スタン・リーと一緒にユニバースを作りたい、アニメ「THE REFLECTION」野口プロデューサー&長濱博史監督インタビュー


「蟲師」「惡の華」で知られる長濱博史監督と、アメリカンコミック界の「神様」であるスタン・リー、そしてイギリスの名音楽プロデューサーであるトレヴァー・ホーンが組んだ完全新作のオリジナルヒーローアニメ「THE REFLECTION -ザ・リフレクション-」の放送がいよいよ今週末、2017年7月22日(土)23時から始まります。公式サイトのビジュアルから受ける印象はアメコミそのものですが、そこにはスタン・リー、そしてアメコミを愛してやまない長濱監督のこだわりが存在していました。

THE REFLECTION –ザ・リフレクション–
http://thereflection-anime.net/

まず、長濱監督に話を伺うまでに、企画成立までの経緯などについて、アニメーション制作を担当するスタジオディーンの野口和紀プロデューサーが語ってくれました。


◆作品成立の経緯
スタジオディーン 野口和紀プロデューサー(以下、野口):
私が長濱さんに「スタン・リー氏に会いに行こう」と誘われたのは6年ほど前のことです。もともと長濱さんはアメコミが好きで、どうしてもアメコミ作品をやりたいと企画を出されていました。今回の「THE REFLECTION」の前にも1つ、スタン・リー氏との企画があったのですが、残念ながら上手く進まない状況になっていました。ところが、逆にスタン・リー氏の会社・POW! Entertainmentから「前の企画はうまくいかなかったけれど、まだやる気はないか?」と連絡が入ったんです。

(一同驚きの声)

野口:
POW!の共同経営者で社長のギル・チャンピオンという強面の方がいらして、「長濱とスタンが作るものが面白いものになることはわかっている」と言ってくれていたのですが、ただ、ビジネスを成立させるために、ビジネスパートナーを連れてきて欲しいと宿題を出されていたそうです。それで私が長濱さんに誘われたわけです。「いつ?」と聞いたら「すぐに」と長濱さんが言うので「はい、すぐ行きます」と、すぐにロスへ飛ぶことになりました。何か事前の段取りがあるのかと思ったら「スタン・リーにまず会ってください」と。以前の企画を担当した会社の人から「ギルっていう人はニコリともしない」「ギルだけが怖くて怖くて」と散々脅されていたのでどうなるかと思っていたのですが、どうなるかと思っていたのですが、会ってみるとものすごくニコニコしていて。「かくかくしかじか、なんとかお金は集めてきます」と説明して、「一緒にやりましょう」と握手して帰って来ました。それで決まっちゃったんです。

(一同笑)

野口:
まだタイトルは「THE RELECTION」には決まっていなくて、「パーフェクトワールド」という名前だったんじゃないかな。ともかく、ここからは契約の話などがあって結構時間がかかってしまいました。でも、長濱さんとスタン氏はツーカーの仲で、毎回絵を持って行ったり、シノプシスに関してはスタンが「2週間でやる」と言ってくれて、本当に2週間で本人の書いたものが上がってきました。

Q:
それは12話分全部ということですか?

野口:
大本となる世界観です。最初は、シリーズ構成も原作も全部スタン側のライターさんでやるという話だったのですが、長濱さんがスタンのシノプシスに肉付けしていき、日本側からのライターで鈴木やすゆき氏にも入っていただいて作業していたら「これはもう、長濱に任せるよ」という話になって、アメリカ側のライターさんの話はなくなり、構成やシナリオなどもかなりの部分を日本側に任せて頂ける形になりました。

Q:
おおー。

野口:
キャラクターデザインは馬越嘉彦さんが描かれていますが、長濱さんがアニメーションのキャラ原案を作った上で馬越さんにやっていただいているので、長濱さんは監督という役職ですが、世界観から絵から全部作ってきたといえるんです。

長濱さんの「アメコミ愛」「スタンへの尊敬」はすごくて、以前、スタン氏に対して「僕はあなたに育ててもらいました」「僕がここに居るのはあなたのおかげなんです」という話をしたそうですが「本当にお前はよくアメコミのことを知っている」「日本ではお前が読んでたんだな」と本人に返されるくらいに頼されているんです(笑) 長濵さんとスタン氏はキャラクターの説明などで事細やかに話をしますが、そのやりとりを横で見る事が出来て、本当に幸運でした。私が初めてスタンに会った時点ですでに80代後半でしたが、年齢をまったく感じさせません。アイデアが止めどなく、あふれ出る泉のように出てきます。

Q:
スタン・リー氏のところへは何回くらい行かれたんですか?

