3Dプリンターを使って「出力」されたカーボンファイバー製外殻を持つ潜水艇の試作品が完成


巨大な3Dプリンターを使い、軽量で強靱という特性を持つ素材・カーボンファイバーで船体の外殻を作り上げた潜水艇が完成しています。この潜水艦はアメリカの特殊部隊「SEALs」(シールズ)の作戦遂行時に用いられる船体をもとに設計・作成されたもので、2019年初頭までに実際に航行可能な船体の完成を目指してテストと開発が進められることになっています。

Large-format 3D printer builds carbon fiber-reinforced submarine : CompositesWorld
http://www.compositesworld.com/news/large-format-3d-printer-builds-carbon-fiber-reinforced-submarine

US Navy and ORNL Team Up to Develop the Military’s First 3D Printed Submarine Hull on the BAAM | 3DPrint.com | The Voice of 3D Printing / Additive Manufacturing
https://3dprint.com/181795/navy-ornl-3d-printed-sub-hull/

この潜水艇はアメリカのオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)がアメリカ海軍の技術研究機関らと共同で開発したもので、「Optionally Manned Technology Demonstrator」(OMTD)と呼ばれています。SEALsが特殊任務を遂行する際に、水中を極秘で移動するためのSEAL輸送潜水艇(SEAL Delivery Vehicle:SDV)にアイデアを得て作られており、全長は30フィート(約9.1メートル)、全幅は4.5フィート(約1.37メートル)とのこと。


ちなみに本物のSDVはこんな感じ。SDVは改良型SEAL輸送システム(ASDS)とは異なって船内が水で満たされる構造となっており、潜水具を身に付けた潜水兵数名と操縦士などが乗り込んで目的地まで移動するというもの。


船体後部には、スクリューが収められるであろう構造が作られています。まず最初に作られた船体は、Proof of Concept(概念実証)のために作成されたもので、この後は実際のテストに用いられる船体が作成されることになっています。船首にある段差部分は開閉可能なハッチになっていて、中に入れるようになっている模様。


3Dプリンターを使うということで、設計にも最新の技術が用いられています。MicrosoftのARデバイス「Holo Lense」を用いて、設計プロセスを迅速に進められたとのこと。


制作には、オークリッジ国立研究所にある製造実証施設(Manufacturing Demonstration Facility:MDF)の巨大な3Dプリンターを用い、船体を6つに分割して出力し、最後に組み立てる方法がとられます。


輪切り状態になった船体部分のパーツ


船体後部のパーツも3Dプリンターで「出力」されたもの。


プリントが行われた各パーツは個別の状態のまま細部の仕上げが行われ、最後に組み上げて一隻の船体になります。今回の船体では出力開始からおよそ4週間で船体が完成したとのこと。先述の通り、初号機はあくまで設計を確認するために作られた概念実証機であり、実際のテストに用いられるものではありません。開発を進める海軍では、今後2隻めのOMTDを作成して実験を開始する予定とのこと。


従来のSDVを建造するには、60万ドルから80万ドル(約6600万円~8800万円)の費用と3~5カ月という期間が必要でしたが、この新方式による潜水艇の場合だと建造コストを90%も削減でき、必要な日数もほんの数日レベルでの完成が可能になるとのこと。コストと時間の両面で大幅な削減を可能にする技術として注目されています。


実際の製造風景などは、以下のムービーで確認可能です。

Navy 3D Prints First Submersible Hull - YouTube

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in ハードウェア,  乗り物,  動画, Posted by logx_tm