく知っている友人であっても、思ったようにうまくうつ病患者と健常者を見分けることはできなかったそうです。

なお、Instagramに投稿した写真からうつ病と診断されれば、比較的症状の軽いうちに医師にかかることができるようになる可能性があります。しかし、そうなればプライバシーに関する倫理的・道徳的問題を引き起こすことになるかも知れない、とダンフォース教授は主張しています。

・関連記事
セロトニンとうつ病の関係を大きく見直すこととなる研究結果が発表される - GIGAZINE

「喜ばない子ども」はうつ病の可能性が高いという研究結果が発表される - GIGAZINE

うつ病だとテロメアが普通よりも短いことが判明、老化スピードが早くなる可能性が示される - GIGAZINE

うつ病や自殺の危険性低下・運動能力向上などコーヒーを飲むべき11の理由 - GIGAZINE

ブルーな気分だと世界が灰色に見える、人類共通の現象を科学的に実証 - GIGAZINE

483

in サイエンス, Posted by logu_ii