プリント済みの紙を切って貼って調整すると競技用紙飛行機が作れる「よく飛ぶ競技用機」で紙飛行機を作ってみた


子どものころに折り紙で「紙飛行機」を作った記憶がある人は非常に多いはずですが、そこからさらに競技の世界へと足を踏み入れた人はあまり多くないはず。子ども向けの科学誌「子供の科学」で、紙飛行機の第一人者・二宮康明氏が49年にわたって連載してきたおよそ3000機におよぶオリジナル設計の紙飛行機を集めたムックが誠文堂新光社の「二宮康明の紙飛行機集 よく飛ぶ競技用機」シリーズです。今回は、その最新刊となる「よく飛ぶ競技用機III」の中から実際に1機を作ってみました。

株式会社誠文堂新光社 / 二宮康明の紙飛行機集 よく飛ぶ競技用機
http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=5039

実際に組み立ててみた紙飛行機はこんな感じ。巻末のボール紙に印刷された設計図どおりに切り抜き、接着剤を使って組み立てるだけで競技レベルに使えるという紙飛行機を作り上げることができました。


上記の紙飛行機は、以下のムックを使って1から組み立てていったもの。ムックのシンプルな装丁からは、「飛ばすことだけ考えてます」といった雰囲気すら感じます。


この1冊には10機分のデザインが含まれています。


ページを開くと、掲載されている機体の一覧。


うち2機は胴体を木材で作る「棒胴機」になっており……


残りの8機が全て紙で作る「全紙製機」となっています。


全紙製機を作成するのに必要な材料は、この本の他にバランス調整用の「板なまり」、「接着剤」、そして発射用の「糸ゴムと棒」となっています。また、棒胴機の場合は胴体用の「バルサ材」と「クリップ」となっています。


また、いずれも製作用にハサミや定規、ピンセット、カッターなどの工具が必要。さらに、棒胴機の場合はペンチやキリ、ヤスリが必要になってきます。


本文中には詳細な機体の調整のしかたや……


実際の飛ばしかたなどが実に細かく記されていました。


さらに、二宮氏が使っていたという、紙飛行機運搬用の専用キャリングケースの設計図も。機体を洗濯ばさみで吊すことで、運搬時に機体にダメージが及ぶことを防ぐ仕組みになっています。


掲載されている10機の機体の部品は、それぞれ見開き2ページの紙に印刷されています。


機体ごとに組み立て説明書があるので、記載の内容にしたがって慎重に組み立てていけばOKです。


今回は、オーソドックスなデザインが取り入れられている「ソアラー型・MOST主翼」を持つ「競技用機(N-3030)」を作ってみます。なお、「MOST主翼」は中央の形が「鞍(くら)」に似ているところから名付けられた「Modified Saddle Type」が語源の翼で、二宮氏オリジナルのもの。


組み立てるにあたり、記載の工具の他に機体を保持する治具(ジグ)として使う角材やクランプなどを用意しました。


まずはMOST主翼の組み立てから。翼に必要なパーツが1ページに集められています。


直線部分は定規とカッターを使い……


曲線部分は、カッターやハサミを使い分けて切り抜いていきます。


全てのパーツを切り抜き完了


主翼は2枚のパーツを組み合わせて作ります。


小さい方の部品を裏返し、一面にセメダインを均等に塗ります。この時、紙の端材を使って塗り広げるように記されています。


そして2枚を貼り付け、乾燥させます。


接着時は上からよく2枚がくっつくように押しつけることが重要。可能であれば本の間に挟むなどして、完全にフラットな状態で乾燥を行うのがベター。


折曲げが必要なパーツは、このように定規を組み合わせてキッチリ折り目をつけることで、正確な組み立てができます。


主翼を乾燥させつつ、今度は胴体の制作に。胴体は別の1ページに収められています。


ひとまず、最初に組み立てるパーツを用意。この本では、確実に組み立てを行うために十分な時間をかけて作ることが推奨されており、この機体の場合は3~5日かけるように記されています。


