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AMDのハイエンドGPU「Radeon RX Vega」正式リリース、NVIDIAのGTX10シリーズに対抗できるのか?


AMDが新マイクロアーキテクチャ「Vega」を採用するグラフィックボード「Radeon RX Vega」シリーズを正式に発表しました。前世代の「Polaris」ではミドルレンジのRX480・RX580止まりで高性能モデルはリリースされなかったため、2世代ぶりにAMDのハイエンドグラフィックボードの登場ということになります。強力なライバルであるNVIDIAのGTX 10世代のハイエンドGPUに、AMDはコストパフォーマンスの高さで挑むようです。

Radeon RX Vega Unveiled: AMD Announces $499 RX Vega 64 & $399 RX Vega 56, Launching August 14th
http://www.anandtech.com/show/11680/radeon-rx-vega-unveiled-amd-announecs-499-rx-vega-64-399-rx-vega-56-launching-in-august

AMD Radeon RX Vega 64 and RX Vega 56 Official Details Announced
http://wccftech.com/amd-radeon-rx-vega-64-56-official-slide-performance-specs-price-leak/

「Radeon RX Vega 64」は、Vega 10アーキテクチャを採用するGPUです。ベースクロックは1247MHz、ブーストクロックは1546MHzで、帯域幅484GB/sのHBM2(8GB)を採用。演算ユニット(CU:Compute Unit)は64基でStream Processor(SP)数は4096。CUが64基搭載されているので「RX Vega 64」というネーミングになっています。単精度浮動小数点演算(FP32)性能は12.66TFLOPSとライバルであるNVIDIAのハイエンドモデル「GeForce GTX 1080 Ti」の11.3TFLOPSを上回ります。それでいてRX Vega 64の標準モデルは499ドル(約5万5000円)と、価格改定されたNVIDIAの前ハイエンドモデル「GTX 1080」と同価格となっています。また、Vega世代のCUは半精度浮動小数点演算(FP16)をサポートし、32ビットのパイプラインで16ビット演算を並列処理することで、FP16性能ではFP32の2倍の25.3TFLOPSをたたき出します。


リファレンスモデルはDisplayPort×3+HDMI×1。


Vega 10のGPUダイサイズは486平方ミリメートル。14nmプロセスで製造されています。


2世代前の「Fiji」を搭載するハイエンドモデル「Radeon R9 Fury X」のGPUダイ(右)と比べると、Vega 10(左)は約8割程度と小さめ。しかし、FP32性能は47%向上しています。


ただし、ゲームでのパフォーマンスはR9 Fury X比で、約3割増しにとどまっています。


3440×1440という横長の画面でのゲームパフォーマンス比較では、対象はGTX 1080 Tiではなく前ハイエンドモデルGTX 1080が用いられており、フレームレートの最大値は若干劣っています。実際のゲームでのパフォーマンスについては、発売後のベンチマーク比較などの各種検証を待つ必要がありそうです。


また、上位モデルにはアルミ筐体の「RX Vega 64 Limited Edition」もあり。価格は599ドル(約6万6000円)


補助電源は8ピン×2。左にはVegaのロゴが入り、角の「R」はLEDが点灯します。


ベースクロック1406MHz/ブーストクロック1677MHzにオーバークロックされた水冷モデル「RX Vega 64 Limited Liquid Cooled Edition」は、FP32性能で13.7TFLOPS、FP16性能で27.5TFLOPS。価格は699ドル(約7万7000円)


水冷クーラーのユニットはこんな感じ。TDPが345WとGeForce GTX 10シリーズに比べると高いことから、最高性能を出すには水冷クーラーが必要な模様。


RX Vega 64シリーズは、2017年8月に発売される予定です。


また、RX VegaにはCUが56基、SP数3584のRX Vega 56という廉価版もあり、価格は399ドル(約4万4000円)と、コストパフォーマンスは高め。


ベースクロックが1156MHz、ブーストクロックが1471MHzと周波数を抑えたRX Vega 56は、TDPが210Wと比較的扱いやすくなっています。


ちなみに、北米市場ではFreeSync対応の液晶モニターが200ドル(約2万2000円)オフ、CPUのRyzen 7+マザーボードのセットが100ドル(約1万1000円)オフになる割引クーポンと2つのPC用ゲームタイトルが同封される「Radeon Pack」という限定パックが登場する予定。


合計で420ドル(約4万6000円)相当の割引が受けられるRadeon Packの価格は、RX Vega 56とRX Vega 64(標準モデル)は単体価格から100ドル(約1万1000円)アップですが、アルミ筐体のRX Vega 64 Limited Liquid Cooled EditionとRX Vega 64 Limited Editionについては単体価格と同じで、実質無料で420ドル分の特典付きという破格のキャンペーンとなるようです。限定数や他の地域でも同様のキャンペーンが行われるかは、記事作成時点では不明です。


・おまけ
Radeon R9シリーズと同様に、Vega 10世代でもハーフサイズの「RX Vega Nano」が登場することも明らかにされています。Mini-ITXサイズのRyzen 7対応マザーボードと組み合わせて、純AMD仕様の極小高性能PCの作成も可能になるようです。

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in ハードウェア,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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