野口:
年に1、2回です。サンディエゴ・コミコンだったり、ロスであるイベントだったり。アメリカに行く時は、POW!に顔を出し、するとスタン氏も必ず時間を取ってくれたんです。

スタン・リーはアベンジャーズに参加している面々も含めてアメコミ界の名だたるキャラクターたちを生みだしていますが、厳密にいうと権利的には「スタンが作ったけれど、スタンのものではない」という状態なのです。そこで長濵さんは今回の「THE REFLECTION」で、「スタン・リーユニバース」を新たに生み出したいという思いを一貫して持っています。

「スタン・リーに育ててもらった」ということへの恩返しというと言い過ぎかもしれませんが、一緒に作ることで「THE REFLECTIONの原作はスタン・リーなんだ」とはっきり言えるものにしたい。さらに言うと、アメリカにおけるカートゥーンって子ども向けのものが多いので、アメコミ原作のアニメ作品は必ずしも評価が高くないんです。それをひっくり返したいという思いもあるんです。今、マーベルやDCの作品の実写化作品がすごいことになっていますが、「スタン・リーはアニメでもすごいんだ」と言わしめたい、それが大きな原動力になっているのかなと思います。「THE REFLECTION」というタイトルを今回12本やりますが、これは長濵さんが構想している全体の中のごくごく一部で、ここを皮切りとして、スタン・リーユニバースをもっと広げていきたいと、そのように考えています。

◆スタジオディーンと長濱監督
Q:
企画自体もすごいですが、同時に、長濱監督がそれだけやりたいと考えられているというものを作るのは、スタジオとしても大変なことなのではないかと思います。スタジオディーンとして、どういう思いで一緒にやろうと考えたのですか?

野口:
私が長濵監督と知り合ったのは「フルーツバスケット」という作品で、オープニングとエンディング、そして3本ぐらいのコンテ演出でおつきあいさせていただきました。基本的には、ものすごく大変でした(笑) でも、一ファンとして、長濵さんのフィルムが見たくなるんです。生業としてプロデュース業をやっていると、長濵監督がやるフィルムを自分が作りたい、人より先に見たいと思うんです。今回、まだ終わっていないものの、やってよかったと思うのは、とにかく面白いということです。シナリオの打ち合わせも、書かれている本の内容も面白くて、それを人よりも先に読めるという、これを誰にも譲りたくない。内容も含めて、最初に相談があるということが、やっていてすごく楽しいんです。

もちろん、要求は高いです。仕事に対しての向き合い方、姿勢みたいなものが、通常の5倍増しみたいな感覚です(笑) しかし、一緒にやっていてすごく楽しい。原画マンも、作監さんも、ライターさんも、やっている最中は要求されるもののレベルが高く大変ですが、「自分にこんな能力があったのか」ということをするするっと引っ張り出してくれます。長濵さんにはプロデューサーっぽいところもあるんですね。長濵さんがディレクションするとスタッフ個人の能力が高まって、「こんなこともできるの?」ということを見せてくれます。そうすると、一緒に組みたくなるんです。

◆トレヴァー・ホーン氏の参加は野口プロデューサーがきっかけ
Q:
音楽をトレヴァー・ホーンさんが担当されていますが、どういった経緯で参加されたんでしょうか?

野口:
私がファンだったんです(笑)

(一同笑)

野口:
私が小学校6年生のとき、「中島みゆきのオールナイトニッポン」で「The Bugglesというバンドの『ラジオスターの悲劇』」という紹介で曲がかかり、衝撃が走ったのです。その時からなんですよ、トレヴァー・ホーン氏が好きなのは。80年代といえばMTV世代で、「Yes」「Art of Noise」「Frankie Goes To Hollywood」「ABC」「Seal」……そういう洋楽ばかり聴いていたものですから、いつかトレヴァー氏と仕事がしたいと思っていたんです。

まだ「THE REFLECTION」が動く前に、長濵さんに「いいですね、スタン・リーと仕事ができるなんてすごいですよね」という話をしていたら「野口さんにはそういう人はいないんですか?」と聞かれて私はトレヴァー・ホーン氏だと。長濵さんは名前は知らなかったんですが、曲を聞いてもらうと「全部知ってる!」って(笑) それで「THE REFLECTION」が成立しかかったときに「頼めるなら、トレヴァー・ホーンに頼んでみたらどうですか?」と言ってくれたんです。

今回音楽のディレクションをやっている、FlyingDogの野崎圭一さんとは懇意にしているので、相談して、まずアメリカにいるトレヴァー氏の代理人という人たちに話を聞いてもらったら、上手く繋がらず、どうも無理そうだということになりました。しかし、トレヴァー・ホーン氏が持っているZTTというレーベルの代理店が渋谷にあることがわかったので「そことも話をしてみるよ」と。すると、このUMAAという会社の弘石雅和社長が興味を持ってくれて「そんな面白い話があるなら話をしてみます」と言ってくれて、企画書とともに私からの「小学校の時から大好きです」というラブレターを渡してもらったら、OKが出ちゃいました(笑)

(一同笑)

野口:
長濵さんから「言わなきゃ駄目ですよ。僕もそうだったんですから。『アメコミが好きで好きで』って言ったらスタン・リーと会えて、今、仕事を一緒にしてるんですから」と言われていたので手紙を書いたらOKをもらい「こんなことってあるの!?」という話です。ファンとして会う、ライブに行くというのはありますが、一緒に仕事をすることになろうとは、です。

◆スタジオディーン初のNHK総合放送作品
Q:
全世界同時配信ということで、日本ではNHKで放送されますが、海外ではどこで放送・配信されるんですか?

