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iPhoneを中国・深センで買い集めた部品を使ってイチから組み立てるとこうなる


世界最大級の電子部品を販売する電脳街「中国・深圳(深セン)」では、iPhoneやAndroid端末に関するありとあらゆる部品が手に入ります。深センで部品を買い集めてイチからiPhoneを作ることにチャレンジした人が、その一部始終を記録したムービーを公開しています。

How I Made My Own iPhone – in China! | Strange Parts
https://strangeparts.com/how-i-made-my-own-iphone-in-china/

深センで部品を買い集めて、イチからiPhoneを組み上げる様子は以下のムービーで確認できます。

How I Made My Own iPhone - in China - YouTube


中国にある深セン。電子部品を売る店が秋葉原の数十倍規模で集まる、世界最大の電脳街です。


9カ月前に中国にやってきた、元Googleソフトウェア開発者のScotty Allenさん。深センのスマートフォン市場の規模に圧倒されたAllenさんは、ふと「部品を買い集めてイチからiPhoneを組み立てられないだろうか?」と思い立ったとのこと。


深センのマクドナルドではスマートフォンを修理している人がちらほら。


電脳ビルにはスマートフォンなどの電子機器を修理する店がわんさかあります。


さっそく部品を買い集め始めたAllenさんが訪れたのは、路上でパーツを売る人たち。


iPhoneのケースが大量に売られています。


これらは中古のiPhoneから取り出されたパーツ。本物ですが、あくまで中古品なので、新品のiPhoneを組み上げたいというAllenさんの目的には沿いません。


ある電脳ビルにあったとある店。ガラスケースにはiPhone 7 Plus用のケース。しかし、よく見るとAppleロゴはなし。


iPhone 6s用のケースが欲しいと告げると、店員はどこかに電話をかけ始めました。


「いくつほしいの?たった1つ?」


違う店でローズゴールドカラーのiPhone 6sケースを発見。店員は「中のボタンもいるのかい?」


「いくつ欲しい?」と同じ質問。


「たった1つ?」と同じ反応。ちなみに深センではバラ売りは非常にめずらしく、Lightningケーブルが欲しいと言えば100本単位で渡されることは、「スマホ・PC・ドローンなど秋葉原30個分の規模であらゆるガジェットが手に入る深センの魔窟・電脳エリア『華強北路』に行ってきました」という取材で深センを訪れたGIGAZINE編集部員が確認済みです。


こうしてフィルムが貼り付いたままの新品状態のiPhone 6sのケースをゲットしました。


なお、深センでは明らかにApple製ではないiPhoneケースも大量に売られています。


Allenさんは購入したiPhoneケースにレーザーの刻印がないことに気づきました。そこで、また別の店へ。


「アメリカ仕様のiPhoneケースが欲しいんだけど、刻印がないんだ」と伝えると、レーザー加工でUSAマークを入れてもらえました。


マクドナルドで中国人の友人フランクさんと相談。


iPhoneのディスプレイ部分をイチから作りたいと告げると、「ガラスパネル」と……


「デジタイザ入りのLCD」


「バックライト」が必要とのこと。


フランクさんの案内でやってきたのはiPhoneを修理する店。iPhone用のLCDを新品で手に入れるのは非常に難しいため、壊れた中古のiPhoneのディスプレイモジュールから部品を取り外して、他の新品の部品と組み合わせることになりました。


