なぜ女性は筋トレをしないといけないのか

by Brandon Binkwilder Santana

ウエイトトレーニングなどの筋トレは、ボディービルダーのようなマッチョな男性が行っているイメージで、「筋骨隆々になると困る」という理由から避けている女性も多くいます。しかし、女性こそ筋トレを行うべきであり、「有酸素運動と筋トレからどちらか1つを選ぶとしたら筋トレである」という意見も。疾患リスクを下げる、骨粗鬆症になりにくくする、ポジティブな思考が可能になるなど、数々のメリットがあるとして、Time.comが実例とともに解説しています。

Weight Training for Women: Strength Training Is Important | Time.com
http://time.com/4824531/strength-training-women-exercise/


精神科医であるDena Oaklander氏は生まれつき痩せ形で、性格は引っ込み思案であり、ジムに行ってトレーニングを行うタイプではありませんでした。医師であるOaklander氏は病院と自宅の往復を行うのみの日々を送っており、自由時間は睡眠にあてるので精一杯で、肉体・精神ともに不調を感じていました。一方で、診療の際には医師としては患者に「運動の重要性」を説かねばならず、次第に運動していない自分を偽善者のように感じるようになったとのこと。

そこで、かねてから自分が患者に言っていたように、自分もトレーナーをつけて筋トレを開始することに。するとウェイトリフティングを行うようになって1カ月もしないうちに、多くの睡眠時間を取らなくても自分がエネルギーに満ちた状態であることに気づきました。同様に、ストレスも感じにくくなり、体が引き締まっていくのもわかったといいます。

Oaklander氏のトレーナーであるSue Clark氏は、筋トレを行うことでOaklander氏のように生活の質を上げることができた例をこれまでにも見てきた人物。「筋トレを行うと肉体の変化を越えて、全く新しいペルソナが現れ、自分の肉体に対して自信を感じられるようになるのです」と語っています。

アメリカの女性はエアロビクス運動のような有酸素運動を好む傾向にあり、筋トレを行っている人は少数派です。しかし、筋トレと有酸素運動をどちらかを選ばなければならないとしたら、筋トレを行うべきだとClark氏は勧めています。有酸素運動は体が慣れてくると効果を得るためにはより強度の高い運動をする必要があるため運動時間も長くなりますが、筋トレは限られた時間で効率的に効果が得られるというのがClark氏の考えです。

運動科学を研究するLarry Tucker教授は「筋トレには多くの誤解があります」と語っています。Tucker教授の言う誤解の1つが、筋トレをすると「筋肉が硬くなる」ということ。これは、ボディビルダーが筋骨隆々であることからついたイメージかもしれませんが、実際のところ、運動選手が筋トレを行うと、ボールを遠くまで飛ばせるようになり、高くジャンプできるようになり、早く走れるようになり、筋肉が「硬い」というイメージとは正反対の動きを見せるようになります。筋肉が大きくなることで、人はより「動ける」ようになるのです。

by Scott Webb

普段の生活でも階段を上る・たくさん歩く・赤ん坊を抱き上げる、といった動作で筋肉を強くしていくことは可能ですが、オフィスワーカーのように座りがちの生活を送っていると、筋肉は時間の経過とともに弱っていきます。そこで、筋肉が弱体化するプロセスに対抗する形での筋トレが必要になるわけです。

また、骨密度の低下と骨質の劣化により、骨折などが起こりやすい状態になることを骨粗鬆症と言いますが、女性は男性に比べて骨粗鬆症のリスクが高いと言われています。アメリカでは1000万人が骨粗鬆症であるとのことですが、実はその80%は女性。女性はもともと男性に比べて骨が小さく細いのですが、閉経すると骨をからカルシウムが溶け出すことを抑制するホルモン「エストロゲン」の多くが失われてしまうために、骨粗鬆症のリスクが高まるのです。

ではどうすれば骨の密度を上げることができるのか?というその解決策の数少ない1つが筋トレ。ダンベルのような重い物を持ち上げたりすることで、骨に負荷をかけ、ストレスを与えることで骨の強度を上げていくことができます。

また、筋トレによって薬に頼ることなく体の代謝を上げることが可能であり、インスリンにより敏感な体を作って、いくつかの病気のリスクを下げることも可能とのこと。

by freestocks.org

2017年1月に発表された研究では、筋トレは女性が2型糖尿病と心疾患になるリスクを減らすという調査結果が出ました。この研究はハーバード大学医学大学院とアメリカ国立衛生研究所の研究者らが47歳から98歳の女性約3万6000人のデータを分析したもの。被験者となった女性らは約10年にわたって自分たちが行っている1週間あたりの運動のレベルや筋トレの程度に関するアンケートに答え、その後、研究者らは女性ら心臓発作や2型糖尿病に関する医療記録を追跡しました。

その結果、筋トレを行っている女性たちは筋トレを避けている女性に比べてBMIが低く、健康的な食生活を送っており、調査が行われた時点では喫煙者が少ないことが判明しました。加えて、筋トレを行っている女性は2型糖尿病のリスクが30%、心疾患のリスクが17%、筋トレを全く行っていない女性よりも低かったとのこと。もちろん、研究者は調査に際して年齢・食生活・活動レベルなどを考慮に入れましたが、それでも筋トレが女性の疾患リスクを下げるという結果には変わりなかったそうです。

このとき、筋トレに加えて有酸素運動を加えると効果が高まることがわかっており、週に120分の有酸素運動&筋トレを行うと、何もしていない人に加えて2型糖尿病のリスクが65%低くなることがわかりました。つまりベストな形は、筋トレと有酸素運動の両方を行うことであるわけです。

筋トレというとジムで仰々しい器具を使って行うイメージですが、専門トレーナーも不要で、自宅でできる筋トレもあります。エクササイズ用のバンドを手足に使って動かせば重い器具なしで筋肉を鍛えることが可能です。

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筋トレの若者だけではなく、高齢であっても効果を得ることが可能。2017年の研究では肥満である60歳の女性がエクササイズ用のバンドを使って3カ月間トレーニングを行ったところ、体脂肪率の低下と骨密度の上昇が報告されました。また、専用の道具を買わずとも、イスに座るギリギリのところまで腰を下ろして再び立ち上がるという動作や、ジャンプ、ウォーキングといったことでも、強度を調整すれば筋トレとして行うことができるそうです。

どのような筋トレをどれくらいの程度行えばいいのか?というのは、筋トレを行う女性によって異なります。筋トレを始め、のちにボディビルのコンテスト出場することを目指すようになったOaklander氏は、筋トレについて「見た目がよくなるだけではなく、自分に自信を与えてくれました。筋トレを行うことで、よりポジティブな考え方ができるようになったのです」と語っています。

by Anita Tarnowski

かつて運動の重要さを患者に語る度に自分を偽善者のように感じていたOaklander氏ですが、今では心から運動の重要性について語れるようになったといいます。もちろん全ての人がOaklander氏のようにボディービルダーを目指す必要はありませんが、筋トレで体を強くすることで困難に対処できるようになり、よい気分で過ごすことが可能になるとしています。

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