野口:
今回、クランチロールが欧米中心に窓口に配信を行い、アジア等でも他のプラットフォームより配信という形になります。アメリカ版は吹替版も今作っていて、スタン・リーご本人やトレヴァー・ホーンが出演したりします(笑)

Q:
日本語版ではスタン・リー氏の役はだれが演じられるんですか?

野口:
スタン・リーが映画にカメオ出演したときに吹替をなさっている西村知道さんが担当します。日本での放送はNHK総合テレビですが、よくこの枠にハマったなと思います。長濵さんには、本当に感謝です。

スタジオディーンは創立42年で、EテレやNHK-BSの作品はやったことがあるのですが、NHK総合は実は初めてなので、私としては「やったな」と思っています。不思議ですよね、日本に数多あるアニメの中で、オリジナル作品で、それもスタン・リーと一緒にやっている作品がうまくいく。直近のスタジオディーンだと女性向けの作品がよくヒットしていますが、そんな中でこの作品が、とは思います。本作は本当に見応えのある作品です。第1話を見ても現象のみで、何が起こっているかよく分からない作りになっています。全体像は徐々に明かされてきますので、ぜひ3話4話ぐらいまではついてきていただきたいと思います。

そうすれば、離れられなくなりますから!

◆長濱博史監督は企画が決まってどう感じたのか?
ここからは長濱監督へお話をうかがいました。


Q:
作品を作るにあたっての経緯などを野口プロデューサーからうかがったのですが、企画が決まったときにはどんなお気持ちでしたか?

長濱博史監督(以下、長濱):
企画が決まった時の気持ち……実は、あんまり印象にないんです。野口さんが話したように、スタンとは別の企画を立てていたんですが、それがなくなってしまって、今回もなくなるかもしれないという思いがありました。以前の企画はストーリーができていて、絵も自分でイメージボードを描いて色も付けて、あとは作るだけというところだったのですが実現せず、今回も最悪、ああいうことがあるだろうなという感じです。なので、今でも成立していると思っていないです。

Q:
まだ実感がないと(笑)

長濱:
放送されたらやっと「ああ、放送された」「スタン、放送されたよ!」って話になると思います(笑)。スタンもたぶん同じじゃないかな。前の企画がダメになったあと会ったときに「これを2年前にやったよね」と見せたら「これカッコイイじゃん!」って言われました。「カッコイイよ、だって一緒に作ったんだもの」って答えたら「ホントだ。でも、なんでこれをやらないの?」って(笑) 「もったいないな、すごくいいな。絵はお前が描いたのか?」「そうだよ、その時もすごくいいって言ってくれたよ」「話も面白いな」「話はあんたが書いたんだよ」みたいな話をしました。たくさんの作品をやっていますから、人のことは覚えているけれど、作品については映像が出ないと実感がないんじゃないでしょうか。

◆長濱監督とアメコミの出会い
Q:
ありがとうございます。ちなみに「そもそも」という部分の話になりますが、長濱さんがアメコミ好きになったきっかけはなんだったんですか?

長濱:
きっかけは小4の時に読んだ光文社のマーベルコミックスで、昔はモノクロで単行本サイズのものが出てたんですよ。小野耕世さんが訳していて、第4巻を初めて読みました。表紙はスパイダーマンが真ん中に這っていて、バックにはいろんなキャラクターの顔だけが浮かんでいるというもので、「すごい、カッコイイ!」と思ってそれを選びました。

もともと自分は日本の漫画とかがちょっと苦手で、アニメーションを理解するのにちょっと時間がかかる子どもだったんです。「仮面ライダー」「快傑ライオン丸」「変身忍者嵐」とヒーローものを見るのと同時に、「笛吹童子」とか「銭形平次」とかのチャンバラも見ていました。あれも必殺技がありますから、ヒーローものだったんですね。東京に行けば仮面ライダーやウルトラマンがいるものだと思っていました。でも、ロボットアニメを見ているときに「え!絵じゃん!?」って思ってしまったんです(笑)

(一同笑)

長濱:
たぶん、男の子は本能的に「武器」「兵器」「ロボット」みたいなものに魅力を感じるよう刷り込まれているんじゃないかと思います。だからコン・バトラーVもゲッターロボも好きだったし、カッコイイとは思っていたんですが、「本当はいないもんな」「作り事だもんな」と、夢中になれない感じにずっとモヤモヤしていました。自分が絵を描くので「あれを描けといわれたら描ける」という感じなんですよ。仮面ライダーも誰かが作って着ているけれど、そんなことは考えないんです。だって、あれはバイクで走っているし。

(一同笑)

長濱:
こけたら泥だらけになったりするから「あいつはいる」「でもコン・バトラーはいないよ。どう考えても」って、その時すごい迷ってたんですよ。小学校のころって、人の顔を描くとみんな笑いましたよね。鼻の下の人中や唇やまつげまで描き込むから、ブタみたいだとか、サルみたいだとか。日本の漫画はすごく単純化されているので「これは俺たちじゃないんだ」と思いました。コン・バトラーもそうですね。人が描いたもので、そこにはリアリティがなく、感情がない、乗っからないみたいな印象がありました。なので、実は「ドラえもん」にもあまり入れませんでした。

