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Waymoが初の一般市民を対象とした自動運転車の走行テストを開始して参加者を募集中


Googleから独立してAlphabet傘下となった自動運転車開発企業・Waymoが、一般市民を対象とした自動運転車の試験サービスをアメリカ・アリゾナ州フェニックスで開始します。これまで自動運転車に乗れたのは同社の社員あるいは契約開発者に限定されていて、一般の人が触れる機会はほとんどありませんでしたが、ついに所定の手続きと審査さえクリアすれば「自動運転車の乗車体験」をできる段階に入っています。なお、試験サービスなので体験料・使用料などは不要だとのこと。

Alphabet's Self-Driving Cars to Get Their First Real Riders - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-04-25/alphabet-s-self-driving-cars-to-get-their-first-real-riders

Waymoが「early rider program」と名付けているこの試験サービスは、アリゾナ州の州都フェニックスとその郊外に位置するテンピ、メサ、ギルバート、チャンドラーの各地区に住む18歳以上の住民を対象にスタートするもの。希望者はWaymoのサイトから郵便番号を入力したうえで申し込み、審査を受けて登録されるとサービスを利用できるようになります。


テストに使われる車両は2種類あり、1台はクライスラー製のハイブリッドミニバン「パシフィカ・ハイブリッド」です。Waymoは2016年にクライスラーと提携して、専用のソフトウェアとハードウェアを組み込んだパシフィカ・ハイブリッドを100台用意していましたが、今回のサービスにともなって500台を増車することになっています。


そしてもう一台が、こちらも自動運転用に改造が加えられたレクサスのハイブリッドSUV「RX450h」です。WaymoがまだGoogle内のプロジェクトだったころから使用されてきた車両として知られています。

By Ed and Eddie

一般市民に門戸を開くことで、Waymoは自動運転車が使われるシーンの種類を拡大してさらに多くのデータを取得することを目指しています。Waymoのジョン・クラフシックCEOは「我々はいま、Google内だけでなく実際の人々がこのテクノロジーをどのように使うのかを見極める重要な地点に差し掛かっています。我々が目指しているのは、市民のみなさんが全ての移動で我が社の自動車を使ってくれることです」と語っています。

自動運転車をめぐっては、テスラが「オートパイロット」機能をリリースしているほか、トヨタやボルボ、フォード、メルセデスベンツなど世界の自動車メーカーが軒並み開発を加速している状況。また、自動車配車サービスのUberは、自動運転技術に関する企業秘密を元従業員に持ち出されたとしてWaymoから訴えられるという事態にも発展しています。

モルガン・スタンレー証券のアナリストは今回の動きについて、「Alphabetが置かれている不利な状況を補うためのものだろう」と指摘しています。自動運転技術の開発には走行距離とデータの多さが不可欠で、それらを分析することでより優れた技術が生みだされるのですが、Waymoはそのデータに関して他社に後れを取っている状況とのこと。Uberでは、世界中に配備されているドライバーが1日あたり1億マイル(約1億6000万km)という総走行距離とデータを集めています。また、テスラも同様の方法で500万マイル(約800万km)、トヨタも270万マイル(約430万km)の走行とデータを毎日取得しています。しかしWaymoはこれまでの総走行距離が300万マイル(約480万km)と、他社に比べて大きく後れを取っている状況にあります。


一般市民を対象にしたこのプログラムですが、開始してしばらくの間は安全性を考慮してWaymoのスタッフが運転席に座り、利用者は助手席や後部座席に座るようになっています。しかしこの措置は一時的なものになるとみられ、クラフシック氏は最終的にスタッフなしでの運行を目指していると明らかにしています。

また、利用の際には料金の支払いは必要ないとのこと。つまり、無料で自動運転車を利用してエリア内を移動することができるというわけですが、利用後には感想や意見をフィードバックしてWaymoの調査に協力する必要があるとのこと。利用申請は以下のサイトから行うことができますが、当然ながら日本からは手続きを進めることはできませんでした。

Early Rider Program – Waymo

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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