乗り物

航空会社の運航に関わる売り上げの8割以上はプレミアムシートの旅客が担っている

by Iwan Gabovitch

旅客機の客席はエコノミークラス・ビジネスクラス・ファーストクラスと、いくつかのランクに分けられています。上に行くほど設備が豪華になる一方でシート自体の数は減りますが、売り上げの8割以上は、このエコノミークラス以外の旅客によるものとなっています。

The Economics of Airline Class - YouTube


ムービーを作成したWendover Productionsでは、ブリティッシュ・エアウェイズを例にとって、航空会社の売り上げがどのような形で出ているかを具体的な数字で示しています。まずサンプルとして用いられたのは、ブリティッシュ・エアウェイズが2016年3月までロンドン・ヒースロー~羽田線で運航していたボーイング777-200ER。座席数は224で、今でもヒースロー~ニューヨーク線で使用されています。


2017年3月15日~22日の、エコノミークラスの往復運賃は876ドル(約10万円)と設定されています。エコノミークラスは122席あるので、満席なら10万6872ドル(約1225万円)。同様に他のクラスについても見ていくと、エコノミーの上のプレミアムエコノミークラスが往復2633ドル(約30万円)、40席あるので満席なら10万5320ドル(約1208万円)。ビジネスクラスは6723ドル(約77万円)、48席で32万2704ドル(約3700万円)。ファーストクラスになると8715ドル(約100万円)。14席なので、12万2010ドル(約1400万円)。

下記図の左(機体後部)から、水色がエコノミークラス、黄色がプレミアムエコノミークラス、赤がビジネスクラス、緑がファーストクラスを示しています。


座席数でいうとエコノミーが122席、それ以外のプレミアムシートが102席ですが、この102席分の運賃を合計すると55万34ドル(約6300万円)で、全体の84%に相当します。


例に出た路線はロンドンとニューヨークを結ぶという需要の高さもあってこの設定となっていて、ほかにプレミアムシートだけで50万ドル(約6000万円)を稼ぎ出すような設定をしている航空会社は存在しません。似たようなルートで、ストックホルム・アーランダ空港~ロンドン・ヒースロー空港~ワシントン・ダレス国際空港を結ぶ路線が存在しますが……


先ほどと同じボーイング777型機で運航していても、エコノミークラスは392ドル(約4万5000円)、ファーストクラスでも5564ドル(約63万8000円)という設定です。しかし、収入の大部分が一部の乗客からという構図は共通しています。


この「同じ路線なのにクラスによって料金が違う」という仕組みは、旅行者向けのチケットで導入されたのが始まりだったそうです。たとえば1952年にニューヨークとロンドンを結ぶチケットは、通常だと395ドルでしたが、旅行者向けは270ドルでした。


旅行者は事前にプランを立てて旅行をするはずなので「事前購入」「内容の柔軟性なし」という条件で割り引きを行い、一方で、通常のチケットは「いつでも購入可能」「内容に柔軟性あり」なので割り引きがない、というわけです。これは現在だとクラスの違いではなく「早期購入割引」に近いものです。


もともと、この料金の差はシートには特に反映されるものではありませんでしたが、航空会社は正規料金でチケットを購入するビジネス客を扱わなければならないということを意識し始め、まずは正規料金の旅客を前方の座席に座らせるようになりました。


そしてシート自体も、3列だったものが中央の座席を取り払って2列シートになるなど改良が行われていくことになります。


エティハド航空の運航するエアバスA380のシート専有面積を示したものが以下の図。エコノミークラス(青)が1席あたり0.34平方メートル、ビジネスクラス(赤)が1席あたり0.94平方メートル、ファーストクラス(黄)が1席あたり3.25平方メートル。


チケット価格でみると、エコノミーが1253ドル(約14万4000円)、ビジネスが6140ドル(約70万4000円)、ファーストが1万4128ドル(約162万円)。


面積あたりの価格にするとエコノミーが1平方メートルあたり3580ドル(約41万円)、同様にビジネスは6532ドル(約75万円)、ファーストは4347ドル(約50万円)です。ちなみに、エコノミークラスとビジネスクラスとの間には「狭い座席」vs「ベッド」というぐらいに大きな差がありますが、ビジネスクラスとファーストクラスの差はちょっとしたサイズや料理の差ぐらいしかないとのこと。


なお、ファーストクラスの維持は航空会社としてもコストがかかるところなので、現在はビジネスクラスの数を増やす方針に転じている会社も多々あるとのことです。

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in 乗り物,   動画, Posted by logc_nt

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