そんなときにスパイダーマンを読んだら、鼻の穴も、唇も、人中も描いてあるのに格好いいんです。「あれ?俺らの顔カッコイイじゃん」って思いましたよ。俺たちが下手だから「友達の顔」を描いたときに笑われたけれど、上手い人間が描けば「すごく似てる!」みたいなことになるんだなと、そこで認識が変わりました。おかげで「俺たちは気持ち悪くないんだ」と、絵を描き続けていくことになります。

ただ、それ以降はまったくアメコミは買えませんでした。大分県出身なんですが、地元では売ってすらいなかったからです。なので、スパイダーマンとかの体験は、専門学校で東京へ出てきてからです。それもすごいことだなと思います。「いっぱいあったから好きになった」というのはわかるけれど、俺の場合は全然違っていた。「どこにあるんだろう?なんで売っていないんだろう?」って。パルコに入っていたポストホビーへ行ったときだったか「スーパーマン スーパーパワーズ」を見かけて、遊んだこともないのに「ハッ!これ、絶対に俺が好きなヤツだ。」と思って「絶対に欲しい」とお袋に言ったことがあります。でも、超合金が1000円ちょっとで買えたときに、プラスチックのちっちゃいオッサンが3000円ですから「馬鹿じゃないの」と言われました。東京へ出てきたらそれが山ほど見つかって、店に行ってみると「これ!こんなシリーズあったんだ!」と感動し「これ乗り物もありますよ」と言われて「マジで!?」みたいになる(笑)


(一同笑)

Q:
東京に出てきたから読まれた作品で感銘を受けたもの、影響を受けたものというのはありますか?

長濱:
専門学校に目黒という友達がいて、最初に神田のアメコミ屋に「お前がすきなのがあるぞ」と連れて行ってくれたんです。するとリーフレットという薄いコミックがあって、「うわぁ!ほんまもんが売られてるんだ、日本に」ってなりました。俺がその友だちに伝えたのは、スパイダーマンを読んだことがあるっていうことと、シルバーサーファー、アイスマン、キャプテン・アメリカ、バットマンなら知っているということだったんです。

Q:
マーベルが多かったんですか?

長濱:
光文社のマーベルコミックスが原点だったのと、その前段階でもっとちっちゃい頃にスーパーマンの映画があって、アメコミ第一ブームみたいなのがあったんですよね。その時、お菓子のオマケにおもちゃがついてて、俺はスーパーマンが一番価値のあるヤツだと思ってスーパーマンが欲しかったんですが、バットマン、グリーンランタン、バットマンって被ったんです。パッケージにもスーパーマンが描かれているのにスーパーマンが出ず、バットマンは……悪くはないけれど、こいつは敵なんだろうって思い込んでいました。

Q:
風体が(笑)

長濱:
「スーパーマンの敵だからな。コウモリのマークが付いてるし!」って(笑) グリーンランタンは色が好きだったし、すごく格好いいなと思っていました。バットマンは、友達が遊びに来たときに「ダブってるならくれよ」って言われて「バットマンはワルモンだぞ?」って話をしたら、そいつから「いや、バットマンは確かイイモンだったはずだよ」って言われたんですが、「こんな恰好なのにイイモンなわけないだろ!」って。

(一同笑)

長濱:
「グリーンランタンはあげられないけど、バットマンはダブってるからあげる」ということになり、ホークマンだったか何かと交換してもらいました。でも、バットマンのことはそれでおしまい、忘れてしまいました。内容がわからなかったので。

Q:
その時は敵だと思ってるわけですもんね。

長濱:
そうなんです。スパイダーマン見た時も「スパイダーマン、顔怖ぇ」って思って。

Q:
目がシャープですよね。

長濱:
俺らの子どものころに見ていた石ノ森章太郎さんのキャラって、大体顔はタレ目で丸くて優しいんですよ。常にちょっと笑ってるというか、子供に対しては優しい顔みたいな。

Q:
アルカイックスマイル的なのもありますね

長濱:
そうです、本当に仏像の顔なんですよね。だから角度によって勇ましく見えたりするっていう能面のような効果があって。日本人って仮面が好きじゃないですか。それで、スパイダーマンを見た時に怖いと思ったけれど、バットマンはもっと怖い顔をしていて「そうか、こういう戦いのためには勇ましくなきゃいけない」と、それはむしろカッコいいなと思いました。それで、神田に行ったとき「スパイダーマンあるだろ」って言われたんですけど全く気付かず「え?スパイダーマンどこにある?」って言うと「目の前にあるのが全部スパイダーマンだよ」って。その原因は、その時期のスパイダーマンが真っ黒だった空なんです。

Q:
ブラックコスチュームになってた頃ですね。

長濱:
ロゴの「マーベル」という部分の顔も黒になってるし、胸は白いし、お店の人に「赤と青のヤツは?」って聞いたら「赤と青のヤツないんですよ。今、黒くなっちゃって」って言われて「えええええ!!!!」と。

