ダイエットする時に「断食」に頼りすぎないほうが良い理由が脳科学で確認される


気になる体重の増加をなんとかするために、食べ物の量を減らすことで体内のエネルギーを枯渇させ、体内の脂肪を燃焼させようとする「断食」に近いダイエット方法がとられることがあります。しかし、マウスを使った実験からは、動物の体には食べた量が少なくなると、体内で消費するエネルギーの量を少なくする回路が備わっており、極端な断食は逆効果であることが裏付けられています。

mTORC1 in AGRP neurons integrates exteroceptive and interoceptive food-related cues in the modulation of adaptive energy expenditure in mice | eLife
https://elifesciences.org/content/6/e22848%20

Why our brain cells may prevent us burning fat when we're dieting
https://medicalxpress.com/news/2017-05-brain-cells-fat-dieting.html

ケンブリッジ大学・代謝研究ラボの研究チームはマウスを使った実験を行いました。脳の視床下部にあるニューロン(神経細胞)の一種で、食欲の出現に関連している「アグーチ関連ペプチド(AgRP)」の働きを調査したところ、体内に取り込まれるカロリー量が少ない場合には、エネルギー消費を減らして体重の減少を抑えるメカニズムが存在することを研究チームは確認したとのこと。

研究チームは、遺伝子操作技術を用いることでマウスの体内でAgRPの働きをオン・オフできる状態を作りだし、ニューロンの働きがマウスにどのような影響を与えるのかを調査しました。マウスは特殊な容器の中に置かれ、消費したエネルギーの総量を正確に測定できる環境が整えられていたとのこと。また、体温を外部から測定することでも、エネルギーの消費を測定する方法がとられたそうです。

研究からは、AgRPは体内で消費されるカロリーの量を決定し、燃焼するエネルギーの量を決める「サーモスタット」のような働きを示していることが明らかにされています。AgRPが活性化すると、動物は食欲を感じて食べ物を採って体内でエネルギーを消費しようとします。しかし、食べ物を見つけられない状況におかれると、このニューロンが大人しくなることで体内でのエネルギー消費が抑えられることにつながるとのこと。つまりこれは、体内でエネルギーが消費されず、脂肪に蓄えられたエネルギーが消費されなくなるという状況につながります。


研究を率いたクレメンス・ブルエ博士は「研究からは、脳内にある複数のニューロンが連携することで食欲とエネルギー消費量を制御していることが示されました。食べ物がある時は、これらのニューロンは私たちに食べることを促しますが、食べ物がないときは、私たちの体をある種の『セーブモード』に入れることでエネルギーの消費を抑えようとしています」と語っています。

食べ物がある時は食べ、ない時にはエネルギー消費を抑えるというこの回路の仕組みは、生き物が飢餓状態でも長く生きて生存競争に勝ち残るために身に付けてきたものと言えます。論文の主執筆者であるルーク・バーク博士は「この研究成果は、過食症と肥満に対する対処療法を作る上での参考になる可能性があります。それまでの間、体重を減らしたい人に対する最良の対処方法は、いくつかの運動を組み合わせることと、カロリー摂取をほどほどに控えることでしょう」と付け加えています。

研究チームによる論文は、以下のリンクから参照することが可能です。

mTORC1 in AGRP neurons integrates exteroceptive and interoceptive food-related cues in the modulation of adaptive energy expenditure in mice | eLife

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