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未解決殺人事件に共通する傾向を見つける誰も挑戦したことのない新型アルゴリズム登場

By AJC1

犯人が捕まらない殺人事件の中には、そのまま時効を迎えて未解決として処理される事件が多数あります。その未解決事件の捜査に一石を投じるアルゴリズムを構築し、無料のデータベースを公開しているのがトーマス・ハーグローブ氏です。同氏が構築したアルゴリズムは未解決事件に共通する要素を見つけて、同一犯による犯行の疑いが強い他の未解決事件を特定する仕組みになっています。

Serial Killers Should Fear This Algorithm - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/features/2017-02-08/serial-killers-should-fear-this-algorithm

ハーグローブ氏はミズーリ大学でジャーナリズムを専攻し、大学卒業後にE.W. Scrippsという新聞社に入社。大学では統計データ分析を主に学び、この経験を生かしてScrippsでは政治や犯罪などさまざまな分野の統計データの分析を手がけていました。統計データのスペシャリストと言えるハーグローブ氏が、FBIにより公開されている犯罪の統計データを調査しているとき、奇妙な数字に遭遇。それは、DNA型鑑定といった革新的な技術が登場していながら、犯人逮捕にいたらなかった未解決事件の割合が上昇しているということです。以下のグラフは、アメリカで発生した殺人事件のうち「解決された事件」の割合を示しているのですが、その割合は1960年から基本的に下降していく傾向にあり、2014年には約60%まで低下していることがわかります。


この事実に驚いたというハーグローブ氏ですが、1つのアイデアが頭に浮かんだとのこと。それは「警察やFBIにより公開されているデータを分析し、犯人を発見する方法をコンピューターに教え込むことはできないか?」というものです。それからハーグローブ氏はミズーリ大学の大学院生に手伝ってもらいながら、FBIが公開している殺人事件のデータを書き出して統計ソフトウェアに保存。その後は数カ月かけてデータを分析し、「複数の共通点から同一犯の疑いが強い未解決事件を特定する」独自のアルゴリズムを構築しました。その後は開発したアルゴリズムをシアトルで48人の女性を殺害し終身刑の判決が下されたゲイリー・リッジウェイの事例に当てはめる形でリバースエンジニアリング。これによりハーグローブ氏は、クラスタ分析における4つの特性「場所」「被害者の性別」「年齢層」「殺害方法」を見つけ出しました。

ハーグローブ氏のアルゴリズムはアメリカ全土で起こった数々の殺人事件や未解決事件のデータから共通項を見つけ出し、その傾向から同一犯の犯行の疑いが強い未解決事件を特定するもの。ハーグローブ氏はE.W. Scrippsの倒産を受けて、FBIが公開している殺人事件のデータをまとめて詳しくない人でも簡単に調べられる試みに取り組む非営利組織「Murder Accountability Project(MAP)」を2015年に設立しました。MAPは1980年から2014年までの殺人事件のデータを詳細にまとめており、アメリカにおける殺人事件のデータベースの中でも最も完璧なリストと言えるそうです。

By Renegade98

FBI訓練科で殺人事件を担当する職員らと共同で行ったMAPのデータベースのテストでは、1996年に起こったジョンベネ殺害事件がモデルケースとして使用されました。データベースに、事件が起こった場所「コロラド州」、殺害方法「絞殺」、性別「女性」、被害者の年齢「6歳」と入力すると、「ジョンベネ殺害事件」のみが検索でヒット。しかし、被害者の年齢を「5~10歳」に広げると、1985年にコロラド・スプリングスで10歳のメラニー・スタームが絞殺された事件のほか、27件の未解決事件がリストアップされたとのこと。この結果に対して、テストに参加していたFBI国際犯罪調査分析のジャネット・オリビア長官は「全ての法執行機関はこのデータベースの利用価値に気づくべきだ」と称賛しました。

アトランタの警察は、MAPと協力して未解決の殺人事件の調査に乗り出しています。しかしながら、未解決の殺人事件の調査にかける予算が少ないため、その他の都市や州からは協力要請を得られないのが現状。ハーグローブ氏は「アメリカ国内にはまだ逮捕されていない殺人事件の犯人が多数存在するでしょう。少なくとも1つの都市に数人はいると思われます」と話しています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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