(一同笑)

長濱:
そのころはキャプテン・アメリカも真っ黒で「俺が知ってるやつがどこにもいない」と。何かは買いたいなと思ったんだけれど「黒いスパイダーマンは俺ちょっと分かんねぇや。これ、ピーター・パーカーなんすかね?」という気分でした。それでDCのコーナーとマーベルのコーナーが分かれていて、回り込んでみたらバットマンだけがまだ青とグレーで「あっ!?これ表紙カッコイイから買う」っていったのが、ロビンの二代目が死ぬ回でした。

Q:
「デス・イン・ザ・ファミリー」ですね。

長濱:
それが俺が初めて買ったリーフレットです。

Q:
それはご自分で翻訳されて読まれたんですか?

長濱:
翻訳はできないし、英語も全くわからないんで、とにかくひたすらアートだけを見てたんですね。でも「うわっ、飛行機が墜落してロビンが死んでるよ!!」というのは分かって、「やっぱアメコミ面白い」と。そこに繋がってくるのが、さっきの光文社マーベルコミックス第4巻なんです。最後にピーターがグウェンと付き合いたいからというのもあって、普通の人間に戻りたいといって薬を開発するんです。ところが、薬には副作用があって、最後にピーターが「脇が痛い、脇が痛い」って言いながらTシャツを脱いだら腕が2本ずつ脇から生えてて「ピーターの腕が6本に、いったいどうなる?」っていうラストなんです。ところが、その本を扱っていたお店が潰れてしまって(笑)、俺の手元には4巻しかなかった。ずっと考えていたんですよ、「腕が6本になったピーター・パーカーはどうしたんだろうか」って。バットマンのロビンが死ぬところを見て、そのことを思い出し、「他のいろんなものよりよっぽど面白いな」と思ったんです。そういえば、子どものころからこういう天地がひっくり返るような作品が好きだったんです。「デビルマン」とか、「漂流教室」とか。

(一同笑)

長濱:
「大友くんがここまで!?」とか「これ、飛鳥了の話だったのか!?」とか、ああいう衝撃を子どものころから何回か幸運にもいただけているというか。マジンガーZがこてんぱんにやられてグレートマジンガーが出てくるというのもそうです。グレートマジンガーのデザインは耳のところが途中から曲がっていて、胸も「V」ってカッコよくとんがらしてあって「とんがっててカッコイイ……けど、マジンガーに悪いだろ」という気持ちになりました。子どもの中では「強い=カッコイイ」になるので、マジンガーをボコボコにした敵をグレートがあっさりやっつけたことで、グレートマジンガーの方が強い、カッコイイって書き換えられるんです。でも、俺は書き換えられなかった子どもだったんです。


(一同笑)

長濱:
俺は、あんなにも無敵だったマジンガーがボロボロにやられたんだってトラウマだけが残った感じなんです。もっとカッコイイのが出ましたよって言われても「そんなのに飛び付けないよ、だってマジンガーがこんなになってるんだぞ」みたいな方向に行く子どもだったんですよ。友達の中にも何人か「やっぱマジンガーじゃなきゃ駄目」というのがいました。中学の時だと「戦闘メカ ザブングル」ですね。後期のオープニングになると、ラストカットで立っているザブングルの目の前ギリギリのところに新メカのウォーカー・ギャリアが立つんです。モヤモヤします。

Q:
(笑) タイトルはザブングルなのに。

長濱:
神田で手に入れたバットマンを読んでみると、自分が子どものころに感じていたワクワクとかビックリみたいなものがまだまだ残っていました。そのころ、リブロかなにかに行ったとき、マーベルが展開していた大判のグラフィックノベルがありました。ビル・シンケビッチという人の「デアデビル」の「ラブ・アンド・ウォー」という作品を見たときには鳥肌が立って「すげぇ、これなに?」と、頭の中を引っ掻き回されたみたいになりました。デアデビルがダークな赤ではなくマゼンタみたいな色で塗られていて、胸のDは白で、飛ぶと身体が弾丸かロケットみたいに描写されていました。それに、キングピンは円定規を使ったような丸で描かれていたり、ベストには本物の生地のパターンをテクスチャみたいに張り込んでいたりと、すごい作品なんです。キングピンが寝たきりの奥さん、バネッサの前で自分の罪や葛藤を独白していて「キングピン、カッコイイ」と思ったし、デアデビルはデアデビルで血なまぐさくて「デアデビル、カッコイイ」って、この「ラブ・アンド・ウォー」以来、どんどんデアデビルに傾倒していきます。バットマンにあったものの、もっとダークな、もっと俺の好きな方向がデアデビルには存在していて、コスチュームも最高でしたから。

そういう、アメコミの驚きやいろんな世界の存在みたいなところを、スタンと一緒にユニバースごと作りたいと思ったんです。DCやマーベルとは違う、「この棚全部、スタンと俺で『THE REFLECTION』の棚にしようぜ」ということです。「THE REFLECTION エクスオン」とか「THE REFLECTION アイガイ」とかみたいな作品がいっぱいあって、アイガイはブルーだと思っている人が買いに来たら、突然、金色のアイガイがいるわけです。「アイガイの新刊ないんですか?青いやつなんですが」「アイガイは今、金色になっちゃってるんですよ」「ええっ!?」ってやりたい(笑)


