グルテンフリーのダイエットは危険なのか?

By jeffreyw

タンパク質の一種である「グルテン」を摂取しないようにする、というダイエット方法(食事方法)が「グルテンフリーダイエット」です。近年注目されているこのダイエット方法ですが、これを続けることには潜在的な危険性が伴うという研究結果が発表されています。

The Unintended Consequences of a Gluten-Free Diet. : Epidemiology
http://journals.lww.com/epidem/Citation/publishahead/The_Unintended_Consequences_of_a_Gluten_Free_Diet_.98893.aspx

Potential risks of going gluten-free—high arsenic and mercury levels | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2017/02/potential-risks-of-going-gluten-free-high-arsenic-and-mercury-levels/


グルテンフリーダイエットは海外セレブなどから人気に火がついたダイエット方法で、2015年にはアメリカ人の4人に1人がグルテンを摂取することを避けているという調査結果が出ているほど人気が高いもの。グルテンを摂取しない食事を心がけるグルテンフリーダイエットの支持者は2013年から2015年までに67%も増加しており、食料雑貨店で「グルテンフリー」と書かれた食料品を見かけないことはないほどその勢いはすさまじいものです。

By Sean MacEntee

グルテンフリー食品が流行っていることは、グルテン感受性の自己免疫疾患である「セリアック病」患者にとってはうれしいことかもしれませんが、セリアック病患者はアメリカ人口の約1%ほどしかいません。また、グルテンフリーダイエットは、「あらゆる人の健康に良い」という考えのもと推進され、「炎症を軽減する」とも言われています。しかし、問題は「グルテンフリーダイエットの影響が科学的に実証されていない」という点です。

そんな中、最新のグルテンフリーダイエットに関する研究が疫学誌のEpidemiologyで公表され、「グルテンフリーダイエットは予期せぬ健康リスクをもたらす可能性がある」ことが示唆されています。

By sylvar

研究では、2009年から2014年にかけて収集された7471人分の尿中のヒ素濃度と血液中の水銀濃度を調査しています。調査対象となった7471人の中でグルテンフリーの食事を行っていた被験者の数は73人。この被験者の尿と血液サンプルを調査したところ、尿に含まれるヒ素化合物の総量が、通常のグルテンを含む食事を行っていた人々よりも2倍多く、血中の水銀量は通常よりも60%多いことがわかりました。ヒ素や水銀はグルテンフリーの食べ物である「米」などに多く含まれていて、体内に蓄積すると、心臓血管疾患およびガン、神経系の疾患が発症するリスクが高まります。

グルテンフリー食品ではグルテンの代用品として米粉などを用いているのでその影響なのではないかと結びつけて考えたくなるところですが、今回、「グルテンフリーの食事を行っていた被験者の数は73人」であることからわかるように研究の規模はとても小さく、被験者が報告したグルテンフリーの食生活が健康に影響を及ぼすほど人体の水銀・ヒ素濃度を上昇させたのかどうか、関連の有無は不明です。しかし、研究を行ったイリノイ大学の疫学者であるマリア・アルゴス氏は、「研究結果は、グルテンフリーの食事をすることで意図しない影響が起こる可能性があることを示している」と、人体に悪影響を及ぼす可能性を示唆しています。

ただし、アルゴス氏は「より大規模な研究を行い、グルテンフリーダイエットが水銀やヒ素中毒を引き起こす可能性があるかどうかを調べるまでは、結論を出すことはできない」と述べています。

By Stacy Spensley

なお、アメリカ食品医薬品局(FDA)は乳幼児用の米穀類のヒ素含有量を制限する新しいルールを提案しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
グルテンフリーな食生活は本当に健康的なのか? - GIGAZINE

やせるためには食事制限をすべきなのか?運動をすべきなのか? - GIGAZINE

栄養士がヘルシーだと考える食べ物vsアメリカ人がヘルシーだと思い込んでいる食べ物 - GIGAZINE

食事が不要になる完全栄養食「ソイレント」がついに出荷を開始 - GIGAZINE

in サイエンス,   , Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.