脳トレアプリ「Lumosity」に脳の機能を強化する効果は全くないことが判明


神経科学者が考案した記憶力と注意力を強化する脳トレアプリ「Lumosity(ルモシティ)」をプレイした後に脳の認知能力にどのような変化が現れるかを調査した結果、Lumosityをプレイしても、通常のビデオゲームをプレイした後と同じで、認知能力に何の影響もないということがわかりました。

No Effect of Commercial Cognitive Training on Neural Activity During Decision-Making | Journal of Neuroscience
http://www.jneurosci.org/content/early/2017/07/10/JNEUROSCI.2832-16.2017

Study: Lumosity boosts brain function as much as normal video games—by 0% | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2017/07/study-lumosity-boosts-brain-function-as-much-as-normal-video-games-by-0/

Lumosityは科学者によって考えられた脳のトレーニングゲーム。世界中で8500万人以上のユーザーにプレイされ、iOSAndroid向けに公開されているアプリはそれぞれ高評価のレビューを得ています。Lumosityの独自研究では、プレイ後の人は認知能力の総合的な査定において向上が見られたそうです。


ペンシルベニア大学の心理学者であるジョセフ・ケーブル氏率いる研究チームは、Lumosityのような脳トレーニングゲームが脳を活性化させることで、意志決定やリスクの選択といった能力が強化され、潜在的にアルコール依存症や食べ過ぎのような不健康な習慣にいい影響を与えるのではないか、という仮説を立てました。過去の研究では脳の実行機能を司る領域が向上すると、より良い報酬決定を行い、リスクの低い選択ができるようになることがわかっています。ケーブル氏らは、脳トレゲームがこの研究の後押しになるかもしれない、と考えたわけです。

研究チームはランダムに選ばれた128人の若者を集め、Lumosityを1回30分間、週に5回、10週間にわたってプレイするグループと、脳のトレーニングとは全く関係のないビデオゲームを同じ頻度でプレイするグループに分けました。それぞれゲームをプレイする前に認知能力テストを受けていたのですが、10週間後に認知能力テストとfMRIで脳機能の変化を調べた結果、どちらのグループにも脳の認知機能の向上はほとんど確認されなかったとのこと。


両グループとも認知能力テストの成績がわずかにですが向上する傾向が見られたため、研究チームは追加で35人の参加者からなる「何もしないグループ」を作成。10週間の前後で認知能力テストを受けさせた結果、何もゲームをしなかったグループでも認知能力テストの結果が向上。これは、脳トレやビデオゲームの影響ではなく、認知能力テストを受けるほどに成績が良くなるという結果を示しています。

今回の調査では脳トレゲームが脳の認知機能に何の影響をもたらさないことを示しましたが、参加者は平均年齢25歳の若者だったため、「老人や中毒・不健康な習慣に苦しむ人に対しては効果を発揮する可能性がある」と研究チームは述べています。なお、Lumosityは以前にも「脳力トレーニング」の効果が認められず、アメリカ連邦取引委員会から200万ドル(約2億4000万円)の罰金処分が下されています。

「脳力トレーニング」の効果が認められずサービス提供企業に約2億円の罰金処分が下される - GIGAZINE

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in ソフトウェア,  サイエンス,  ゲーム, Posted by logw_ny