(一同笑)

◆「THE REFLECTION」は長濱監督が生み出す「スタン・リー ユニバース」への誘い
長濱:
今回の作品は、そういうところへいずれ持って行くための初手です。アメコミ好きの人には「アメコミってこんな感じだった」と思ってもらっていいし、一方で、知らない人は「こいつ誰?こいつ何やってんの?どんなキャラ?」って思うかもしれませんが、「アメコミは日本みたいに1巻~10巻とかでは終わらなくて、何百何十号から始まって、もうピーター・パーカーはスパイダーマンなんだ」と。「なぜスパイダーマンになったの?」となるなら、それを紹介するコミックが出たりします。「THE REFLECTION」も、そういった大きな世界を用意するためのタイトルです。リフレクションという事件のことでもあるし、自分もスタンからのリフレクション、影響を受けて作り出すということでもあり、今の世の中を反映するという意味のリフレクションもあります。見た人間がみんなこれに何かしらの反応と、何かしらの影響を受けて欲しい。それは何年か後でもいいですけれど「NHKでヒーローものやってたよね」から「アメコミを読むようになった」でもいいし「絵を描くようになった」でもいいし「アメコミは嫌いだったけれど、あれで好きになった」でもいいし、そういう何かを俺とスタンがやることで起こせたらいいなと思います。

G:
いったん話が戻るんですが、いままで長濱監督は「蟲師」や「惡の華」といった漫画原作をやっておられて、今回は完全にオリジナルです。スタン・リーとの間で、どのように作品を形作っていったのでしょうか。野口プロデューサーのお話だと、長濱さんがキャラクターの原案から脚本からやっていて、要するに長濱博史作のアメコミなのかなと感じました。

長濱:
はじめは「前回の話はポシャったけれど、まだやる気はある?」とスタン側から連絡があったのでアメリカへ行き、「なんかアイデアある?」という感じでした。その時点での内容はもうちょっとえげつないものでしたが、「リフレクション」という現象と、世界全体からヒーローやヴィランが生まれてくるということについてはスタンが「いいね、やろう。それで行こう」と。説明をはじめたときは、スタンは「ちょっと忙しいから、自分があらすじを書くのは難しいかもしれない」といっていたんですが、話をしているうちに「やっぱり、これは僕が書かなきゃダメだね。一週間くれ、それでトリートメント、全体のあらすじを書くから」って、きっちり書いてきてくれたんです。

G:
すごいですね。「THE REFLECTION」の全体の構成は、スタン・リーの作ったものがベースになっているということですか。

長濱:
そうです。スタンは昔のアメリカンコミックのやり方をしていて、今の成熟したアメリカンコミックのライターたちが作った、もっと映画的で海外のドラマでも通用するようなシナリオ構成ではないんです。まずコレがあって、コレがあるからリフレクションが起こって、こういう風にヒーローができあがる……みたいな感じの順番を書いてきて。それに対してスタンに「『アベンジャーズ』とか今の海外ドラマとかでやってるようなストーリーテリングの方法を取りたいんだ。最初はリフレクションが起こった後から始めて、どんなことだったのかっていうのはおいおい分かるようにしたい」っていう話をしたら「面白いね。そこは任せる。そこは自由にやってくれ」と言ってくれました。「こういう世界観でこういうヒーローが生まれてくる」みたいなところをまずは決めますが、「ここはいつか見られるかな?」というように実は明かされてない部分がいっぱいあって、その明かされてない部分っていうのは、実は今回描きようがないようなものなんです。

G:
描きようがない!?

長濱:
そのときに、スタンの新たなユニバースを作るってことはこういうことなんだなって思いました。あまり、全部は言えないんですけれど(笑) たとえば、地球だけの話で終わらなくなったりするわけです。描かれていない部分について、スタンに「この部分はいつか見られるかのかな」って聞かれて「今回のシリーズだと無理だよ」と答えましたが、だけど「いつか見たい」「ここを見させてくれ」と、スタンはそこが見たいんですよ。

G:
ユニバース的展開があるから。

長濱:
あるんです。今回のシリーズでは俺らの世界の数%しか出てないんです。もっと細かい、もっとたくさんのヒーローがいて、もっとたくさんのヴィランがいるんですけれど。

G:
「THE REFLECTIONユニバース」があって、そのユニバースの入口的な作品として、今回一部だけをアニメ化した、というイメージでしょうか

長濱:
そうなんです。本屋に行って「THE REFLECTION」ってコミックがあって……なんてタイトルになるんだろう……。難しい。

G:
「ビギニング」という感じではないですよね。

長濱:
「ビギニング」だと最初ですから、たとえば「THE REFLECTIONセレモニー」みたいなミニシリーズがあって、4冊組で、その「4の1」みたいな感じで出ていたと。ミニシリーズだから入りやすいかと思って買ってみたけれど「エクスオンが、アイガイが」って書いてあるから「誰だか知らないや」となりますが、すでに「THE REFLECTIONエクスオン」を読んでいる人にとっては「ああ、エクスオンがとうとう世の中に認知されてしまったよ」という感じでしょうか(笑)

