テスラのバッテリー革命は着実に進行中

By cchana

早ければ2017年前半にも完全自動運転カーを実現してしまいそうなイーロン・マスクCEO率いるテスラですが、同社は電気自動車以外にパワーウォールと呼ばれるエネルギー蓄電装置の製造・販売も行っています。電気自動車やパワーウォールといったテスラの製品には共通点があり、それはどちらも大型バッテリーを搭載しているという点です。これらで使用するバッテリーを製造するためにテスラは世界最大のバッテリー工場を建設しているのですが、このテスラの「バッテリーを用いたビジネス」が着実に歩みを進めていると海外ニュースメディアのBloombergが報じています。

Tesla’s Battery Revolution Just Reached Critical Mass - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-01-30/tesla-s-battery-revolution-just-reached-critical-mass

テスラは何百万個もの小型バッテリーを用いて化石燃料を用いた電力からの脱却を目指すため、パナソニックと提携して2014年6月から50億ドル(約5600億円)をかけてネバダ州のリノに新しくバッテリー工場「ギガファクトリー」を建設しています。このギガファクトリーとはどのような施設なのか、建設までにどのような紆余曲折があったのかは、以下の記事を読めば分かります。

砂漠に建設されるテスラの世界最大バッテリー工場「ギガファクトリー」とは何なのか? - GIGAZINE


2020年までに稼働予定のテスラの超巨大バッテリー工場「ギガファクトリー」のいま - GIGAZINE


当初は2020年までに稼働を開始する予定となっていたギガファクトリーですが、なんと2017年1月にはバッテリーセルの生産を開始しており、2018年までにギガファクトリーで生産されるリチウムイオンバッテリーセルの総量は年間35GWhに達する予定とのことです。


テスラのバッテリーを用いた革命は、テスラ内でのみ行われているわけではありません。アメリカ・ロサンゼルス近郊のポーター・ランチにある地下貯蔵施設からメタンガスが流出しました。この問題により近隣住民は2015年10月から避難を余儀なくされており、2017年2月の報道によると流出したメタンガスの総量は何千トンにも及ぶとのこと。電力会社のサザン・カリフォルニア・エジソンはこの地下貯蔵施設の跡地に、冬の停電を緩和するためのバッテリーを用いた蓄電施設を急ピッチで建設しました。この建設プロジェクトはなんとわずか6ヵ月の猶予しかなかったのですが、サザン・カリフォルニア・エジソンはバッテリー蓄電施設のためにテスラに80MWhのバッテリーを発注し、なんとわずか3ヵ月で施設の建設を完了させてしまいました。

テスラがサザン・カリフォルニア・エジソンからバッテリーの発注を受けたことは以下の通り日本でも報道されています。

テスラ、米電力から蓄電池大型受注 量産でコスト減  :日本経済新聞


バッテリーを用いて電力を貯めておく蓄電施設は、風力発電や太陽光発電が発電方法として主流となった暁には非常に重要な役割を担うことになります。しかし、大規模バッテリーを用いて電力を貯めておくという発想はまだ比較的新しいもので、規模もそれほど大きくないのが現状です。また、つい最近まではバッテリーのコストが非常に高く、天然ガスを用いた火力発電などと比べるとはるかに高コストであるという欠点がありました。

しかし、バッテリー蓄電施設の核となるリチウムイオンバッテリーの価格はわずか3年ほどで半分以下にまで低下しています。これは電気自動車の需要が増加したことで、バッテリー蓄電施設で使用するものと同サイズのバッテリーの需要が高まり、これまでよりもはるかに安価に製造できるようになったためです。

なお、以下のグラフは電気自動車に用いられるバッテリーも含めた1kWh当りのバッテリーの価格を示したグラフ。価格は年々低下しており、2016年には3年前の半額以下となっていることが分かります。


もちろんバッテリー需要の増加に誰もが楽観的というわけではなく、Bloomberg New Energy Financeのアナリストであるセキネ・ヤヨイさんは、「(市場は)これまでよりも素早く変動していますが、まだギガワット規模のものが求められているわけではありません」とコメントしています。また、バッテリーコストと収益性の評価は非常に困難であるとBloombergは指摘しています。これは企業がバッテリーに関する価格資料を公開したがらず、その費用もまだまだ変動的なものであるからだそうです。

しかし、バッテリーを用いた蓄電施設は火力発電所よりもはるかに小さな敷地面積で、大気を汚染することなく他のどの技術よりも優れたサービスを提供することができるとのこと。また、こういった施設はまだまだ少数ではあるものの確実に増加しており、バッテリーは既に「最も経済的な選択肢」のひとつになっている、とBloombergは指摘しています。


テスラ以外にもバッテリーを用いた蓄電装置に注目している企業があります。そのうちの1つであるAESのJohn Zahurancik社長は、現在よりもバッテリーの価格が10倍以上高かった2008年から、収益性の高いバッテリーを用いた蓄電プロジェクトを手掛けています。

AESは、テスラがロサンゼルス近郊のポーター・ランチに建設した20MW/80MWhの蓄電施設よりもさらに大きい、30MW/120MWhの施設を建設中。さらに、2021年までにはテスラのものの5倍の規模の施設を建設することを計画中しています。

AES Plans to Construct 300-MW Battery Storage System in California - LCG Consulting :: EnergyOnline
http://www.energyonline.com/Industry/News.aspx?NewsID=7930&AES_Plans_to_Construct_300-MW_Battery_Storage_System_in_California


なお、テスラとAESの最も大きな違いとして、Bloombergは「蓄電施設で使用するバッテリーを自前で用意できるかどうか」という点を指摘。テスラはギガファクトリーで自前のバッテリーを製造可能であり、この垂直統合型のビジネススタイルによりコストを削減し、よりシームレスなシステムを構築することができるとしています。これに対し、AESは「さまざまなサプライヤーとつながることでより安価に最新技術を使用することができる」としています。

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