テグスでiPhoneのディスプレイモジュールからガラスパネルを剥がします。


LCDを取り出せました。


さらに特殊な刃物を取り出して……


付着しているフィルムを丁寧に剥がしていきます。


粘着性のあるローラーで表面のチリやホコリを除去。


新品のiPhone用ガラスパネルを取り出して……


LCDに貼り付けます。


ここで、ディスプレイを特殊な機械の中に入れます。


真空引きをしながら加熱することで、ガラスパネルとLCDを一体化する機械だとのこと。


しっかりと貼り付きました。ただし、気泡が入っている箇所を発見。


また別のチャンバーへ。


これは「除泡机」という気泡を吸い出す専用の機械。


気泡のない新品状態のiPhone用ディスプレイモジュールの完成。


次に、新品のバックライトを装着します。


バックライトの取り付けは慎重な作業が必要とのこと。


取り付けが終わると……


専用のテスターと接続。


見事にディスプレイが点灯しました。


タッチ操作もOK。


これでディスプレイをゲット。


なお、深センではたいていの店では現金払いですが、中国のSNSアプリ「WeChat」によるモバイル決済も普及しています。


店員のQRコードを写して……


金額を入力。


タッチIDを操作して、送金完了。


「毎度あり」


次に調達するのは「ロジックボード」。


SoCやメモリなどが付いた、「iPhoneの頭脳」というべきロジックボードは最も新品での入手が困難な部品です。


Allenさんはロジックボードの基板の入手に成功。


ロジックボード4枚分がセットになったもので、iPhoneを製造する中国の工場から流れてきた部品だと考えられます。


基板にはチップはない状態。


深センのショップではチップ類はすべて手に入れられるので、ロジックボードをイチから作ろうというわけです。


Allenさんは、スマートフォン修理技術を教える専門学校の講師に相談することにしました。


修理技術の説明を受けるAllenさん。


とてつもなく小さな部品を手作業で交換するのは高い技術が求められます。


先生によると「技術的には可能だが、極めて難しい」という意見。


Allenさんはロジックボードの自作はあきらめることにしました。


再び深センの電脳ビルへ。


あいにくiPhone 6s用のロジックボードは在庫切れ。


春節が終わる頃には入荷するそうです。


別の店を当たって、目当てのロジックボードを発見。


動作をテストすることはできませんでしたが、店員の女性は「中身は保証する」と話しました。


こうして「中古のロジックボード」


どこでも手に入る「Apple製のバッテリー」


「ディスプレイ」がそろいました。


動作確認をするAllenさん。それぞれの部品を接続します。


Appleロゴが表示されました。


思わず笑みがこぼれるAllenさん。


タッチ操作は可能ですが、ホームボタンがないので操作はやっかいです。


しかし、トラブル発生。コンパスアプリを起動すると……


うまく方位を認識できず。どうやらロジックボードの故障の模様。


「3日以内」の保証期間内なので返金を求めに店を訪れたところ、WeChat経由で返金処理してもらえたとのこと。その上で、「5時に来て。新しいモノをもってくるから」との回答。Allenさんはレシートも何もない、口約束の世界だと深センの取引について述べています。


5時にお店に戻ると、女性は新しいロジックボードを手配していました。無事、ロジックボードの交換に成功。


Allenさんは、「カメラモジュールやケーブル、ネジなどの細かいパーツを集めるのがたいへんなんだ」と、残りのパーツ集めの難しさをカメラに語りかけます。


必要なパーツはノートに書き出しているので、これらを深セン中の店から集めることになります。


しかし、Allenさんにスーパーラッキーが訪れます。


最初に入った店で、iPhone 6sに必要な部品一式が欲しいと伝えると、「全部ある」とのこと。


カメラモジュール


Lightningコネクタやケーブル……


iPhone 6s用のネジ一式


すべてのパーツがそろったAllenさんは、いよいよ組み立て作業に取りかかります。


作業台の上で細かい作業を開始。


ネットの情報を頼りに、難しい箇所をクリアしていきます。


作業の中盤で……


トラブル発生。


ボタンの「クリック感」がないことが判明。


作業は行き詰まりました。


「昨日、この部品を買ったんだけど、クリック感がないんだ」


店員はAllenさんのiPhoneケースを手に取り「どれどれ」とチェック。


「あれだな」と大量のパーツの山の中から……


部品を取り出しました。


足りなかったのは、ピンセットの先の小さな樹脂製の部品。


装着すると、クリック感が現れました。


クリック感を取り戻したAllenさんは、作業を再開。


バッテリーを取り付けるところまでたどり着きました。


ゴールは目の前。


カメラモジュールなどをディスプレイ側に装着。


組み上げて電源ON。


無事、iPhoneは動作しました。


満面の笑みのAllenさん。


「最初は完成させられるとは思わなかった……」と感慨深げに振り返るAllenさん。


iPhoneをイチから組み上げたAllenさんは、深センの「エコシステム」のすばらしさを実感できたと述べています。


このようなバキバキに壊れた部品も、使えるパーツだけ抜き出されて新品パーツを組み合わせて、あっという間に修理できる深センのエコシステムは非常に優れているとのこと。


そして、Allenさんの「One More Thing(もう一つ)」


手にしているのはiPhone 6sの箱。


ケースやイヤホン、充電アダプタ、ケーブル、マニュアルなど一式も深センの電脳街で入手できるそうです。


組み立てたiPhone 6sを入れて……


完成。


すべて自分で部品を買い集めて作った自作iPhone 6s(16GBモデル)にかかった費用は、部品代で約300ドル(約3万2000円)だったそうです。


・つづき
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