G:
(笑)

長濱:
今までのコミックスの展開だとずっとエクスオンは影の存在だったので、大々的に表に出て、ここで合流しちゃってるよ、とか。

G:
資料として絵コンテを拝見しましたが、第1話の時点ではわからないことがたくさんありそうだなと感じました。先ほど、野口プロデューサーも3話、4話までは見ていただきたいというお話でした。

長濱:
そういう感じです。そこが自分の中でもアメリカンコミックの一番面白いところで。ページをめくったらいきなり殴り合ってるというのが多かったんです。スタンがよくコミックで「今回もまた戦いからスタートだ」って書いていたんですよ。皮肉っぽくもありますが(笑)、要するに、読者をキャッチするための手法なんです。子どもたちはページをめくって普通のドラマが始まったら買わないんです。それが、めくったときにスパイダーマンとヴァルチャーが戦ってるなら「買おう」となるから、一発目でボカンとやってる、あれをそのままやろうと思ったんです。第1話の冒頭からバコンボコンと戦っているけれど、それが誰かもわからない。

G:
(笑)

長濱:
本当にありがたいこととして、編集さんも同じことを言ってくれたんです。戦ってる時に「こいつは悪いヤツ?」「そうです」「こいつとこいつは仲間なのかな?」「そうです」「そうなんだ」とか、編集しながら言ってたんですよ。そうそう、それでいいんです。戦っていて、どっちがいいやつか悪いやつかわからないし、チームなのかも分からない。それが第2話になると「はいはい、こいつね」「ここで出てきたこいつが、あいつと戦っているんだ」って。それは目指していたものなんです。これを読んで「こういうのなんか面倒だな」って思う人がいたら申し訳ないと思いますけれど、「独特」「トリッキーだね」という感想については、アメリカンコミック好きな人から「そうそう、アメコミってこんなのだよ」「あるあるこんな感じ感じ」って言ってもらえると思います。

G:
確かにそんな感じですもんね。言い方がちょっと変かもしれませんが「アメコミあるある」みたいなものをどんどん突っ込んでいる感じがします。

長濱:
そうです。実はこれは「まったく見たことのない新しいアメリカンコミックのヒーローだ」と言わせようとは思っていないんです。そうではなく、たとえばアメコミをあまり知らない人が「こいつスパイダーマンみたいじゃない?」って言ってたら、それでいいんです。その後にアイガイを見て「こいつアイアンマンみたいじゃん」と言っていたら、知ってる人は「そりゃそうだよ。だって、アイアンマンもスパイダーマンもスタン・リーが作ってるもん」って言えます。「X-MENも同じだよ」「ああ、ぽいね」って方向にしたいんですよ。

G:
つまり「これがスタン・リーだ」みたいなことですね。

長濱:
「これスタン・リーっぽくない?」「スタンだよ」っていう、これはスタンじゃなきゃできないことなんです。案外、俺らが思うほどに日本でスタン・リーの名前って知られていないんです。あんなすごい人なのに。いろんな映画で「スタン・リー」って名前が出ているのに。でも、世の大半の人は、映画の原作者クレジットなんて見ないですし、監督の名前もそれほど知っているわけじゃない。役者の名前なら「ヒュー・ジャックマンか、わかる」と、そういう感じです。

G:
そういうところはあります。

長濱:
そんな人たちに「面白いと思って見返してみたら、アメコミ映画にはみんな『スタン・リー』の名前が書いてあったわ!」っていう方向に持っていきたいんです。普通の女の子たちが「全部『スタン・リー』って書いてある、やばくない?」って(笑) だから、スタン・リーさしさという点はベタに行きたいと思っています。

G:
「蟲師」なんか見ていると、長濱監督は作品の持っている「らしさ」を上手く引き出すという印象がありましたが、今回はそれと同じように「うまくスタン・リーを表現する」というところでしょうか。オリジナル作品に対しての表現として正しいかわかりませんが、オリジナルの皮をかぶった「スタン・リー」もの、とでもいうか。

長濱:
その通りです。作中、第3話にちらっとコミックがでてきますが、そのコミックの設定すら全部存在します。

G:
小道具ではなく!?

長濱:
表紙には煽り文句が書いてあるんですが、それも全部スタンが考えてくれました。見たら、スタンのファンなら「これはスタンの言葉遣いだ」とわかるものです。素晴らしいです。

G:
今回のためにスタン・リーが考えてくれたコミックなんですか。なんて贅沢な。

長濱:
「こんなタイトルにしたいんだけれどどう?」と聞いたら「いいね」って、煽り文句とかを考えてくれました。音楽をやってくれているトレヴァーもすごく喜んでくれて「いい名前だよ、ダブルミーニングになっている」と。基本キャラクターってダブルミーニングが多かったんですが、俺は全然意識していなくて。

G:
なるほど。今回、キャラクターデザインは馬越嘉彦さんですが、どういった経緯で馬越さんを選んだんですか?

