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マレーシア航空が人工衛星を使って地球の全エリアで航空機を追跡するシステムを導入

By aceebee

2014年に起こったマレーシア航空370便墜落事故は乗客乗員合わせて239人の死亡者を出す大きな事故で、航空機の失踪から後の足跡が一切不明という謎の多さでも記憶に残る事故となっています。この事故を起こした機体を運航していたマレーシア航空は、世界初となる人工衛星を用いた機体位置追跡システムを導入することを発表しました。

Corporate Info - プレス・リリース - Latest - 18 Apr 2017 | Malaysia Airlines
https://www.malaysiaairlines.com/jp/ja/corporate-info/press-room/2017/global_flight_tracking.html

Malaysia Airlines First to Track Fleet With Satellites - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-04-18/malaysia-air-is-first-airline-to-track-planes-with-satellites

マレーシア航空は2017年4月18日、人工衛星を使った航空機トラッキングソリューションを提供するSITAONAIR、Aireon、FlightAwareの各社と提携して全地球上で同社の航空機の位置を把握するシステムを導入することを発表しました。この対策によりマレーシア航空は、従来はまず不可能だった洋上の航空機の位置をほぼリアルタイムで把握することが可能になります。


これまでにも航空機には、自機の位置や識別記号、対気速度、航空機の上昇、降下などを知らせることができる「ADS-B」と呼ばれる装置が搭載されており、無線を使って地上の基地局に情報を送信することで管制官や各航空会社に機体の状況を知らせることが可能でした。また、この仕組みを利用した「Flightrader24」は誰でもネットで利用することができます。

リアルタイムで航空機がどこを飛んでいるのか地図上で分かるフライトレーダー - GIGAZINE


ただ、従来のADS-Bは地上の基地局の存在が必要なため、陸から離れた洋上を飛行中の航空機はトラッキングできないという弱点がありました。そこで今回マレーシア航空が導入するのが、ADS-Bを人工衛星を使って受信することでトラッキングできない領域をなくすシステムです。これは、FlightAwareが提供している航空機のリアルタイムトラッキング情報に、Aireonが提供する人工衛星を用いたトラッキング情報をプラスすることで、SITAONAIRが提供している「AIRCOM FlightTracker」と呼ばれるサービスを強化するという構成になっているとのこと。このシステムを使うと、既存の機体に装備をする必要がないというのもメリットの1つとされています。

Aireon - Space-Based ADS-B Global Air Traffic Surveillance


これは、2014年に発生した「マレーシア航空370便墜落事故」を受けた対策の1つ。機体の状況をリアルタイムで把握することで状況を可視化し、事態の発生を防ぐとともに、万が一の際にも捜索をいち早く行うことが可能になると期待されるところです。

マレーシア航空370便墜落事故 - Wikipedia

ただし、この事故の際にはパイロットが意図的に自機の位置を知らせるシステムの電源を落としていたとも言われており、人為的な行為があった場合にどのようにして情報の欠落を防ぐのかという対策はこれからも必要かも。同様のサービスとしては、イリジウム社が人工衛星「インマルサット」を使ったトラッキングシステムを提供しているほか、ロックウェル・コリンズ社がAirincと呼ばれるサービスを提供しています。

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in メモ,   ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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