31万5000年前の世界最古のホモ・サピエンス(現生人類)がモロッコで発見され、これまでの定説が覆る結果に


これまでは「最古の現生人類は20万年前の東アフリカを起源とした」という考えが定説でしたが、それを覆す頭蓋骨の化石がモロッコで発見されました。今回の発見によって、最古の現生人類は約31万5000年前に、東アフリカだけでなくアフリカ大陸の他の場所にも存在していた可能性が示されました。

Oldest Homo sapiens fossil claim rewrites our species' history : Nature News & Comment
https://www.nature.com/news/oldest-homo-sapiens-fossil-claim-rewrites-our-species-history-1.22114


Oldest Fossils of Homo Sapiens Found in Morocco, Altering History of Our Species - The New York Times
https://www.nytimes.com/2017/06/07/science/human-fossils-morocco.html

今回新たに化石を発見したのはドイツのマックスプランク進化人類学研究所に所属する古人類学者ら。この発見は2017年6月7日付けのNatureで発表されました

これまでに確認されていた最古の化石は、エチオピアのHertoで発掘作業を行っていた研究者らが2003年に発見した15万4000年~16万年前の頭蓋骨と、同じくエチオピアのOmo-Kibishという場所で発見された19万5000年前の頭蓋骨の一部でした。エチオピア国内の近い場所で化石が発見されたため、最古の現生人類は比較的狭い地域で進化を遂げた後にアフリカ大陸の各所へと広がり、その後、別の大陸へと移っていったという考えが定説でした。

一方、モロッコでは1961年ごろからJebel Irhoudという場所で頭蓋骨や石器などが発見されていましたが、当時はこれらの化石が4万年ほど前のネアンデルタール人のものだと推測されていました。しかし、1980年代に古人類学者のJean-Jacques Hublin氏が、化石のうち顎骨に着目した調査を開始。発見された歯の形は現在の人類に似ていたものの、非常に原始的な形をしていることに気づきます。そして、さらに調査を進めたところ、2004年にはJebel Irhoudの地層から頭蓋骨と、頭蓋骨と同時代のものと思われる石器を発見。これらの石器には火を用いた跡があったため、Hublin氏らが熱ルミネッセンスによる年代測定などによる複数の測定を行ったところ、石器がおよそ30万年前のものであると結論づけられました。つまり石器と同時期のものとして発見された頭蓋骨もまた、30万年前のものだというわけです。


モロッコのJebel Irhoudで発見された現生人類は、現代の人類よりも眉宇が大きく、顎が小さく、平坦で幅広な顔をしていますが、全体としては現在の人類と似通っているとのこと。「あなたが地下鉄ですれ違うような顔です」とHublin氏は語ります。一方で、脳の形は現在の人類と大きく異なっており、初期のヒト族のように細長い形でした。

今回の研究で31万5000年前のものだとされた化石と似たような化石は、アフリカ大陸の各地域で発見されており、研究者らは、現生人類がアフリカ全土でネットワークを形成していたのではないか、という可能性について議論を行っています。

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in サイエンス, Posted by logq_fa