長濱:
馬越さんは自分が関わった人の中で「最もアニメーターらしいアニメーター」ですね。たとえば蟲師では漆原友紀さんの絵を再現していますが、そのときに「自分の漆原友紀」を出そうと思わないんです。意識して盛り込んだら自分のテイストでもなんでもないですから、自分のテイストというのは、徹底的に再現しようとすると、自然とにじみ出してくるものなんです。ダシみたいなものですね、その人につけていたらそれが出てくるんです。馬越さんは言ってしまうと自分のチェックを全部すべて再現して自分の中でアウトプットするので、描いてくれた瞬間に馬越さんの絵になっているんですけれど、馬越さん自身は自分で描いているつもりはたぶんほとんどないんです。「あなたの言うとおり描いていて、なぞってるだけだよ」って言うんです。でも、全然違うものができあがりますから。

G:
そんなことを言うんですか?(笑)

長濱:
馬越さんはいつもインタビューでも言うんです、「ただなぞってるだけですよ」「元がありますからね」とかね。レイアウトを俺が描いて、それをもとに馬越さんが描いたものを「カッコイイ」って言ったら「あんたのなぞっただけだよ」って。ぜんぜん違うんですけれど、ぼやっとしたレイアウトから生みだしたものでも、彼にとっては「なぞる」なんですよね。一から生みだしたわけではないから。

G:
なんと凄まじい……。

長濱:
本当に凄まじい人です。だから、今回は絶対にあの人のキャラクターデザインでやろうと考えていました。

G:
なるほど、納得です。今回、「THE REFLECTION」にはスタン・リーを全部詰め込んだという感じになっていると思いますが、アメコミを知らない人だとわからないものも出てくると思います。だからこそ、これはわかって欲しいなと思っているものというのはありますか?

長濱:
いっぱい入りすぎて……(笑) たとえば、ストーリーは「これがアメコミなのかな」って思う人はいるかもしれませんね。俺は漫画で天地がひっくり返るような話が好きだという話をしましたが、アメリカンコミックってそういうところがあって、「ヒーローががんばって敵を倒す」という物語が順当に用意される作品ってあまりなくて、頑張ってヒーローになろうとしているけれどなれないとか、良かれと思って戦っていたのによからぬ結果を招くとか。スパイダーマンだと、良かれと思ってドクター・オクトパスを止めていたら、ヒロインのグウェンのお父さんに破片が当たって死んでしまうんです。自分が活動することで誰かが悲しむとしたらスパイダーマンって一体何なんだと直面することになる。そういう、見ていて安心できないところはアメリカンコミックにもとからあるテイストで、スタンも大事にしてきた部分です。

G:
それはもう第1話からそういうテイストはあると。

長濱:
はい。なので、見ていて第1話だと「ん?」と思う部分はあると思います。演じる役者さんには、どういうきっかけで能力を持ったかという説明も個別に行っているので、大したことがないセリフでも、その端々には滲んでくるものがあります。そういうところまで見てもらえたら「この子ってこういう目に遭ってたのか」とか「なぜそこで顔を曇らせるんだろう」とか、たくさん用意されています。……でも、最後まで見たら全部明かされると思っていたら、それもまた大間違い(笑)

G:
なるほど(笑)

長濱:
ここもアメリカンコミックらしくて。全部読んだからといって全部の秘密が解き明かされるわけではないんです。なので、どんな形であれ次の展開に持って行きたいというのがスタンと自分の希望です。それはコミックでもいいし、アートスタイルも何もかも違うような「THE REFLECTION」の一部だと思えないような作品でもいいと思っています。かわいい女の子たちがいっぱい出てくるところにリフレクションが起こるとかでも面白い。アイドルもので、ステージ中にリフレクションが起きて、能力を持った人間、何も起こらなかった人間、死んだ人間が出てくるとかね。いろんなところに持ち出せるものにできたと思います。

G:
今回放送される「THE REFLECTION」は、その大きな枠組みの中の1つの作品だということですね。

長濱:
そうです、そこでキャラクターをここまで絞りました。メインビジュアルに描かれているエクスオン、アイガイ、エレノア、そしてリサです。この4人の後のことがわかっているので、俺の中ではこいつらの会話をしていても含みが出ちゃうんです。エクスオンの場合は謎のヒーローですが、演じる三木眞一郎さんにはプロフィールを全部明かしています。だから、三木さんはエクスオンの経歴をすべて知った上で芝居をしています。

G:
なるほど、非常に楽しみです。本日はありがとうございました。

これを描くためにほぼ徹夜作業だったというビジュアルを手にした長濱監督


テレビアニメ「THE REFLECTION -ザ・リフレクション-」はNHK総合で、2017年7月22日(土)23時放送開始。あくまで1つのユニバースの一部分を切り取った作品ということですが、長濱監督とスタン・リー氏の中にはこの先の展開が大きく広がっているので、ぜひ楽しんでください。

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