主翼と同じようにセメダインを塗り、4枚をピッタリと重ね合わせます。ただし、このままでは乾燥時に曲がってきてしまうかもしれないので……


2本の角材に緑色の養生テープを貼り、機体を挟みこむことにしました。


そしてクランプを使って機体をガッチリ挟みこんで保管。このまま1日程度放置して、しっかり乾燥させます。


真っ直ぐな角材で挟むことで、真っ直ぐな機体ができあがる……ハズ。


乾燥したらさらに2枚のパーツを外側に接着して胴体が完成。


狙いどおりにピシッと真っ直ぐな機体が完成しました。


併せて、左右の翼を合体させて1枚の主翼を作ります。


翼には15度の上反角をつけることが決められています。パーツと一緒に用意されている専用のゲージを使って角度を合わせます。


また、翼全体に湾曲(キャンバー)をつけておきます。


そしていよいよ、胴体と主翼、水平尾翼の合体。治具で機体を挟んで固定しておき……


慎重に主翼を接着。この時、左右どちらかに主翼が傾いてしまわないように細心の注意が必要です。


そして、一回り小さな水平尾翼も接着。これで機体はほぼ完成です。


この時点でゆがみがあると修正が大変なので、できる限り精密に組み上げることが肝要。


接着剤が乾燥したら、前後の重量バランスの調整に入ります。ピンセットをたて、その上に機体を載せます。機体には所定の重心位置が記されているので、そのマークとピンセットの先を合わせます。


ここで使うのが「板なまり」です。板状に加工された鉛の板で、手で曲げたりハサミでカットしたりが可能です。主に釣具店などで売られています。


板なまりを、機首にあけられたスペースに詰めて重さを合わせていきます。


この調整はトライ&エラーの連続。重りを入れすぎてしまうとこのように機首が下がってしまうので、重りの量を減らします。


機体が水平で安定するようになったら調整はOK。なお、ピンセットの位置と重心マークがズレているように見えますが、これは撮影時のアングルによるもので、実際には真横の位置でのせてあります。


グライダーのような、伸びやかな形状の機体が完成しました。


翼を広げて今にも飛び立ちそうな機体。さっそく公園に持ち出して飛ばしてみます。


専用のキャリングケースは用意できなかったので、角材で機体を挟んで輸送中に曲がらないように保護。


ムックによると「試験飛行は風の静かなときを選んで行う。もし少しでも風があれば正しく風に向かって投げるようにする」とのことだったので、広い公園にやってきて、風がないタイミングを見計らって飛ばしてみました。ムックに記載してある操縦法と、棒の先にゴムをつけたカタパルトを使って飛ばす方法の2パターンを試してみましたが、カタパルトで勢いよく空中に飛ばすほうが、特に慣れないうちは飛ばし方が安定して良さげです。


実際に飛ばしてみるとこんな感じ。以下のムービーでは公園で飛ばし始めた直後で飛行機の翼の向きの調整が全くできていないため、すぐに墜落してしまっています。このあとしばらく調整を続けましたが、初フライトでは本来の性能は発揮できず。ただ、公式サイトによると「1分以上飛び続けることも可能」で、13分という飛行時間を記録した人もいたそうです。

「二宮康明の紙飛行機集 よく飛ぶ競技用機」の紙飛行機初フライト - YouTube


実際に飛ばしてみると、競技用紙飛行機がじつに繊細なものであることを実感することに。風はほとんどないはずなのですが、機体が軽量であるためにわずかな風にも影響を受けてしまいます。そのため、本格的なチャレンジを行う際には、多くの競技がそうであるように体育館の屋内などで実施すべきです。ほんのわずかな翼の角度が飛行姿勢に影響を与えてしまうので、調整は一筋縄ではいかず非常に「やりがいのある」作業。試行錯誤を繰り返しながら競技用紙飛行機の奥深い世界を垣間見ることができます。


競技の世界を体感できる「二宮康明の紙飛行機集 よく飛ぶ競技用機」は、最新版となる「新10機選7」が販売中。Amazonでは全10機が含まれるムックをわずか756円で購入することができます。

二宮康明の紙飛行機集 よく飛ぶ競技用機III: 新10機選7 | 二宮 康明 |本 | 通販 | Amazon

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